I can Fly!! ミステリー作家 似鳥鶏 デビュー10周年特集!

I can Fly!! ミステリー作家 似鳥鶏 デビュー10周年特集!

2017.10.20 - 特集

2017年、若手ミステリー作家似鳥鶏さんのデビュー10周年記念!
プロフィール紹介からシリーズ紹介、各担当編集からのコメント、
そして新刊インタビュー記事のご紹介まで。Reader Storeは似鳥鶏さんを応援します!

似鳥 鶏(にたどり けい)

1981年千葉県生まれ。2006年『理由(わけ)あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選し、デビュー。同作から始まる「市立高校」シリーズや「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズを執筆。「戦力外捜査官」シリーズはテレビドラマ化も果した。2017年にデビュー10周年を迎え、今最も注目される若手ミステリ作家。

【担当編集者より】
担当した本は三作。『迫りくる自分』『レジまでの推理』、そして最新作『100億人のヨリコさん』です。

『迫りくる自分』は、『戦力外捜査官』がテレビドラマ化され、似鳥ワールドが広く世間に認知されはじめた、まさにブレーク前夜に企画されました。

顔も声も自分と瓜二つの男。しかし、人間性は最低。主人公はいつのまにか、その男の仕掛けたらしき罠によって、犯罪者に仕立て上げられてしまいます。いったい何のために自分を陥れようとしているのか? 謎は深まりますが、まずは逃げるしかない。警察にも追われますが、何よりも「自分」に追い詰められていく不安と恐怖が、全編を彩っています。

軽やかな筆致と親しみやすいキャラクター、ぬけぬけとした奇想とトリックで、新鋭本格ミステリ作家として注目されてきた似鳥さんが、「ひとつの色に染まりたくない」と、新たな作風にチャレンジした意欲作。ダークサイドの似鳥鶏にもぜひご注目いただきたいと思います。

『レジまでの推理』の企画のスタートは、『迫りくる自分』より早く、大崎梢さんのリクエストによって編まれた『本屋さんのアンソロジー』への参加がきっかけでした。書店と書店員、そして書籍を取り巻く現在の状況を織り込んで、軽快なストーリー展開のなかに苦い真実を挟み込み、粋なサプライズでくるんだ傑作です。

『100億人のヨリコさん』は、似鳥さんのデビュー10周年にふさわしい、あまり作例のない、風変わりで驚きに満ちた作品になりました。大学の貧乏学生寮の寮生たちが、周囲で起こった怪異の原因を探りはじめたのをきっかけに、世界的危機に立ち向かうという、こう書いてもどんな話かよくわからないストーリーですが、これが抜群に面白いんです! 大学生の賑やかな日常に共感しつつ読み進めて、思いも寄らないクライマックスに連れていかれちゃってください。

デビューから10年、着実に作品を重ねてきた似鳥さんですが、そのアイディアと執筆意欲はとても旺盛で、その全貌はまだ見えません。10周年フェアを機会に、多くの読者のかたがたに、作品に触れていただき、なおかつこれからも似鳥さんを追いかけてもらいたいと思っています。たぶん、今まで見たこともないような小説と出会うことができるはずです。そうですよね、似鳥さん。

(光文社文芸図書編集部 鈴木一人)

【東京創元社】〈市立(いちりつ)高校シリーズ〉シリーズ

某市立高校の芸術棟にはフルートを吹く幽霊が出るらしい――。吹奏楽部は来る送別演奏会のための練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。かくなる上は幽霊など出ないことを立証するため、部長は部員の秋野麻衣とともに夜の芸術棟を見張ることを決意。しかし自分たちだけでは信憑性に欠ける、正しいことを証明するには第三者の立ち合いが必要だ。……かくして第三者として白羽の矢を立てられた葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた! にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは? 第16回鮎川哲也賞に佳作入選したコミカルなミステリ。

