あきの書店さんのレビュー
参考にされた数
16
このユーザーのレビュー
-
下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
内田樹 / 講談社文庫
まともな授業ができないのは何故?
4
今、学校でまともな授業が行われにくいという話や、大企業に入社出来て、親がやれやれと安堵していると3年以内には辞めてしまう…理由は「自分に合わない」ことのようです。そんな社会現象をどのように、分析してい…るのかに興味がありました。
読みはじめましたが、教育について授業時間を増やせば学力低下が防げるなんて言う簡単な問題でないことが分かって来ました。
何をするにも「本人のやる気」がなければできない。豊か過ぎてその芽を摘んでいるからだ…わたしはそんな風に考えていたのですが、いやはや根は深い。
そんなことを感じながら、ざっと読み進み、2回目に読めば、もう少し内容理解が出来るようになるだろうと考え始めています。つまり小説を読むように1回読んで終わりには出来ない本です。
続きを読む投稿日:2013.09.27
-
方丈記 現代語訳付き
鴨長明, 簗瀬一雄 / 角川ソフィア文庫
どんな人生の終わり方がよいのだろうか。
4
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」方丈記は鴨長明が来し方を返りながら、どのような晩年が生き易いかをつづっています。
すべてのものは時の中で移ろい、滅び、消え、また生まれ、成長し…とい…う因果の中にある。それを人間と住居に目を据えて具体的に見ています。
①人の世がいかに定めなく自然と運命のもとに脆くはかないか。安元の大火、治承4年の竜巻、清盛の福原遷都、養和の大飢饉、元暦の大地震など。
②個人的に住居の転変、身分の移り変わり…50歳で世を捨て、最後に粗末な方丈の住居の楽しさに至る…誰にも気兼ねすることなく、何をしても自由…「独り調べ,ひとり詠じて、自ら情を養ふばかりなり」と心安らいだ境地に達しています。
昔も今も人は似た事を考えるもの。科学は過去の蓄積があって、その上で進歩していきますが、人間は1人の人が生まれるから死ぬまでを体験するのみ。だから、世の中のことが分かったころには死んでいきます。進歩がないのは、個としての人生は蓄積できないからです。
続きを読む投稿日:2013.09.28
-
捨てる力
羽生善治 / PHP文庫
迷った時の道案内
3
「捨てる力」羽生善治。選んだのは単純な動機でした。「捨てる」に引っかかったのです。
「棋士が手を選ぶ時、最初に使うのが直感力。次に読みに入る…読みとはシュミレーションで、次が大局観。これは戦略や方針を…決めることで、攻めたらいいか、守った方がいいか…などを考えながら選択肢を狭めていく」そうです。まず抽象的なことを考えてから具体的に詰めていくのだと。
何だか人生に迷った時も使えそうです。漫然と悩んでいるのではなく、出口はどっちかなという直感力。つぎがシュミレーションをしてみる。そして最後の大局観は、本を読んだり経験を積むことによって「どのように生きたいか」を自覚する。ここを掴んでいると自ずと道が開けるのでは…。そんなことを感じました。
続きを読む投稿日:2013.09.27
-
思い通りの死に方
中村仁一, 久坂部羊 / 幻冬舎新書
老いる前に読むと、目からウロコ…
1
、1本10万円の注射を打つ話を2 人から聞きました。1人は前立腺ガン、もう1人は体中にガンが広がって手の打ちようがないと宣告されている人。両者は医者から言われて、高額な注射を打ち続けているそうです。
…何で?…どうして?…いまどきの医療はそんなにお金が掛るの? 俄然、医療に疑問を持ちました。
「思い通りの死に方」中村仁一・久坂部羊著は、こう言っています。
【人生には往きと還りがある。行きは繁殖時代まで。還りはそれから死ぬまでの間。医療も、この往きと還りでは違った治療の仕方が良いのではないか】と。
女性は閉経50歳ごろ、男性もこれに似た60歳ごろ。頂上を過ぎたら、老いの坂を下ることになる。そこで起きる体の不調は「病気ではなく、老いることに伴うもの」。それを病気として扱い、医療をもって元に戻そうとするから、大変な痛みや、苦労を心身ともに味わうことになると。
続きを読む投稿日:2013.09.27
-
女のおっさん箴言集
田辺聖子 / PHP研究所
人生の深みに気付かされる
1
【子供のときに味わった後悔や苦悩や挫折感などは、オトナになってからの人生行路のある種の道標になるが、「愛された記憶」は、人を支える。(私はこんなに愛されたのだ)という記憶が、後に人を救う】と。
人を救…うのは、「愛された」という記憶だと言っています。子育て段階で、子に分かるようにしっかり愛情を注ぐ…これさえ逃さなければ、ほかのことは適当でも子はうまく育つもの。字を早くから憶えさせたり、稽古事をさせたりしても、大したことはないでしょう。肝心なのは「年相応の体験をさせる」ことではと、この本を読んでそんなことを思いました。
続きを読む投稿日:2013.09.27
-
神様のカルテ
夏川草介 / 小学館文庫
しっとりとした良い作品です
1
小説「神様のカルテ」を読んだ時、これが映画になっていることを知って、ぜひ観たいと思い、スカパーで録画し観ましたが、やはり小説に軍配があがります。しっとりとした本当に読みごたえのある良い作品です。
本は…主人公が医者で、本庄病院の救急医療現場から書きだされています。背景がわたしの故郷松本なので、読むのに力が入りました。面白いメンバーが暮らす、ちょっと風変わりな古い感じのアパートも読んでいて楽しいです。
大学病院で断られた安曇さんという患者が本庄病院へ入院てくることで、主人公は、医者としてどうあるべきかを考えさせられることになります。
続きを読む投稿日:2013.09.27