
難船小僧
夢野久作,古典名作文庫編集部
古典名作文庫
オチがどうも
ミステリー風のタッチで話が進んでゆくので結構ワクワクして読み進めていった。科学を信奉する船長の考えに肩入れしていたが、オチについては結構がっかりしてしまった。もう一捻りすると面白い作品になったと思うのだが、これでは中途半端な印象がしてしまう。
0投稿日: 2025.01.27青水仙、赤水仙
海若藍平(夢野久作)
青空文庫
童話風
作者夢野久作が描く童話風の作品は、純粋に無邪気で素直な童話そのもののような作品と、寓意 暗喩に満ちたものの二種類がある。この作品は素直な前者に属する作品である。ちょっと哀しさを漂わせる童話っぽい作品で、教訓めいたところがないのもよい。
0投稿日: 2025.01.27卵
夢野久作
青空文庫
童話っぽい体裁を取っているが
童話っぽい体裁を取っているが、「卵」が象徴的に意味する内容が、作者夢野久作が得意とするエロっぽいようなややグロテスクな雰囲気をうまく醸し出している。ところどころに男女間の関係ですよ と示唆する文章が入っているが、このような示唆がまるでない方が、より童話的象徴的でいいような気もする。
0投稿日: 2025.01.27戦場
夢野久作,古典名作文庫編集部
古典名作文庫
今も続いている「戦場」
西ヨーロッパでは第二次世界大戦よりも第一次世界大戦のほうが遥かに被害が大きかった。その第一次世界大戦の中でも屈指の消耗戦 ヴェルダンの戦いの悲惨な一面を描き出している。エログロ的なイメージが付きまとう作者夢野久作であるが、このような作品もあったのだと認識を新たにした。このような塹壕戦が今もウクライナで続いていることを思うと暗然たる思いである。
0投稿日: 2025.01.26虫の生命
海若藍平(夢野久作)
青空文庫
ちょっと幻想的でよい
海若藍平のペンネームで書かれた童話風の作品である。他の生き物を殺さないと生きてゆくことができない生き物の「業」を描いている。「胡蝶の夢」のアイデアを借りているところがちょっと幻想的でよい。他の童話の中によくある勧善懲悪や教訓モノでないところも好感を覚える。
0投稿日: 2025.01.25旭日旗、征く! (9) 見えない明日
安芸一穂
学研
仮想戦記らしいタッチ
長いものが多い仮想戦記の中でもかなりボリュームのあるシリーズである。それの九巻目。他の仮想戦記のようにトンデモ兵器が次々と登場することはないので、あまり引っかるところはなく読み進めることができる。それでも、軍需物資の生産力や総合的な国力など気になる点はいくらでもあるが。
0投稿日: 2025.01.25今度生まれたら
内館牧子
講談社文庫
生きたいように生きる
それほど新奇なこと、目新しいことは書いてないのだが、考えさせられる点が数多くあった作品であった。トランプ大統領2.0が始まりDEIが退潮しそうであるが、半世紀以上前の世情と比べると生きたいように生きることが容易くなったとは感じる。それでも田舎にいるとそれなりに感じてしまう点が数多くあることを、この作品を読んで思い出した。
0投稿日: 2025.01.23四季の妖精たち
岡田浩
PARADE BOOKS
語り口が素人の域を出ていないのでは
あらすじを平板に話しているような語り口がどうにも素人っぽい。ストーリー展開も使い古されたようなパターンの踏襲で新鮮味に乏しい。まあ、「妖精」を登場させてこれらの問題点を押し切ろうとしているようであるが、あまりうまく行っているような気はしない。
0投稿日: 2025.01.23そしてレコードはまわる【無料お試し版】
ヤマモトショウ
幻冬舎
牽強附会かな
作者の経歴からみてよく知っている業界の話を書いているのでお仕事小説としてその点では面白い。しかし、ストーリーの中心である、歌詞の話、ミステリー的な謎解き、曲の題名 そして 最後の 復讐譚 となると、各要素のつながりが実に危うく牽強附会かな という印象を抱いた。
0投稿日: 2025.01.23『推理大戦』第0章 アメリカ合衆国 モンゴメリー郊外
似鳥鶏
講談社
スピンオフ作品でも面白い。
各国の選りすぐりの推理超能力者が競う という推理対戦本編のスピンオフで、主人公の正体がわかってびっくりさせられる というところがセールスポイントだな。軽い語り口は、とても読みやすくてとっつきやすい。ラノベ風ではあるが、ちゃんと中身がある所が良い。
0投稿日: 2025.01.23