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あきの書店さんのレビュー
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  • うたかた/サンクチュアリ

    うたかた/サンクチュアリ

    吉本ばなな

    幻冬舎

    育ちの良さ

    吉本ばななという作家は、育ちがいいなあ~そう思いながら読みました。本人のどこにも偏屈がないように思えたからです。 「うたかた」は家族と言えるかどうか分からない、それこそ偏屈な4人について書いています。父・父と一緒に暮らしている嵐。母・母と暮らしている人魚。2組は別々の家に暮らしています。 この父と母がカトマンズへ旅をし、後から嵐も行く。そしてみんな帰国する。これに日常の嵐と人魚のやりとり、こんなストーリーです。 わたしの書く小説など、現実味を出すために、サイフの辻褄を合わせながら書きますか、そんなのは吹っ飛んで、若い二人の会話で成り立っている本ですが、読んでいてイヤではありません。むしろうまいなあ~こういう書き方もあるんだと納得させられます。 「幸せっていうのはな、死ぬまで走り続けることなんだぞ」また「それに家族はどこにいてもひとつだけれど、人は死ぬまでひとりだ。わかったか」そう、父に言わせています。

    0
    投稿日: 2013.12.01
  • 方丈記 現代語訳付き

    方丈記 現代語訳付き

    鴨長明,簗瀬一雄

    角川ソフィア文庫

    どんな人生の終わり方がよいのだろうか。

    「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」方丈記は鴨長明が来し方を返りながら、どのような晩年が生き易いかをつづっています。 すべてのものは時の中で移ろい、滅び、消え、また生まれ、成長し…という因果の中にある。それを人間と住居に目を据えて具体的に見ています。 ①人の世がいかに定めなく自然と運命のもとに脆くはかないか。安元の大火、治承4年の竜巻、清盛の福原遷都、養和の大飢饉、元暦の大地震など。 ②個人的に住居の転変、身分の移り変わり…50歳で世を捨て、最後に粗末な方丈の住居の楽しさに至る…誰にも気兼ねすることなく、何をしても自由…「独り調べ,ひとり詠じて、自ら情を養ふばかりなり」と心安らいだ境地に達しています。 昔も今も人は似た事を考えるもの。科学は過去の蓄積があって、その上で進歩していきますが、人間は1人の人が生まれるから死ぬまでを体験するのみ。だから、世の中のことが分かったころには死んでいきます。進歩がないのは、個としての人生は蓄積できないからです。

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    投稿日: 2013.09.28
  • 蜜蜂乱舞

    蜜蜂乱舞

    吉村昭

    新潮社

    凛とした人の生き方とは…

    「蜂蜜乱舞」を読んで、氏の沈着な筆致と同じく、人の生き方もまた、そのようであったことを尊いと感じました。 私自身が、人生の最終段階に入った今は、まわりの人間を傷めつけない生き方…言いかえれば、人としてのありようを大事にした生き方をしたいと考えるようになりました。そんな考えに寄り添ってくれる本です。 内容は、養蜂家の話。毎年鹿児島から出発して花を求めて日本縦断をします。①花の咲く時季は長くない。②トラックでの運搬は生き物を運ぶために、管理が考えられないほど難しい。そんな中でも「ちゃんとした生き方」をしていく人々が描かれた作品です。

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    投稿日: 2013.09.27
  • いじめと探偵

    いじめと探偵

    阿部泰尚

    幻冬舎

    いじめの根源は、案外子育ての基本を失った家庭にあるのでは…

    著者・安部泰尚氏は探偵社の人です。 【使いっ走り、カツアゲ、万引きの強要、度重なる暴力、そしてクラスメイトによる集団レイプまで、いじめは様々だが、ほとんどの被告生徒は、いじめを必死に隠し周囲に相談しない。仮に子どもが告白し、親が学校に相談しても、多くの学校は調査すらしない。そればかりか「証拠を持ってこい」と言う。そこで調査・尾行・録音・録画に秀でた探偵の出番となる】と書いてあります。 、数々の具体例が書いてあります。唖然とばかりもしていられないと、わたしも考えました。どうして命にを関わるような酷いことをするようになっているのか? ①戦後、食うや食わずで生きたころには「アトピー」なんてなかった。 ②貧乏で食べるものがないような家に育った子は「親孝行」者が多かった。 ③昔は、親が生活に苦労する姿が身近にあった。 何の脈絡もないように見えるこれらですが、案外根っこの部分は今回の問題と共通項を持っているのでは…。

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    投稿日: 2013.09.27
  • 親鸞(しんらん) 激動篇(上) 【五木寛之ノベリスク】

