じんくれえるさんのレビュー
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おうちのありか~イエスかノーか半分か(3)~
一穂ミチ, 竹美家らら / ディアプラス文庫
まさかの潮くん。
3
こういう続き物って、普通はある程度内容が決まって来ちゃうもんですけど、
(めでたく両思いになった後は大抵、焼きもちやいてみたり、喧嘩したりして、最後はめでたく仲直り、みたいな。)
いやー、一穂ミチさん…は本当にすごい人だ。
1、2巻であれだけ磐石にくっついた国江田さん(オワリ)と潮くん。
もー、よっぽどのことがない限り大丈夫でしょ、安心して読んでいられるでしょ、
と、思っていたのに。
まさか、まさかの、潮くんですよ!
ぶっちゃけ、国江田さんがあまりにも強烈なキャラなんで、
潮くんてば、ただの「包容力に満ちて優しい国江田さんにぴったりの素敵な彼氏」(出会えて良かったね(ハート))くらいにしか思ってなかったのに!
いーやー、油断してたわー。
作者、すごいわー。
今回は潮くん側から、ちょっと太刀打ち出来ないような、大波な事件が起こります。
すんごい展開が待ってます。
もうね、潮が国江田を本当に愛していて、守りたくて仕方ないから辛いんですよ。
こんなに思い合ってるふたりなのに、何で!?
どーして!?
な、展開に、読んでいても辛くて切なくて涙が出ちゃうんですよ。
でも考えても考えても、どーにもならないんですよ。
アホの子の私はあまりのどうにもならなさ、八方完全に塞がれてしまっている二人が悲しくて
そんな状況に追い込む作者を恨みましたね、一瞬。
も、だめじゃん。
完全に二人、アウトじゃん。
ここまできて、悲恋ものだったのかよ!?、と。
途中で泣きながらスマホ投げそうでしたけどね。
…やっぱり、国江田さんでしたよ。
すげーよ、本気の国江田さんは。
惚れました。
なんてやれば出来る子!!!
相変わらずの爽快な疾走感、3巻目にしてさらにパワーアップ、
作者の力量には本当に脱帽です。
引き出しの多い人だなあ。
読後しばらく、
「脂(あぶら)、脂が足りない…」が私の流行語になりました。
竹美家ららさんのイラストがこれまたぴったりで
本当にいいですよね。
続きを読む投稿日:2016.11.10
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恋愛前夜
凪良ゆう / キャラ文庫
切ねぇ…(涙)
2
紹介文だけ読んで、あー、こりゃ、後回しでいいわ、と、
正直捨て置いて(?)いた作品でした。←とても失礼。
がっっ。
…とんでもねぇっすよー(涙)
そんな薄っぺらい説明じゃ全然かすってもないくらい、…
とんでもなく重厚な?ぎっしり詰まった小説でした。
胸がぎゅうぎゅう、比喩じゃなく本当に痛くなって
何回も休憩しなくちゃならないくらい、
もー、切ねぇは、切ねぇは、半端なく(涙)、
寝る前になんとなく片手間に読み始めたら
途中でやめられなくて夜明けを見ましたがな。
あー、なめてたわー、すみません。
単純に幼なじみがあーだこーだ、って、
そんな簡単で浅い話じゃないんですわ。
恋するって、片思いって、そんな甘いもんじゃなくて
本当にこういう、切なくて苦しいもんなんだよな。
胸キュン、じゃないんだよ、もう、胸つぶれちゃうんだよ、胸ぎゅうぎゅうだよ。
親の離婚やら何やらで、平凡に生きていくのが困難になってしまった小学生の二人。
たまたま隣に越してきた二人。
その二人が必死に生き方を模索していくなかで
お互いの存在が救いになったり、苦しみになったり。
恋が挟まるとうまくいかない。
日々の些末な出来事には全く動じないトキオくんが、
ナツメに関したときにだけ、
ぶちギレっぷりが半端ないとこに惚れました。
後半、ナツメくんも頑張りましたが、
いやいや、トキオくんの気持ちの強さ、深さ完敗です。
空の描写、雲、葉っぱ、雨…
その時その時の季節や自然の情景描写が本当に綺麗な話でしたね。
ベランダに座っていて夜明けに雨が振りだすシーンがとても好きでした。 続きを読む投稿日:2016.11.10
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極道の犬
秋山みち花 / CROSS NOVELS
号泣。
1
すみません、ヤクザ物(?)でこんなに泣いたの、
初めてかもしれません。
も~~~…。
とにかく主人公はずーっと、玲利で強く美しく、非の打ち所が無いんですよ。
色々抱えている過去やら複雑な事情やら、そ…ういう物を全て背負って尚、
そんなもの回りにはちらとも見せず、悟らせず、
涼やかに立っているわけです。
そこに仕える忠犬、門倉。
門倉くんでさえ、怜史はどこか特別な人間だと思っているわけなんですよ。
もう、神々しくて、崇めちゃってて、ただもう盲目的に仕えちゃってる部分もあるような。
ふたりで様々な困難を乗り越えていく様は読んでいてドキドキワクワクなんですが、
私がどうにもやられちゃったのは終盤です。
ある意味、くずれちゃうんです。
(詳しくは内緒。)
こんなにも愛が深いものだとは。
