パドラッパさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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戦艦大和ノ最期
吉田満, 鶴見俊輔 / 講談社文芸文庫
長年気になっていた作品の電子化歓迎
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文語体の語りに飲み込まれる感あり。
傍観や後知恵で「あんな作戦は死にに行ったも同然」と語ることと、当事者として「死にに行く」行動との落差の大きさを思う。前者も大切な視点だが、後者を想起するには読書によ…る追体験が欠かせないと再確認できた。 続きを読む投稿日:2016.10.09
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情報参謀
小口日出彦 / 講談社現代新書
これが最新鋭のポピュリズム
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下野した自民党がいかにしてネット戦略に取り組み、与党に返り咲き、議席をさらに伸ばしたか。技術論としてもドキュメンタリーとしても面白くはあったのだけど、生活そのものであるはずの政治がご機嫌伺いのイメージ…戦略で構築されていく様子は寒々しい。そして開発された手法は電通に引き継がれたという。勝手にしてくれ…というわけにもいかないのだ。 続きを読む
投稿日:2016.10.05
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私・今・そして神 開闢の哲学
永井均 / 講談社現代新書
少しもやもやが残るのも楽し
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ライプニッツ、カント、ウィトゲンシュタイン、etc.
彼らが考えたように考えてみることで見えてくる世界。それは彼らがこう言ったと啓蒙することと全く違う見方と頭の使い方。とても面白く読んだが、最後まで開…闢という語がすっきりしなかった。読み直したらスッと入るかも知れませんが、それは少し時間を置いてから。 続きを読む投稿日:2016.08.29
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ひとはなぜ戦争をするのか
アルバート・アインシュタイン, ジグムント・フロイト, 浅見昇吾, 養老孟司, 斎藤環 / 講談社学術文庫
ナチスに席巻される直前の往復書簡
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人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?
と問うアインシュタインに、
私たちはなぜ戦争に強い憤りを覚えるのか?
と返しつつ、解釈と道筋をつきつめていくフロイト。
2人のユダヤ人の、それぞれ…の思索が興味深かった。養老孟司・斉藤環両氏の解説も熱い。 続きを読む投稿日:2016.08.18
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民意と政治の断絶はなぜ起きた 官僚支配の民主主義
塩原俊彦 / ポプラ新書
日本の官僚制には1300年の歴史がある
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諸外国では政策決定などに影響を与えるロビイストの位置付けを明確化して可視化するに留まらず、WEBを用いた請願システム化による中抜きが推進されている一方、日本ではロビイストの存在自体が曖昧である。それは…行政主体である官僚が立法ロビイストを兼ねるという長年の構造を維持すべくサボタージュしてきた結果。タイトルから感じられるような煽りは抑制されていて、きちんとした制度論と実務実態に即した「べき論」の展開が興味深かった。 続きを読む
投稿日:2016.08.15
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魚が食べられなくなる日(小学館新書)
勝川俊雄 / 小学館新書
日本政官業システムが直面する課題の縮図
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誰の目にも非持続的に見える漁業の衰退が、実は日本固有の惨状であることが示されるとともに、紹介されているノルウェーやニュージーランドの漁業改革プロセスと結果が素晴らしい。
科学の行政からの独立をはじめ、…社会的なフェアネスが経済面でも大切な価値であることをあらためて感じた。
続きを読む投稿日:2016.08.12