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世界が日本経済をうらやむ日
浜田宏一, 安達誠司 / 幻冬舎単行本
『経済学派の仁義なき戦い』
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不況脱出に金融緩和が効くか効かないか?
マクロ経済における「貨幣」の役割について、喧々諤々の議論がされてきた歴史があります。
経済の父であるアダム・スミスは『国富論』で有名な「神の見えざる手」が働く…から介入は行わない方が好ましいから、それに異議唱えたのがケインズでした。ケインズはマクロ経済学を立ち上げ、不況時には神の見えざる手に経済を委ねず、金融財政政策を用いることを主張しました。
ここで一つケインズ経済学の弊害として、不況時には金融政策よりも財政政策が効果があるとケインズが結論づけたこと。なぜなら、ケインズの時代は固定相場制であったから、金融緩和を行うと為替レートは通貨安の方向に動きますが、固定相場制の維持をすると外貨準備が枯渇するために、金融政策は封じられていた事実が無視されていることです。現在、変動相場制になったというのに、未だケインズ経済学の教科書に旧時代の記述が残されたことが弊害となっています。
このあと、フリードマン、トービン、ルーカス、プレスコットを紹介しながら、要点を交えて経済学の歴史をおさらいしていきます。
経済学の論争の歴史は「金融緩和は効くか否か」であり、金融緩和は経済に効くという考え方は少数派どころか、異端扱いされていたことにビックリしました。
そして、この状況で著者が怒り心頭なことが2点あります。
ひとつは、経済の歴史を真摯に学ばず、「デフレは、生産年齢の人口の減少によって生じた現象である」などという本がベストセラーになる日本の情けない現状。
もう一つが優秀な日本の若者がアメリカに留学して、新しい古典派的な経済学に毒されて帰国する現状。
事実、著者はこう言われたこともあるそうです。「浜田は昔の経済学を学んだ人間であって、私のほうが新しい経済学を知っている」
さて、現実問題としてアメリカ経済の復活は、FRBの金融緩和政策が正しかったことを示していますし、
「なぜ、これまで金融政策が効かなかったといえば、それは金融政策がアメリカですらまもとに実行されてこなかったからです。効かない、効かないと言って、試されたことがなかったからです。」
と、経済学者のクリスティーナ・ローマーが身も蓋も無いことを言ってます。
さて、デフレは生産人口の減少による減少を著者は否定してましたが、本書ではデータを用いて反論しています。単純に人口減少している日本以外の国と比べるとデフレが起きているのは日本だけという事実です。
したがって、外国人労働者の受け入れで労働人口を増やせば、デフレ脱却に効果があると短絡的に考えることは危険だと感じました。
このあと、浜田氏、安達氏の共同著者が対談形式として、アベノミクスを反対している勢力分析とヘッジファンドの投資戦略を語っていきます。
なぜなら、日本の経済復活した富を奪われないためには我々も知恵をつける必要があるからです。知恵がないといくら情報が目の前にあっても、正しい決断ができませんから。
本書は、アベノミクスに対しての記述がメインではありますが、今回はあえてそこは省いての感想文にしました。なぜなら、そこを抜きにした「経済学の仁義なき戦い」が面白く、また為になったからです。
続きを読む投稿日:2015.08.18
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プロ弁護士の勝つための思考力
木山泰嗣 / PHP研究所
思考は一つに固定するな!!