なりふり構わずすがりついてしまう様に、号泣。
あー、良いもの読んじゃったなあ、と、
また読み返して同じところで号泣。
こういう、お互いが唯一無二、っていうの、
良いですよね。
感動しました。
続きを読む投稿日:2016.10.31
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禁欲的じゃない【電子限定SS付き】
伊祖子久美, えまる・じょん / B-PRINCE文庫
禁欲的じゃない【電子限定SS付き】
伊祖子久美, えまる・じょん
皆藤巡査が格好良すぎる(涙)
1
なんと言いますか…
「寡黙な格好良い人を小説でここまで書ききるってすごい」
の、一言につきました。
映像じゃないわけですから黙った演技が見られるわけではないので
ここまで抑えた会話でここまで格好良く…書かれるともう、
「惚れてまうやろー!!」
としか言えないです。
皆藤巡査、本当に、格好良い(泣)
内容は、一言で言うと
「と、友達だと思ってたのに、好きなんて言われたって、バカヤロー!(涙)」
(すみません、その10倍は複雑に色々ありますよ、もちろん)
な、話なのでありますが、
とにかく主人公、銀と、皆藤巡査のキャラクターがしっかりしているので、
もう本当にこのふたりだけでこと足りると言いますか、
どうなっちゃうのか、二人で会話するたびにどきどきして
どっちにストーリーが展開するのか緊張してしまうのでした。
友情と恋の線引きって本当に難しい。
何で俺の方がこんな寂しくて哀しい思いをしなきゃならないんだ!
って銀の気持ちがすごく切なくて、
また皆藤の並外れた一途さというか、ストイックさが苦しくて
久々に余計なもののない、純然たる純愛ものを読んだ気がしました。
秀作だと思います。
ああああ~~~、皆藤巡査、格好良い~~~(涙)←結局ここに尽きるのかも、私。 続きを読む投稿日:2016.12.05
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空の蒼
野原滋, 雨森ジジ / B-PRINCE文庫
空の蒼
野原滋, 雨森ジジ
とんでもなく秀作に出会ってしまった気分。
1
色んなものがぎゅっ、と詰まった秀作だと思います。
別の作品読んであまり期待していなかったので、
「え?同じ作者!?」と、表紙2度見したくらいです(笑)
ストーリー自体は主人公銀次と千明の恋を中心に進…んで行きます。
幼少期から生きるか死ぬかの喘息を抱えて生きている色々考えちゃう銀次、(でもある意味考えていることまともだけど)と、
ひたすら明るくぶち抜けてるアウトゴーイングな千明。(でもある意味、ある分野では頭脳明晰)
一見合わないふたり、でも、お互いがお互いを大切に思って、
違うやり方で大切にしようとするが故のすれ違いなど、紆余曲折あります。
この話の何にそんなに捕まれたかというと、
銀次と祐一のエピソードが出てくる度に私がいちいち泣いてしまうのと、
恐慌状態に陥った銀次が恭治にすがった気持ちがすごくわかるのと、
言うなれば、
「そりゃ、漫画や小説みたいにお互いが好きだからって現実にはそうそう簡単にはいかないよね。
世間体や家族や仕事や色々現実には問題が山積みだしね」
ってことを嘘臭くなくさらっと書いてくれていることですかね。
銀次が過去、どれだけのことを乗り越えてきたか、祐一との絆を考える度に胸が痛くて
本筋とは別のところでいちいち泣いてしまいました。
一穂ミチの「off you go」の密と静の妹もこんな感じだったんだろうなあ、とか。
千明の、アホみたいに明るいところ、まっすぐなところがひたすらに救いな作品。
あと、出てくる人が善人ばかりな点かな。
千明は実は賢い馬鹿なところが良いですね。
時間を忘れてじっくり読み込んでしまいました。
秀作だと思います。
桜が見たくなったなー。
続きを読む投稿日:2016.11.14
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花霞の夜は明ける 【イラスト付】
高那シキ, ロッキー / SHY文庫
切なくて美しいお話でした。
1
全編がずーっと透き通った切なさと寂しさに包まれた、
とにかく美しいお話でした。
主人公の篠宮がとにかく温かくて優しい人なので
それがひたすら全ての救いになってます。
二人の柏木に翻弄されながらも、と…にかく温かくふたりを包んでいきます。
彼も抱えている物があるのですが、そんなもの全然感じさせないくらい。
ええ奴やー(笑)
篠宮さんが迷いつつ恋に落ちてゆく様がユーモラスに語られていたりして、
同僚女性とのやりとりも楽しくてついつい笑ってしまいます。
話自体は過去の事件が深く関わっていて、
「そーだったのかー!」と謎解き的な部分もあるのですが、
それがわかっても尚、いや、わかったからなおのこと、
切なく美しい恋物語になっています。
読み終わった余韻が後を引く作品で、
同じ作者さんの違う作品も是非読んでみたいところです。
イチゴカフェオレ、切ねぇ飲み物だなー(涙) 続きを読む投稿日:2016.10.31