ナチ_コチ_ショチさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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荒蝦夷
熊谷達也 / 集英社文庫
平安期の熊谷流陸奥(みちのく)伝、2冊続けて読むと面白い!
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以前に読んだ高橋克彦氏の”火怨”が正史のようなイメージでインプットされているので、熊谷流にアレンジされたアデマロ伝はとても新鮮に読めた。かなり残酷なシーンもあり、アデマロが冷酷無比のように描かれている…が、これも次のアテルイ(アデマロの有していない優しさ)に繋がる伏線になっている。『アデマロは、次なる新しい国を作るために息子のアテルイによって殺された』『戦闘の巫女としてのモレー(表に出ている男性のモレーは傀儡)』という設定も大変良く、書かれた順序は逆だが、この話が“まほろばの疾風”に繋がっていく。できれば熊谷氏の2冊と高橋氏の火怨を読み比べることをお勧めする。 続きを読む
投稿日:2017.10.09
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ファミレス 上
重松清 / 角川文庫
中年男たちの日常的な描写、微妙な心理状態を見事に記述。
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久しぶりの重松小説。さりげない日常の記述はどの小説でも同じで何となくホンワカしている感じが重松ワールド。でもファミレスに限って言うと『40代後半~50代前半の人生の折り返し点を迎えた人間関係の危機』み…たいなものが伝わってくる。上巻を読み終えた今日に限って、我がカミサンは子供たちとともに、ママさん仲間と飲みに行っており、我が身は一人さびしくビールを飲みながら上巻を読了。上巻終盤の主人公・陽平とアナロジーを感じながら下巻へ。 続きを読む
投稿日:2017.10.22
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ファミレス 下
重松清 / 角川文庫
家族とは、夫婦とは、易しい文章で考えさせる良作。
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上巻では何となく冷たい印象を持った桜子の言葉に妙に納得させられた。”一生離れないことを前提に結婚することのほうが不自然”とか、”夫婦にも定年があっていい”とか、なんだかよく分かるような気がする。現実に…は、制度やしがらみ、生きていくための資金が必要なので難しいとは思うが・・・・。一博には気の毒だが、FA宣言した潔い桜子に拍手を送るとともに、終盤で離婚届を陽平に返そうとした美代子にも拍手を贈りたい。子育て後の夫婦を継続しても、解消しても、どちらもそれぞれに立派な人生。結局はどんな選択をしても核のある人生が大切ということか。 続きを読む
投稿日:2017.10.30
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永遠の旅行者(上)
橘玲 / 幻冬舎文庫
PTや脱税の方法論のみならず、サスペンスとしても上質。
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どこの国にも属さないPerpetual Traveler(PT)恭一が主公だが、単なる脱税や節税方法をめぐる話ではなく、サスペンスとしても上等なストーリーになっている。最初はビックアイランドの観光モノ…かと思うくらいハワイ島(それもリッチマンの)の話が多かったが、『天子に手を出すな』というフレーズ以降、サスペンスの要素が多くなる。恭一を取り巻く人物達もそれぞれに独特なキャラを有しており(いわゆるキャラが立っており)、面白い展開を期待しながら下巻へ。 続きを読む
投稿日:2017.11.04
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永遠の旅行者(下)
橘玲 / 幻冬舎文庫
脱税という経済小説と思いきや、てんこ盛りで面白い
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永遠の旅行者(PT)とは租税回避の方法論ではあるが、この小説に関しては、真鍋恭一という心に傷を持つ主人公の『”心は”永遠の旅行者』と言い換えることが出来ると思う。サスペンスあり、推理あり、登場人物達の…キャラもきちんと伝わり、どことなくハードボイルド調のタッチといい、てんこ盛りの面白い小説だった。ネタバレにならないよう内容は省くが、天子を救ったのではなく、天子に救われたのは僕のほうだったという何気ないラストも意味深い。橘玲氏の初読みだが、私としてはとってもお得な小説を読んだと思う。 続きを読む
投稿日:2017.11.11
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生きるぼくら
原田マハ / 徳間文庫
喧騒だけの都会の生活に疲れた方に是非『生きるぼくら』を
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既に還暦を意識するようになったおじいの感想としては何だが『マハさんの小説は、やはり心洗われる』というのが素直な表現。引きこもりだった主人公(人生)が蓼科で米作りを通して成長していくというストーリーは、…”まぐだらやのマリア”をもっと現実的にしたアナロジーだが、それにしても自然いっぱいの中で米を作りたくなった。そういえば、南魚沼がセカンドライフの居住地としてさかんにPRしているな~。 続きを読む
投稿日:2018.01.07