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精神科医が教える 1億稼ぐ人の心理戦術
樺沢紫苑 / 中経出版
自分を幸せにするには、自分しかいない
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まず最初に、タイトルの”1億稼ぐ”は本書の内容には完全に関係ありません。
お金儲けが目的の人は、買ってはいけない本です。では、本の感想に入ります。
自分を幸せにするには、自分しかいない。
「はじめに…」では、映画の『カンフーパンダ』の究極の奥義は、すでに自分の中にある。
「おわりに」では、映画の『幸せのレシピ』、「幸せになるレシピがあるのなら、教えてほしいわ」「それは君が一番よく知ってると思うよ」
自分の外にあると思っていたものが実は自分の『内にある』これを気付けるかどうかが、より人生を歩くことができるかが決まる。
では、どうすれば気付きができるのか?
気付きを得るためのアドバイスとして、心理学や映画のエピソード、または社会事件や現象をからめて話を進めていきます。
初めて心理学系の本を読む方にはとっつきやすいかと思います。逆にこの手の本を読んでる人には物足りなく感じるでしょう。そういった意味では、タイトル付けが非常に残念でなりません。
とはいえ、なるほどな。と、思ったところもありました。第3章の失敗の心理学です。
経営者が手元にイエスマンだけ残した会社は駄目になるのは、「ディスカッション」が起こらないことから発展しないという切口には、なるほどそういう考え方があるのかと納得しました。
ブレーンストーミングで、気に入らない意見を尽く排除していくようなものですからね。
また、この手の輩は「自己愛性パーソナリティ障害」の可能性が高く、敵は排除するそうです。
経営者ならばその人物を「クビ」にし、国の支配者ならばその自分を「処刑」する。
ちょっと、薄ら寒い話ではあります。
また、暴言・失言については、「日頃からそういうこと口に出してるから」と思っていましたが、心理学的に分析すると「公的自己意識」が働いていない状態、いわゆる、誰も見てない場所で『本音』をぶちける状態になっているそうです。
そして、その「本音」が「侮辱」になっていたら、さあ大変です。
ラッセル・G・ギーン氏の心理実験でジグソーパズルを完成させる課題を与えたところ。
1.絶対に完成できない組
2.対人妨害を受ける組
3.やり方に対して、非難、侮辱して屈辱感を与える組
4.いっさいの妨害のない組
一番攻撃的になったのが、3番の「屈辱」を与えられた組でした。
そう、口は災いの元は科学的に立証できたのです。人を呪わば穴二つもこの原理なんでしょう。
それから、ストレス発散としてお酒を飲んでる人は要注意。
お酒を飲んでの愚痴というネガティブの思考は特に危険です。アルコールが回った酩酊状態は催眠状態に近いため、ネガティブの思考が自分の潜在意識にインプットされてしまいます。
潜在意識は、「主語」と「否定語」は理解できませんから、他人への悪口であっても、潜在意識は自分に対しての悪口だと認識します。本当に恐いですね。
また、アルコール依存症について私は勘違いしてました。アルコール依存症はアルコールの量とは関係なく、回数が問題だそうです。なんだかんだ、理由をつけて毎日アルコールを飲んでる人は予備軍かもしれません。
アルコールを飲まない日を作るのは、肝臓だけでなく心身にとっても安らぎを得られるでしょう。
金儲けに関係なく、<書籍説明>でちょっと興味を持たれた方ならば、この本を購入しても損はしないでしょう。
自分は学びました、例え無駄な時間を過ごしたとしても「感想」をあげれば有意義な時間に生まれ変わるのだと。
「この世で最悪な状況」を経験しても「よーし、これをまとめて本にしよう」と出版してヒットしたら、1億稼ぐのも無理じゃ無いような気がしました。 続きを読む投稿日:2015.11.28
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ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える
ラズロ・ボック, 鬼澤忍, 矢羽野薫 / 東洋経済新報社
人事方面からGoogleの失敗例を紹介した希有な本
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Googleの人事のトップがGoogleという会社を如何に育てていくために悪戦苦闘したことを赤裸々に綴った本です。
Googleを育てるとはいっても、技術方面の話ではなく、人事、文字通り人を雇う為に行…ってきたこと、社員教育、昇級、そして福利厚生の方面の話がメインとなっています。
