musasaviさんのレビュー
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女子高生、リフトオフ!
野尻抱介 / ハヤカワ文庫JA
日本の明るい有人宇宙計画
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この作品を読んでいて何度も昔見た「ライトスタッフ」を思い出した。アメリカの有人宇宙船の開発の実話を題材にした映画である。もっともこの作品の中でもライトスタッフという言葉は出てくるので作者も当然参考にさ…れていることと思う。この映画の中で猿の次に何を打ち上げるかという議論があって、誰でも良かったのだが国民的英雄に相応しいという理由で軍人を宇宙飛行士に選んだというくだりがある。実際のアメリカの宇宙計画もこんなものなんだから、体重を理由を女子高生を打ち上げるのも有りかと思う。
主人公の家族の設定のいい加減さには何度も笑わせてもらった。
最後にReader Storeに一言言いたい。シリーズ名ちゃんといれろよ。職務怠慢だぞ。 続きを読む投稿日:2014.07.01
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妻は、くノ一 全10冊合本版
風野真知雄 / 角川文庫
ライトな恋愛エスピオナージ時代小説
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セールの時にタイトルにつられて、面白そうなので全10作合本版買ってみた。SONY Reader T2で最初開いたときは開くのだけでしばらく待たされて、合本版を買ってしまったことを後悔しかけたが、どうや…ら時間がかかるのは最初の一回だけのようで、その後はそれほど気にならなくなったので、Readerの人もご安心召されい。そもそも全10作合本版なんてものができるのは電子書籍ならではのことで、紙の本でやったらとんでもないことになってしまう。
本書は名前の通り10冊がまとめて1冊になっているが、各巻の区切りはトビラが一枚あるだけで、いかにも続き物という感じである。各巻はそれぞれ4〜5話に分かれていて各話はTVドラマの毎回完結の1話のような構成になっている。また、各話はCM区切りみたいな短い章にも分かれているので、通勤時などの限られた時間の読書でも読みやすい。
くノ一を妻を探す夫の謎解きを中心とした毎回完結の各話の陰で、密かに進行するくノ一の妻のストーリー。ちょっと気恥ずかしくなるようなラブストーリーと忍びの世界のエスピオナージがからんで、ライトなタッチながらなかなか濃い内容である。
かなり長くて引っ張りまくられ感はあるが、楽しく読めた。
続きを読む投稿日:2014.11.23
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獣の奏者 I闘蛇編
上橋菜穂子 / 講談社文庫
作者はきっと猫好きである
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猫と生活を共にしたことのある人なら経験されたことがあるであろう、猫を抱き上げたときに猫が鳴らすゴロゴロ音。あのゴロゴロ音についてはよく分かっていないらしいが、一説によると母猫と子猫の間であのゴロゴロ音…でコミュニケーションをとっているらしい。もしそれが本当なら、膝に抱かれた猫がゴロゴロ言っているときにゴロゴロを返せなかったら、そこでコミュニケーションが終了し、著しく信頼感が損なわれているのではないか。
王獣がエリンの竪琴によって心を開いていく場面で、そんなことを思った。
出会った人はとても幸せ。出会わなかった人はとても不幸せな作品。 続きを読む投稿日:2014.12.12
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竜の柩 全6冊合本版
高橋克彦 / 講談社文庫
なんでもアリの世界
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合本なのでSony Readerで3098ページと表示されます。半年以上かけてやっと読み終わりました。
悪く言えばテーマがブレまくる小説ですね。よく言えば話にハッテン性がある小説です。
発端は国内の竜…伝説を追っかけるところから始まり、それがUFOにこじつけられ、それが世界に飛んで、古代遺跡に絡み、タイムトラベルして神とも友達になり、縄文時代を体験して、大正時代に遊び、最後は幽霊が絡むオカルト物と、とにかく一言では言い表せない色々な要素が入りまくります。
作者のウンチクはすごいです。よくぞここまでありとあらゆる神話や宗教や古代遺跡やUFOをこじつけて勝手な解釈をするもんだと恐れ入ります。
フィクションとしては次に何が出て来るかわからない予想のつかない展開が面白かったです。神話や伝説などの解釈は興味深いけど一つの仮説か作り話ぐらいに思っておいたほうが良いでしょう。 続きを読む投稿日:2016.03.05
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スクランブル イーグルは泣いている
夏見正隆 / 徳間文庫