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眠れないほど面白い『古事記』
由良弥生 / 王様文庫
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Gene Mapper -full build-
藤井太洋 / ハヤカワ文庫JA
近未来が舞台のSFサスペンス
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コミュニケーションをバーチャルでやりとりする近未来の世界の話。遺伝子設計者の主人公が設計した作物の突然変異が物語の始まり。
背景に世界がかかえる食糧難があったり、遺伝子操作作物の弊害があったり、物語…も面白いけれど、黒川さんやキタムラさんなど、登場する人物も魅力的だった。コンパクトな物語なので、世界観さえつかめればあっという間。 続きを読む投稿日:2014.01.01
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国芳一門浮世絵草紙4 浮世袋
河治和香 / 小学館
読書でお江戸 岐路編
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国芳一門物語の第4巻は、登場人物たちがそれなりに年を重ね、それぞれに人生の岐路を迎える移り変わり編。
なんと、あのウルトラマイペースなちょん太が、母となり女将となり、まさかの人生起死回生の大逆転。
人…生いい時ばかりじゃないけれど、かといって悪い時ばかりでもない。
そしていい時も悪い時も笑いを忘れず、パッと咲いてパッと散るお江戸の人々の粋な生きざまを一抹の悲しさとともに感じる、そんな巻でありました。 続きを読む投稿日:2015.05.13
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マルガリータ
村木嵐 / 文春文庫
天正遣欧少年使節4人の帰国後の人生
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天正遣欧少年使節団4人(千々石ミゲル、中浦ジュリアン、伊東マンショ、原マルチノ)の帰国後の苦難の人生を、棄教した千々石ミゲルの妻である珠の視点から描いたフィクション。
彼らが使節団として送られてほど…なく、時代は織田から豊臣に変わり、帰国後はキリシタンとして苦難の人生を歩むことになるのだけれど、当時の日本人の切なくなるほどひたむきで真っ直ぐな信仰へのエネルギーはどこからわいてくるのだろうと考えされっぱなしだった。
一方、この物語を語ってくれる千々石ミゲルの妻である珠にはキリスト教への信仰心はなく、棄教したことにより後ろ指を指される夫の千々石ミゲルの後にひたすらついていくというキリシタンからは一線を画している存在で、物語の上で効果的な存在になっている。
「民に殉教させてはならぬ」と信徒の救済に命をかける中浦ジュリアンとそれを支える千々石ミゲルだったが、それも長くは続かない。
物語最後の捕らえられた中浦ジュリアンと、夫、千々石ミゲルをなくした珠の対話のシーンは一読の価値あり。
遠藤周作の「女の一生」という話に出てくる伊藤という弱き侍と珠がなんとなく重なった。
神は弱きものほど愛するというけれど、人間とは本来弱いもであり、しかしながら弱い自分を知るものこそが強くなれるのだ。珠が一番不憫だったのではないかと思いながらずっと物語を読んでいた私は、晩年、元気に畑を耕す珠の姿に救われた。 続きを読む投稿日:2015.11.29
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翼をください 下
原田マハ / 角川文庫
彼らと素晴らしい空を飛びました
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この物語を読むまで知らなかった、日本の純国産機「ニッポン」が戦時下の空を飛び、世界一周を達成していたなんて。 世界一周を成し遂げようというあと一歩のところで失踪したアメリカの女性飛行家と世界一周を成し…遂げた「ニッポン」の史実を説妙に織り交ぜた胸の熱くなるフィクション。 ページを捲る手が止まらず、通勤電車でまたも涙することに。空を飛ぶメンバーのなんと晴れ渡った空のようにすがすがしいことか。 じきに機会がおとずれるであろうMRJの搭乗時に、私はきっとこの物語を思い出すだろう。 続きを読む
投稿日:2018.08.07
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黄昏に眠る秋
ヨハン・テオリン, 三角和代 / ハヤカワ・ミステリ文庫
秋のように肌寒く色見が深い
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一人の子どもの失踪事件をめぐり、物語は淡々と進む。
読み飽きたり疲れたりするところもあるけれど、最後まで読んで良かった。
根っからの根性悪はいない。ただ様々な不幸が折り重なっただけ。
私たちが1…面しか見ていない世の中のあらゆる事件もこういった不幸の悲しすぎる連鎖なのかもしれないと思うと同時に、物事だけでなく、人もまた先入観にとらわれず多角的な視点での観察と判断が必要なのだと気づかされた。 続きを読む投稿日:2019.09.13