wingfootさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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黄砂の籠城(下)
松岡圭祐 / 講談社文庫
面白いとは思います
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一気に上下巻を読ませるスピード感があり、楽しく読むことができました。
ただ、主人公がスーパーマンすぎ、籠城戦のスケールが小さくなってしまった感があります。もう少し群像劇っぽいほうがよかったような。
…
いずれにしても、柴 五郎について知ることができてよかった。
文体は嫌いではないので、この作者の他の本も読んでみたいです。 続きを読む投稿日:2017.10.13
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虐殺器官
伊藤計劃 / 早川書房
良心とは
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本作品を読んで、ハインラインの「宇宙の戦士」を思い出しました。
「さや」に入って敵地に進入する部分なんかは特徴的かもしれませんが、それよりも様々な価値観について色々考察されている点に、共通点を感じま…した。
特に「良心(道徳意識)」について、宇宙の戦士では、主人公の歴史の先生が「人間は道徳本能をもって生まれてきはせず、訓練や経験を通じて道徳意識を得るものだ」と指摘しています。これに対して本作では良心について別の視点から考察をしていますが、結論としてはかなり近いところにあるのかなと感じました。
本作の作者さんは、内容も文体も自分の感覚によく合うと思いましたが、ここのレビューを見て故人だと知りショックを受けました。せっかくなので他の作品も読んでみたいと思います。
続きを読む投稿日:2017.05.15
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沈黙
遠藤周作 / 新潮社
信じる者は救われる?
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映画のCMを見て原作に興味を持ち、読んでみました。遠藤周作の本は戦国時代物を読んだ記憶があるのですが、キリスト教関係の本をたくさん書かれていたとは知りませんでした。
この本とは関係なく、日本人ってそ…れほど神様に頼っていないのではないかと考えることがあります。地震や災害も神様が起こすこと、しょうがないよね、みたいな。
本作を読んで、キリスト教はイエスによる救いをより強く求めている感じがしました(もちろん誤解があるかと思いますが)。主人公の宣教師は色々と苦難にあい、今こそイエスの奇跡が起こるべきだと考えますが、何も起きません。キリストも磔刑の時に「神よなぜ私を見捨てるのですか」と言ったとされています。
そんなに都合のいい救いなんてないよね。と思ってしまう自分は普通の日本人なのでしょうか。
遠藤周作がクリスチャンだったことも初めて知りましたが、さらにこのようなキリスト教徒の受難の時代の、ほとんど救いのない話を書いていたことにさらに驚きました。どういう思いを持って書かれたのでしょうか。他の本も機会があれば読んでみたいと思います。
最後、主人公が心の中で折り合いをつけることができたのが、せめてもの救いでした。
続きを読む投稿日:2017.05.01
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雨天の盆栽 1巻
つるかめ / WEBコミック Beat's
もう一度
4
まだ購入していないのですが、出版社のホームページで試し読みしました。
とうとう漫画のネタが盆栽にまできたのかと。
キャラ設定はどこかで見た気がしなくもありませんが、とにかく盆栽が題材なので、しばらく追…っかけてみようかと思います。
昔、梅の盆栽を枯らしてしまったので、これを機に小物でもやってみようかな。
いろいろ言いましたが、結構絵柄が好みだったり。
続きを読む投稿日:2017.03.14
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この世界の片隅に 下巻
こうの史代 / 漫画アクション
芸が細かい
4
とうとうあの日がやってきますが、その前に大きな試練が。戦争に巻き込まれるとは理不尽の連続。市民はただ日常を過ごせればよいのに、これが簡単に破壊されてしまいます。
そして終戦、すずさんが見せた意地にはす…こし驚きました。でも逆にそれが強く胸を打ちます。また、その前後ですずさんがちょっと冷めた見方をする部分がありますが、成長したというよりも、すずさんにあった天真爛漫な部分が失われた感じがして悲しいです。
さすがに下巻では笑いのシーンが少なくなりますが、その中でも時々のほんわかした空気が救いです。
上巻から下巻を通じて、色々なコマに仕掛けというか伏線もしくはその回収が隠されており、練に練られた作品であることが分かります。まだまだ気づかされることがあるに違いないので、もう少し読み返してみたいと思います。
それと、ぜひ映画を見に行かなければ。 続きを読む投稿日:2017.03.06
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この世界の片隅に 中巻
こうの史代 / 漫画アクション
すずさんもなかなかするどい
3
とうとう呉にも空襲が来ます。呉には軍港があったので重要なターゲットになっていたのは、考えてみれば当然でした。
身内に戦死者がでたり、空襲で焼け出される人が出てくるなど、いやでも戦争が日常に入り込んでき…ます。さすがにありふれた日常というわけにはならなくなってきましたが、それでも日々の中に笑いがあるのがよいですね。
だんだんと状況は悪くなっていきます。各話のタイトルとなっている日付があの日に向けてカウントダウンされていくのを見て、なんとも言えない気持ちになってきました。
この巻から出てくるリンさんいいですね。このようなタッチの絵なのになんだか色っぽい。
続きを読む投稿日:2017.03.03