世間一般の会社は見習うべし。と、いったものやら、これは会社の業種によっては真似したらかえってマイナスになりかねないといった話まで臆面も無くさらしてくれています。
Googleの凄いところは、新しいシステムを自社に用いるのに、必ず検証を行うところ。
そして、実験的システムを実行するのに一番大切なことは「サービス期間で永続的なものではない」ということを社員全員に告知することです。
過去に、この告知をしなかったら、Google社員が暴動を起こしたそうですから・・・(笑)
また、Googleの意外な一面として、社員教育に重きを置いてないことです。
本書では「がんばれベアーズ症候群」と呼んでいますが、教育さえ施せばどんな社員もエリートに負けないという幻想に囚われていると切って捨てています。
「がんばれベアーズ」とは、自分が子供の頃に放映していた、アメリカのドラマです。落ちこぼれ集団である、少年野球チームが幾多の試練を乗り越えて、最後にはエリートチームに勝利する話です。
Googleでは、質の高い人物を入社させることがなによりも大事だと結論付けています。
ただ、質の高い人物は、必ずしも学力の高い大学出身者ではないところが肝でもあります。
この本を読んで、Googleは挑戦者なんだなと改めて思いました。
どのくらい挑戦してるかというと、経営陣でさえいつの間にか知らないプロジェクトが立ち上がって、知らない間にプロジェクトが閉鎖されているそうですから。
会社を買収して大きくなった会社というのは、一側面だったというわけです。
成功例ではなく、失敗例を多く載せていることから、会社の人事の人は一度読まれた方がいいです。
一つの成功例は、他の会社には適用できないことは当たり前ではありますが、一つの失敗例は多くの会社に当てはまりますから。 続きを読む投稿日:2016.01.17
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コトバを変えなきゃ売れません。
齋藤匡章 / サンマーク出版
言葉は無料で使えるからこそ、ちゃん使わないと価値は生まれない
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言葉は誰にでも平等に使え、使用料は無料。だからこそ、ちゃんと使わないと価値のある言葉は生まれない。それどころか、言葉をいい加減に使えば効果をあげるどころか、逆効果にもなりかねない。
価値を生みだすた…めに、「その言葉が自分自身で生みだしたもの」「相手を思いやったもの」が本当に大切だと説いています。
確かに言葉を伝えるためのテクニックは存在します、それがハウツー本が山のように売られています。ハウツー、そうテクニックは必要です。しかし、テクニックだけでは人の心は動かせないが本著の伝えたい内容となっています。
『言葉を伝える』とは、誰に伝えるのか?
そう、言葉を伝える「相手」のことを第一に考えないといけない。言葉とはコミュニケーションの道具なのですから、「相手」のことを第一に考えるの当たり前の話なのですが、テクニックに拘るとこれを忘れがちになります。
特にハウツー本は、「自分をどう相手に伝えるか」がメインになりますから、それが顕著になりがちです。
もう一度、会話の目的意識を考え直すことが必要です。
この本はビジネスを言葉を使ってビジネスを成功させようという話の本です。では、ビジネス秘訣とは何か?
「利益の高さ?」「粗利の確保?」
いえいえ、ビジネスの本質は「人を行動に駆り立てる」とのことです。
人を行動に駆り立てる4つの要素。それは、「好奇心」「信用」「信頼」「安心」これを常に意識して言葉を使えば大きな力になります。ただ、その言葉の通りに行動しないと相手に見破られます。
相手の為に言葉を使うということは相手を騙さないということが大前提です。
次に言葉を伝える相手の話になりますが、商売なんだから不特定多数を想定して文章を書く。これは、100%失敗するそうです。極意は恋愛した相手にラブレターを書くように、商売用の文章も書くことを誰か特定の人をイメージすると良いそうです。特定の人がいなければ、理想のお客さんを作り出してもよいそうです。
「言葉が世界を自分と世界を決定付けている。」
と、書くと大げさに聞こえますが、本書では虹の話で説明しています。日本人なら虹は何色か?と、尋ねられたら「7色」と答えますが、ヨーロッパでは「6色」なんだそうです。
なぜなら、ヨーロッパでは虹の色は6色しかないから。同じ現実世界を見ていても「内的世界」が違えば現実世界も異なって見えてくる。
つまり、「言葉によって世界の見え方が変わる」ということです。
これは、日頃の言葉使いによって自分の世界が変わるという意味でもあります。ポジティブな発言とネガティブな発言。一言一言だけなら対して差はありませんが、長い年月で自分や相手に言葉を浴びせつつけたらどうなるでしょう?