【担当編集者より】

いまを去ること10年少し前、札幌の喫茶店ではじめて似鳥さんとお会いした日を思い出します。事前に連絡は取り合っていたものの、少し待ち合わせ時間に遅れてやってきた長身の若い男性と、小柄で可憐な美少女の組み合わせに驚かされました。お二人の関係は? と疑問に思いながらもデビュー作『理由あって冬に出る』の刊行に向けてのお話しをしていきました。一心不乱にメモをとる男性、利発そうに思案する美少女の姿は、周囲の方々にはどのように見えたのでしょうか。

いまは鮎川哲也賞の贈呈式ぐらいでしか、美少女の似鳥さんとお会いする機会がないのが残念です。それからの似鳥さんのご活躍は読者の皆さんもご存じの通り。というわけで、似鳥さん10周年おめでとうございます。次作について、こんどゆっくりと3人で打ち合わせしましょう。※このお話には嘘が混じっています。悪しからず。 (東京創元社 神原佳史)

【講談社】「御子柴」シリーズ

両親を殺人事件で亡くした天野直人・七海の兄妹は、養父なる人物に呼ばれ、長野山中のペンションを訪れた。待ち受けていたのは絞殺事件と、関係者全員にアリバイが成立する不可能状況!推理の果てに真実を手にした二人に、諜報機関が迫る。名探偵の遺伝子群を持つ者は、その推理力・問題解決能力から、世界経済の鍵を握る存在として、国際的な争奪戦が行われていたのだ……!

【担当編集者より】

名探偵遺伝子群と呼ばれる、天才の遺伝子を持つ妹と、平凡な兄・天野直人。彼らの前には、国家的組織が仕掛ける不可能犯罪の数々が! 早く事件を解決しないと、新たな犠牲者が出てしまう。名探偵が国家に追われる世界で、二人は謎にどう立ち向かう?

講談社タイガより刊行されている「御子柴シリーズ」は、現在、『シャーロック・ホームズの不均衡』『シャーロック・ホームズの十字架』の二作が刊行されています。このシリーズは、ミステリが抱える「なぜ、名探偵は事件に遭遇しやすいのか」という根源的な問いに、似鳥さんならではの新しい世界観で答えた意欲作! ……なんて書くと、少し難しそうにも聞こえますが、物語は、主人公の兄妹が、悩み傷つきながらも成長していく青春小説であり、『金田一少年の事件簿』などが好きな読者が大興奮できるような驚天動地のトリックが詰め込まれた本格ミステリでもあります。

たくさんの物語を描き続けた、似鳥さんも、ついにデビュー10周年。ますます磨きをかける稀代のトリックメーカーから、ますます目が離せません! どうかこれからも魅力的な小説(そしてトリック!)を読ませてください。(講談社 河北壮平)

祝・デビュー10年!インタビュー 似鳥鶏が目を向ける新たなる地平

【 担当編集者より】

似鳥さん、デビュー10周年おめでとうございます!

作品に込められたミステリへの愛と情熱、そして一筋縄ではいかない味のあるキャラクターたち。次はどんなアイディアで楽しませてもらえるのかと、いつも一読者としてもわくわくさせられています。

ますますのご活躍を心より願っております!

 

10周年となる本年、KADOKAWAからは2冊の似鳥作品が刊行されています。

1冊目は新作単行本『彼女の色に届くまで』。

画家を目指す男子高校生・緑川礼と、その同級生で天才的な美術センスを持つ謎めいた美少女・千坂桜が、実在の絵画をヒントに絵画にまつわる謎を解き明かす青春アートミステリです。見ていた世界を一変させるある仕掛けと、じれったい二人の関係性は必見です!

もう一冊は『きみのために青く光る』(角川文庫/『青藍病治療マニュアル』改題)。

こちらは、それぞれの心の不安に根ざした“異能”を発症した思春期の男女が織り成す連作短編です。能力発動時に身体が青く光ることから「青藍病」と名付けられたこの症状。その力が引き起こすのは笑いでもあり、涙でもあり――。きっとあなたの心に残るファンタジック・ミステリです。( KADOKAWA 伊知地香織)

【文藝春秋】「楓ヶ丘動物園」ミステリー

フクロモモンガが逃げたと思しき古いアパートの部屋には、ミイラ化した死体が。いったい誰が何の目的で死体のある部屋でモモンガの世話を?謎の大型生物が山の集落に出現。「怪物」を閉じ込めたという廃屋はもぬけのからだった。キリン飼育員・僕(桃本)にツンデレ獣医・鴇先生、アイドル飼育員・七森さん、そしてカルト的人気の変態・服部君、オールキャストで大活躍!