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著者の木山氏は、弁護士であり弁護士の職業で培われた考え方、つまり思考についてのノウハウを本書で語られています。
まずは、思考は一つに固定をするな。物事の判断を下すためには客観的な思考は非常に大切だが、…法廷では主観的な思考ができないといけないそうです。
この客観的と主観的を養う方法が、紹介されています。
思考は一つに固定するな!ですが、10通りの思考について語られています。「観察思考」「想像思考」「遮断思考」「客観思考」「立場逆転思考」「学習思考」「目標達成思考」「比較思考」「成長思考」「予測思考」の10の思考です。
観察思考は、目に見える物が必ずしも本当に大切な物とは限らない、それを観察から予測するということです。事例としてTVでのスポーツで観客数を当てたり、タクシーを乗るの時に運転手の性格を当てるなど薦めています。こういう定点観測を行うと、球場の観客動員数が地域によって違う。タクシーの運転手の傾向が地域によって違うなど見えてきます。その時初めて、おもわぬ発見ができます。
想像思考は、人の話を聞く場合は必ず相手の立場をは何かというフィルターを通すことです。例えば、自分と反対の意見を述べている人が必ずしも自分と敵対していると決まっていませんし、逆に自分の意見に賛同してる人が、自分と同じ理由で賛成しているとは限らないということです。
遮断思考は、意味の無い思考は捨てるということです。昨今は情報社会ではなく、譲歩過多社会となっています、全ての情報を網羅することは不可能であり、それを行うことは他人の人生を生きることに繋がります。まずは、自分の人生に集中するため何が必要か明確にすることが大切です。
客観的思考は、動かしがたい事実を認めることです。本書では、自分を客観的に認めるために自分の発言を録音や録画で見直すことを推奨しています。
立場逆転思考は、所謂、自分が相手の立場にたって考えることです。試験を受ける時、出題者はなんでこのテストを御作成したのか考えると、解答のみつける一つの手がかりになるという例題あげていました。また、男女の立場の違いは、男目線ならば渡辺淳氏の本を、女目線ならば林真理子氏の本を読めと薦めています。
比較思考は、両極端から考えることです。二項対立とも言われており、「現在」と「過去」、「基本」と「例外」、「大きく」と「小さく」、「刑法」と「民法」等です。思考の初期には非常に有効な考え方です。
成長思考は読書を勧められていました。初読で達成感を得られる本は基本的に素晴らしい本とのこと。そして、つまらない本は時間の無駄であるため、読むのはやめろと言われています。
また、成功者の努力はしてないという言葉は真に受けるなとも忠告しています。成功者はこっそりと自己啓発の一環として、思考トレーニングは必ず行っている。
予測思考は、自分が発表やレポートを行う時は、必ず聞き手や読み手の反論を予測して織り込むことです。
この本からは、相手の立場を考えろと二項対立の考え方が非常に参考になりました。
特に、相手の立場を考えろは相手の言葉の真偽や何を伝えたいのかに集中していた自分にとっては、立ち位置に無頓着だったことに気づかせてくれました。
二項対立ですが、両極端から思考するという考えは今までありませんでした。即、問題点はどこだとスポット的に考えるクセが当たり前になっていたことに気づかせてくれました。
この二点を発見できた時点で、この本は自分にとっては良書です。
最後に弁護士という職業の見方もこの本は変えてくれました。 続きを読む投稿日:2014.12.07
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ポケット版 3分以内に話はまとめなさい
高井伸夫 / かんき出版
長い話は嫌われる は 誰でも知ってるのになぜやってしまうのか?
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<こんな人にお奨め>
・決められたスピーチの時間がいつもオーバーしてしまう人
・スピーチを頼まれても、話すことがまとめられなく、結局思いついたことを延々と話してしまう人
・自分ではいいこと言ったはずな…のに、相手の反応がいまいちな人
・人前であがってしまって困ってる人
<こんな本です>
”長い話は嫌われる”
スピーチを聞く立場では、重々知っている真実があります。これが、なぜか話をする立場になるとこの真実を忘れてしまう世界の七不思議が存在します。
種明かしをすれば、立場変われば考え方が変わる。これが全てではありますが、分かっていても止められない。が、多くの人のジレンマだと思います。
まず、「話を短くする努力」が必要です。そう、話を短くするには努力が必要なのです。
○800~1000文字を3分間で読む訓練
○結論から話す(聴く人に対して話のゴールを教える)
○人は説教大嫌い、感動大好き
○成果主義とは可視化が必要。言葉よりも行動で示せは古いし評価されない。
○話が納得できない三大理由 1)信じられない 2)理解できない 3)興味なし
○人に気に入られる話し方は、第三者の存在を意識しなさい
○沈黙も立派なスピーチのスキル
○「立て板に水」の話し方は、以外と評判が悪い話し方
○「思い上がり」「見下し」は嫌われます。相手の面子を潰してませんか?
