クラフト★ビア★マンさんのレビュー
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寄生獣(4)
岩明均 / アフタヌーン
肉体も精神も超人的だけど
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新一の髪型の変化は、心が変わり、肉体が変わったことを暗示している。
肉体も精神も超人的になった新一。
だが、シリーズを通してみた後だと、
3巻でぽっかり空いた「心の穴」を直視できない弱さを隠そうとす…る
思春期の危うさを、髪型や表情の変化で表現していたのだなぁ・・・と気づかされた。
こういった細やかな人間の変化を、絵の表情だけで深くにじませることができる
岩明均の画力はとんでもないと思う。
青年期の自己形成の物語として読んでも非常によくできている。
多かれ少なかれ、強がって見た目を着飾るのは、誰もが通る道。
実感を持って物語にハマれる。
・・とはいえ、新一の置かれている状況は、普通の人の人生とは大きく異なるのだけど。
続きを読む投稿日:2014.02.21
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監獄学園(1)
平本アキラ / ヤングマガジン
確かな画力に吹き出す青春エロバカ真剣コメディ
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タイトルと書影、ヤンマガ連載ということもあり、なんとなくバカでエッチなよくあるマンガだと思ってました。
その割に各地で評判がよく、絵もうまそうだったので試しに読んでみると、一気に最新刊まで読みつくして…しまった。
どこかで見たことある男子向けコミックの定番の「女子風呂のぞき」から始まったかと思えば、いきなり監獄に入れられ、女王様キャラの裏生徒会副会長に踏みつけられることに快感を覚えたり、偶然女子のトイレシーンを見てしまったりと、1巻目だけでもいろいろ出てきて飽きさせない。
エッチな描写は(あまり)下品さがなくて、なんというか、女子が見ても笑える感じ。
ただのバカなコメディかと思いきや、脱獄に至るまでの状況の変化に臨機応変に対応していく(そこそこ)複雑なパズル的なストーリー、男同士の友情や裏切り、結束していく姿など、青春ものの描写、男という生き物のばかばかしいまでの性欲に対するサガ、それにとまどう女子の過剰反応という性についてのもやっとした箇所を高度な笑いに高めていく(そしてちゃんとエロい)技術力と、実はマンガとしての総合力はかなり高い。
ローファイなゆるいヘタウマ系のギャグ漫画とは一線を画した、確かな画力のせいで思わず吹き出してしまうところ多数。
学長のダンディさと南米美女の尻にかける情熱のギャップ、放置プレイに極度に弱いアンドレのドM、オタクなのによく考えるとかなり行動力のあるガクトなど、巻を重ねるごとに魅力を増すキャラにも目が離せなくなってきた。
案外、数年後でもギャグ漫画の名作として語られているのではないかなぁ。
稲中が好きな人は間違いなく笑えます。 続きを読む投稿日:2013.11.25
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NARUTO―ナルト― モノクロ版 70
岸本斉史 / 週刊少年ジャンプ
10年以上の緻密な構想が明らかになる佳境
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ジャンプの悪しき習慣とも揶揄される「引き伸ばし」。
ナルトもその批判にさらされてきたジャンプの看板マンガだが、本刊はその批判を吹き飛ばす、緻密な構想を(もしかしたら)10年以上前に持っていたことを証明…している。
毎週レベルの高い作画を続け、週刊連載としてなりたつ1話1話のまとまりを持ちつつ、数年~十年単位でピタっとハマるストーリーテリング。
正直、長い連載のうちには、ジャンプの悪しき習慣に負けて露骨な引き伸ばしにしか見えないシーンも結構ある(とりわけ、主要キャラ以外の回想シーンとか萎える・・)が、それも、本刊のような劇的な展開を見越しての仕込みなのだと思えば、読んできた価値があったな、と思わされる。
ここ数巻の怒涛の展開は、明らかに緻密な構想を何年も前から用意していたもので、将棋の名人の試合を見るような見事なパズルのハマりようは思わず声が出てしまった。
個人的には「うしおととら」の終盤も度胆を抜かれたが、ナルトはすでに70巻という長さにして、それ以上の衝撃かもしれない。
さすがに先は長くないと思うが、最後まで見届けたい。
長期連載に敬意を表して★5つ。
これだけの作家なのだから、別の作品も青年誌とかで読みたい。
(と見せつつ、実は怒涛の展開の中で、しれっと六道仙人の兄についてはほとんど触れられず、六道仙人の子供2人の話が進むというナルトお得意のミスリードを誘う要素があったり、某キャラが輪廻眼・写輪眼でなくここにきて白眼だったり、さらに膨らませそうな謎もしっかり盛り込んであったりするので、まだまだ続くのかな・・・) 続きを読む投稿日:2014.08.05
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ヴィンランド・サガ(14)
幸村誠 / アフタヌーン
少年は地獄をくぐり抜けて父と同じ地平に立つ
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この幸村誠という作家は、前作の「プラネテス」も共通して「手の付けられない威勢のいい若造が一人の男になる」ことを描いているように思う。
父の死、暴力と死にまみれた戦争の世界、政変からの奴隷生活と激変す…る環境を生き抜いたトルフィンは、ようやく父が見ていた世界と同じ境地にたどり着く。プラネテス以上に丁寧に時間をかけてたどり着いた、一人の男の姿。
2巻の表紙と、14巻の表紙を比べてみてください。
かっこいいです。
人の成長とはこういうことかもしれない。
続きを読む投稿日:2014.04.09
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マギ(18)
大高忍 / 少年サンデー
特別な人間「魔道士」と統率された個の力のぶつかり合い
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前巻で開戦した戦争がまるまる1巻続きます。
突出した魔道士の力で戦う魔法大国マグノシュタットと、統率された個人と科学の力で戦う軍事大国レーム。それぞれの正義をぶつけ合いながら、大量の死者を出していきま…す。
互いに死力をつくし、シーソーゲームのように戦況が入れ替わるスリルは、バトルものとして純粋に面白い。
ではあるが戦争の悲惨さもにじませならが書かれるのは本作ならではといったところ。
主人公アラジンがその戦況を左右する”マギ”の力を久々に開放するのだが・・・・という展開なのですが、それだけでも終わらず、さらに先があり、非常によく練られた展開にうなります。
個人的に、アラジンが「風の谷のナウシカ」に重なりましたが、ナウシカとは違い、アラジンは特別な力をどう使っていくのか、先が気になります。
続きを読む投稿日:2013.10.02