祝・デビュー10年!インタビュー 似鳥鶏、モモンガとともにふたたび飛び立つ

【 担当編集者より】

似鳥さんに初めてお会いしたのは「別冊文藝春秋」で連載を開始していただいた2011年。動物園を舞台にした珍しいミステリ『午後からはワニ日和』の本作りを担当させていただきました。似鳥さんのぎっくり腰が悪化して、会社の会議室で寝そべりつつゲラをチェックしていただいたのが忘れられません。キリン飼育員の桃君にツンデレ獣医・鴇先生、アイドル飼育員・七森さん、そしてカルト的人気の変態・服部君といった超・個性的なキャラターたちが活躍する〈楓が丘動物園〉シリーズは好評を持って迎えられ、第2弾『ダチョウは軽車両に該当します』(本が出た後で、本当にダチョウが高速道路を走る事件があってびっくり)、第3弾『迷いアルパカ拾いました』が刊行されました。動物園で事件を起こすのはそろそろ限界です~と弱音を吐いておられましたが、待望の新作『モモンガの件はおまかせを』が3年ぶりに刊行されることになりました!本作のテーマはペットということで、事件は動物園の外で起こりますが、おなじみのキャラクターはオールキャストで大活躍!そして似鳥さん、10周年おめでとうございます!温和でとぼけたお人柄である一方、納得できないことには隙のない論理で立ち向かう似鳥さんには、これからも硬軟取り混ぜた傑作を次々に書いていただきたいです。(文藝春秋 花田朋子)


【河出書房新社】11月に最新刊が発売予定!「戦力外捜査官」シリーズ

捜査一課に配属されてきた身長150cm未満(推定)でアイドル並みにかわいい海月警部は、周囲のかすかな期待を裏切る捜査能力の低さで、たった二日で戦力外通告されてしまう。お守役の設楽刑事と独自に連続放火事件を追ううち、「冤罪」と噂される7年前の事件に辿り着くが―。すべての点が繋がった時、真犯人の壮大な復讐計画が明らかになる。連続放火、女子大生殺人を結ぶ復讐計画とは…!?注目の著者による書き下ろしミステリ。

【担当編集者より】

「戦力外捜査官」シリーズは、警視庁捜査一課の推理だけは超一流のドジっ娘警部・海月千波と、そのお守役になってしまったエース刑事・設楽が難事件に挑む警察小説です。毎作、始まりは一つの小さな事件ですが、その裏ではカルト教団やテロリストなどが東京中をパニックに陥れる斬新で邪悪な企みを密かに進行中。それに気づいた凸凹コンビが陰謀を阻止するべく東京中を駆け回ります。潜入捜査や暗殺者との死闘など手に汗握るシーンの連続はさることながら、二人を厄介者として扱いつつも実は仲間思いの刑事たちの活躍も見逃せません。さらに、毎日を一所懸命に生きている普通の人々によって危機が未然に防がれる展開もあり、感動で心が揺さぶられること間違いなし!

 一作目の『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』から『神様の値段』『ゼロの日に叫ぶ』『世界が終わる街』と現在まで4作刊行の、ドラマ化もされた「戦力外捜査官」は、本年11月、最新5作目が刊行予定。巻を追うごとにスケールが大きくなる本シリーズ、新刊も是非ご期待ください!

 この10年、ミステリとしての面白さはもちろん、市井で生きる人々にもきちんと目を向け、人間の営みと心の動きを作品に込められてきた似鳥鶏さん。これからの10年、20年、それ以降も生み出されるであろう新たな人間たちやそのドラマを、心から楽しみにしております! デビュー10周年、本当におめでとうございます!(河出書房新社 中山真祐子)

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合