    親鸞(しんらん) 激動篇(上) 【五木寛之ノベリスク】

    五木寛之

    講談社文庫

    親鸞の魅力…読んでゾクゾクするほどです

    平安時代末期から鎌倉時代にかけて、戦乱が相次ぎ、飢餓や干ばつの広がりから庶民が生きる希望を持てなかった時代の話。そんなとき、仏の力で人々を救おうとした2人の僧侶。 南無阿弥陀仏を唱えれば極楽浄土へ行けると説いた法然と、その弟子で、阿弥陀仏を信じるだけで救われると説いた親鸞。上巻は幼児期から仏の道へ入る過程がフィクションを交えて面白く描かれ、下巻は親鸞が新潟へ流されるところで終わっています。 わたしも趣味で小説を書くので、こんな時代の有名人をストーリーとして、どのように組み立てていくかに興味がありました。そして思いました。ピアノで言うと、バイエルを弾くわたしと、リストを弾く五木氏の違い。バイエルを習ったことで、リストを弾く作家の凄さが分かり。よくぞこんな物語を紡げるなあと…ため息。

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    投稿日: 2013.09.27
  • 神様のカルテ

    神様のカルテ

    夏川草介

    小学館文庫

    しっとりとした良い作品です

    小説「神様のカルテ」を読んだ時、これが映画になっていることを知って、ぜひ観たいと思い、スカパーで録画し観ましたが、やはり小説に軍配があがります。しっとりとした本当に読みごたえのある良い作品です。 本は主人公が医者で、本庄病院の救急医療現場から書きだされています。背景がわたしの故郷松本なので、読むのに力が入りました。面白いメンバーが暮らす、ちょっと風変わりな古い感じのアパートも読んでいて楽しいです。 大学病院で断られた安曇さんという患者が本庄病院へ入院てくることで、主人公は、医者としてどうあるべきかを考えさせられることになります。

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    投稿日: 2013.09.27
  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

    下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

    内田樹

    講談社文庫

    まともな授業ができないのは何故?

    今、学校でまともな授業が行われにくいという話や、大企業に入社出来て、親がやれやれと安堵していると3年以内には辞めてしまう…理由は「自分に合わない」ことのようです。そんな社会現象をどのように、分析しているのかに興味がありました。 読みはじめましたが、教育について授業時間を増やせば学力低下が防げるなんて言う簡単な問題でないことが分かって来ました。 何をするにも「本人のやる気」がなければできない。豊か過ぎてその芽を摘んでいるからだ…わたしはそんな風に考えていたのですが、いやはや根は深い。 そんなことを感じながら、ざっと読み進み、2回目に読めば、もう少し内容理解が出来るようになるだろうと考え始めています。つまり小説を読むように1回読んで終わりには出来ない本です。

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    投稿日: 2013.09.27
  • 女のおっさん箴言集

    女のおっさん箴言集

    田辺聖子

    PHP研究所

    人生の深みに気付かされる

    【子供のときに味わった後悔や苦悩や挫折感などは、オトナになってからの人生行路のある種の道標になるが、「愛された記憶」は、人を支える。(私はこんなに愛されたのだ)という記憶が、後に人を救う】と。 人を救うのは、「愛された」という記憶だと言っています。子育て段階で、子に分かるようにしっかり愛情を注ぐ…これさえ逃さなければ、ほかのことは適当でも子はうまく育つもの。字を早くから憶えさせたり、稽古事をさせたりしても、大したことはないでしょう。肝心なのは「年相応の体験をさせる」ことではと、この本を読んでそんなことを思いました。

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    投稿日: 2013.09.27
  • 捨てる力

    捨てる力

    羽生善治

    PHP文庫

    迷った時の道案内

    「捨てる力」羽生善治。選んだのは単純な動機でした。「捨てる」に引っかかったのです。 「棋士が手を選ぶ時、最初に使うのが直感力。次に読みに入る…読みとはシュミレーションで、次が大局観。これは戦略や方針を決めることで、攻めたらいいか、守った方がいいか…などを考えながら選択肢を狭めていく」そうです。まず抽象的なことを考えてから具体的に詰めていくのだと。 何だか人生に迷った時も使えそうです。漫然と悩んでいるのではなく、出口はどっちかなという直感力。つぎがシュミレーションをしてみる。そして最後の大局観は、本を読んだり経験を積むことによって「どのように生きたいか」を自覚する。ここを掴んでいると自ずと道が開けるのでは…。そんなことを感じました。

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    投稿日: 2013.09.27
  • 思い通りの死に方

    思い通りの死に方

    中村仁一,久坂部羊

    幻冬舎新書

    老いる前に読むと、目からウロコ…

    、1本10万円の注射を打つ話を2 人から聞きました。1人は前立腺ガン、もう1人は体中にガンが広がって手の打ちようがないと宣告されている人。両者は医者から言われて、高額な注射を打ち続けているそうです。 何で?…どうして?…いまどきの医療はそんなにお金が掛るの? 俄然、医療に疑問を持ちました。 「思い通りの死に方」中村仁一・久坂部羊著は、こう言っています。 【人生には往きと還りがある。行きは繁殖時代まで。還りはそれから死ぬまでの間。医療も、この往きと還りでは違った治療の仕方が良いのではないか】と。 女性は閉経50歳ごろ、男性もこれに似た60歳ごろ。頂上を過ぎたら、老いの坂を下ることになる。そこで起きる体の不調は「病気ではなく、老いることに伴うもの」。それを病気として扱い、医療をもって元に戻そうとするから、大変な痛みや、苦労を心身ともに味わうことになると。

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    投稿日: 2013.09.27
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