<感想>
話を短くする努力として、技術的な訓練は800~1000文字を3分間で原稿を読む技術を養うこと。ただ、流暢に話をする必要はないそうです。逆に立て板に水な話し方は評判が悪いとのこと。人まであがってしまう人でどもったり、話がつまずいてしまう人には朗報ではないでしょうか。
結論を先に言うのは、着地地点を明確にすることで聞き手の負担を減らす効果があります。また、時間切れになったとしても、結論を伝えられなかったという最悪の事態は防ぐことができます。
この本でなるほどと思ったは、1対1の話でも第三者の存在を意識して話をするということです。自分の立場と相手の立場だけでなく、第三者がどう思うか? いわゆる観客的な視点を保ち続けるということです。
なかなか、難しいことですが、これは意識するしないだけで大きい差を生むのは確かなので実践していきたいです。
ソフトな話し方での効果として、ベンジャミン・フランクリンの話も為になりました。ベンジャミン・フランクリンという人は実用主義のプラグマティズムの権化みたいな人なんです。ある日、話し方が横暴するぎると指摘され、ソフトな話し方をするよう努力しました。
そうしたら、
「人との話がスムースになった」
「反対されることが少なく、自分の意見をよく聞いてくれるようになった」
「間違って恥をかかなくなり、説得力も向上した」
と、なったそうです。
話し方で、話の内容を聞いてもらえるチャンスを生かすか潰すかが決まる。本当に恐いことです。
話の内容さえ正しければ同意してもらえるという考え方を、根本的に改める必要をいっそう感じました。 続きを読む投稿日:2015.05.04
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読書は「アウトプット」が99%
藤井孝一 / 知的生きかた文庫
読書は行動(アウトプット)してなんぼです。
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読書の比重は100%インプットである現実は変わりません。
ただ、読んだ本の知識を知恵として自分に対して組み込みことを考えると、アウトプットという作業が必要になってきます。
アウトプットといっても、大…げさに構える必要はなく、本の感想を言ったり、本の要約を人に伝えたりすることだけで良いのです。自分にとってはこのブログがアウトプットになっていますが、本の通販を行ってるところは、読者のレビューをアップできる場所があるので、それを活用すれば良いのです。
なぜアウトプットが必要なのか?
それは、記憶力とは覚える力ではなく思い出す力が大切なため。この思い出す力はアウトプットすることで鍛えられるからです。
また、アウトプットすることを念頭におくと、「この本から何が役に立つものが得られるのか」という意識を持つことができます。
これは、確かに私もブログをやるようになって、そういう意識を自覚するようになりました。
また、本著では、斜め読みでもよいから乱読せよ。と薦めています。
本の選定としてまえがき、目次、著者のプロフィールを重要視しています。特にプロフィールはいったいこの人は今までどのようなことを成し遂げてきたか?に注意しており、履歴書のようなプロフィールを書いてある本は敬遠しているとのこと。
世の中の流行はベストセラーで、世の中の本質はロングセラーで、いわゆる古典やビジネス書ならばドラッガーに当たりますね。
あとは、好きなものを好きなように読む。これが、長続きの基本です。
読書というは、簡単お手軽にできる自己投資です。仕事のヒントの得られる事例の一つとして「ロス・チャイルド」の小説をあげています。「ビジネスにおいて情報を制したものが勝者になれる」は誰もが思い立つでしょうが、じゃあどうすればいいのでしょうか。
小説では、ロスチャイルド家の三男のネイサンが、新人の仕事として郵便物と帳簿の整理という雑用から、商取引と金銭のやり取りがすべてわかり、情報の重要性が理解できたという場面があります。
これをただ読んで終わりにするか、自分なりにアレンジして実行するかによって、得られるものは格段に違ってくるはずです。
最後に読書を行い、微力ながらも誰かの力になれることを信じて、このブログを続けていきたいと改めて思いました。
おまけ
子供の頃の嫌だった、読書感想文も本質的には「読書はアウトプットが99%」を狙っていたのだろう。
でも、やり方が悪いよね。と、最近思った次第です。 続きを読む投稿日:2015.05.05
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パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術
アンドリュー・ソーベル, ジェロルド・パナス, 矢沢聖子 / CCCメディアハウス
会話から得るためには、絶妙な質問が必要不可欠