「だって、人間だもの悪口ぐらい口に出ちゃうよ」なら、それを打ち消す為に「人の良いところも口に出して褒めましょう」 これは実体験ですが、人の長所を見つけられる能力を養う訓練にもなりますし、思わず悪口が出ちゃった駄目だ! というネガティブ思考のスパイラルを断ち切れます。
それから、文書の上達はやはり文章が上手い人のマネを行うこと。著者はこんな体験したそうです。
「川端康成や夏目漱石といった文豪の作品をすすめてくれたのは、大学の先生です。
『きみね、外国語をやるんだったら、夏目漱石と森鴎外を読んでおきなさい。昔、日本で一番、英語ができたのが夏目漱石。一番ドイツ語ができたのが森鴎外。そのあたりの文章を読まなくて、どうするんだい?それで本を読んでいる気になっていてはダメだよ」といわれました」
このあと、今更、夏目漱石かよと思いつつも実際に本を読んだら、グイグイと引き込まれて無意識に文章を真似ていたそうです。
文章を上達するためには、文章が上手い人を真似て文を書く。スポーツを上達する為に秘訣と同じです。スポーツよりも敷居は低いですが、こうやって文章を書いてますと、上達するには根気は必要だと痛感しています。
最後に、言葉を使うことで大事なのは「イメージ」すること。自分がイメージできていない言葉には「力」ありません。力のない言葉は相手に伝わらないですし、相手も協力したいと思いません。
そして、人は「同調」しようとする力が絶えず働いています。それは、より力の大きい方へと同調する傾向にあるので、イメージを具体的に持つことがとても大切です。
言葉は、誰にも無料で自由に使えるものです。
ゆえに、ちゃんと使えないと力を発揮できないどころか逆効果になってしまう。
言葉をちゃんと使うためには、誰に言葉を伝えるのかを明確にし、イメージを持つことが大事である。
この本質をちゃんと抑えていないと、テクニックをいくら覚えていても意味がない。
これが、この本の伝えたいものとなっています。 続きを読む投稿日:2016.04.02
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脳が認める勉強法
ベネディクト・キャリー, 花塚恵 / ダイヤモンド社
勉強のみだけでなく、人類が脳の解明の歴史も学べるところが良いです
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この本の良いところは、勉強法のみならず脳に関わる研究の歴史も学べるところです。
そして、この歴史の部分で何度歯ぎしりしてしまったか。
エビングハウスの「忘却曲線」は有名ですが、一方のバラードの「レミ…ニセンス」はほぼ無名です。
簡単に説明すると「忘却曲線」とは時間が経てば、思い出せる記憶が段々減っていくことを実験でグラフ化したものに対し、「レミニセンス」は「一度忘れたことでも、何もしなくても思い出す」という現象のことです。
このバラードの「レミニセンス」発表後しばらくは、追試されてましたが、「幻想だよ」と数十年放置されてしまいました。そんな話が珍しくありません。
この手の話は、学者の話を無批判に信じるのは危険だなと感じます。そして、そういう考えを持つ人が新しい発見ができるということも、教えてくれます。
この本の構成としては、脳はどうやって記憶をするのか? その仕組みはどうなってるの?から始まり。
脳科学の歴史を踏まえて、勉強法を紹介していくスタイルとなっています。
勉強時間、復習の間隔、勉強をする上での環境、反復練習、小テストの活用方法、考えなくても学べる方法が紹介されてます。これは、学習側のものだけで無く、教育指導していく人たちにも読んで頂きたい本です。
学生時代にこの情報は知りたかったものが一つあります。それは「復習するときは、授業の時にとったノートは最初は見ないで行うこと」です。
いわゆる、記憶を強化するのは「思いだそう」とする時なので、ノートを最初に見てしまうと効果が薄れてしまうのです。
そして、「流暢性の幻想」にも気をつけたいところ。いやゆる、下線を引く、マーカーを付ける、覚えた直後に同じ勉強をする、他人が作ったまとめで理解する。これらは、「自分が簡単に覚えたから、もう知っている」という幻想を抱いて、本番のテストで大失敗する原因となります。
また、絵画や美術の審美眼を鍛える、画期的な方法もこの本に載っています。驚くことに審美眼を鍛えるには考えることは必要がないのです。これも、驚くべき脳の仕組みを利用しています。
今まで、勉強しても身につかなかったのは、けして頭が悪いわけではないのです。原因はたった一つ。
”勉強をして「覚えられない」原因の大半は、勉強方法が間違っていた。”
この本をそれを教えてくれています。
人間、生きている限り、学ぶことをから逃げることができません。したがって、今からでも正しい学習方法を知ることはとても有益なことです。
一人でも多く、この本を手にとって頂けると幸いです。 続きを読む投稿日:2016.04.02