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≪こんな本です≫
これも一種の会話術。
相手から情報を引き出すためには、こちら側が的確である質問を投げかける必要があります。
著者であるソーベル氏とパナス氏が自分の体験や、いろいろな著名人からのイン…タビューしたものを分類と分析して、シチュエーションごとに使える質問をまとめた本となっています。
質問の活用法、質問をいつ使うのか、質問のバリエーションといった感じです。
頭から読む必要がなく、ある意味目次から興味をそそられるページから読むのがベストでしょう。
≪感想≫
空気を一変させ、相手を動かす質問の技術は、まず相手を知ることから始まる。
実は、質問の重要性は前回紹介した「データの見えざる手」でも、スティーブ・ジョブズが的確な質問でビックビジネスをものにしたという話が載っていたことから、この本を手にした次第です。
質問をする前に相手のことを知る、人間関係を構築するが非常に重要になってきます。
なぜならば、自分のことを知ろうとしない、ましてや信用できない相手に本音など話そうという気にならない。言われてみれば当たり前ですが、自分を売り込もうという考えに支配されるとこの当たり前のことができなくなります。この辺は、著者の失敗談もあげていますので、反面教師的にも使えます。
基本的にこれは強力な本ではありますが、自分にとってはもうちょっと論理をこねくり回した本が読みたかったので物足りないというのが正直な気持ちです。
ただし、30以上の質問がドラマ→解説→要点という流れの構成ですので、強力かつ分かりやすくなっています。
この本と相性が良い方には、人生のパートナーになってくれるでしょう。 続きを読む投稿日:2015.05.05
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2015年版! しないことリスト
中島孝志 / ゴマブックス
まさに逆転の発想
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やらないことを決めるのも、戦略です。
<この本を読むべき人>
○優先順位をつけてToDoリストを作ってるけど、それでも時間が足りない人。
○生活を抜本的に変えたいけど、何から手を付けたらいいのか分か…らない人。
<こんな本>
まさに「コロンブスの卵」発想の転換で「戦略的に間違った行動」をリストアップして、それを実行しようが本書の言いたいことです。
従来のToDoリストはやるべきことの優先順位を決めてリストを作成します。
これは、優先度の高いものから行動を移せ、重要度の高いもののやり残しを防げるという非常に強力なツールでした。
非常に強力なToDoリストですが、これには一つ思わぬ落とし穴がありました。
本書では、アイビーリーとチャールズシュワップの話で紹介されてます。それは、大胆な革新や革命が起こせずに時代の流れに取り残されてしまったのです。
発想の転換で、「~しなくてはいけないこと」から「~してはいけないこと」に注目して、ピックアップしたリストを作り、現在の生活に取り込まれている「やってはいけないこと」や「しなくても影響がないもの」を排除していく考え方なのです。
<感想>
著者の中島氏は、プロならばサービス残業をするな、残業代を請求しろと断定しています。仕事を家に持ち帰るなんてとんでもないとも。そう言いながらも、家に持ち帰るべき仕事のヒントは教えてくれています。
仕事にはプランニングとオペレーションに分けることができます。
プランニング=企画、計画、設計
オペレーション=実施、行動、展開
プランニングであるアイデアを考える、そのための勉強、人と会って情報収集や議論は家でやれと言ってます。これを企画書の形にするのがオペレーションでオフィスでやれと。
この辺、全面的に賛成できるものではありませんが、確かに考え方がいびつになると余計な仕事を抱えこむというのは経験上体験してきました。今は、休日に仕事のことは考えることはあっても休日に実務を行うことはなくなりましたね。
「運」とは人と出会うこと。これは、「データの見えざる手」でも「運」とは人との出会いだと科学的分析を行っていました。運とは人が与えてくれるもの。
この辺は、自分の実体験で納得できるところがあります。
・自分と似た価値観の人からは、励ましてもらい。
・自分と異なる価値観の人からは、気付きをもらい。
読書の感想文をあげるようになったのも、その人達のおかげなのですから。
最後に「努力は掛け捨て保険のようなもの」について。
努力は必ずしも報われるものではありません。しかし、努力すること事態はムダにはなりません。
努力は例え目的が達成できなかったとしても、貴方の血と成り肉になっているのですから。
そして、努力とはもしもの時のミスや失敗を防ぐものだと認識すれば良いのです。 続きを読む投稿日:2015.05.09