あなたは知ってる？「学習の選択肢」この機会に本で学ぼう。
2018.10.12 - 特集
「1%未満」
この数字は、今年のセンター試験受験者における、「高等学校卒業程度認定試験（高認）」をはじめとする高等学校卒業者以外の割合です。
この数字は何を表していますか？ 優劣ですか？ または、正否、勝敗でしょうか？
そこにあるのは、純然たる「異なる選択肢」だけなのに、ただの「違い」は時に壁となり、時に無理解を生む根拠にもなってしまいます。
今回のテーマと作品を通して、異なる経歴を持つ人と、先入観なく接するためのきっかけが出来たらいいな、と思います。
『中卒労働者から始める高校生活』／佐々木ミノル
工場で働く18歳の片桐真実（かたぎりまこと）は、自分を中卒だと笑い捨てた周囲を見返すべく、高校受験に失敗した妹の真彩（まあや）と共に人種のルツボ“通信制高校”に入学する。
そして入学式当日、見目麗しきお嬢様・逢澤莉央（あいざわりお）と劇的な出会いを果たす―――。
工場で働く片桐真実（１８）は、自分を中卒だと笑い捨てた周囲を見返すべく、人種のルツボ“通信制高校”に入学する。お嬢様・莉央と出会い、喧嘩ばかりの日々。混沌の教室で、一癖も二癖もある同級生達と激しい交流を重ねつつも、遂に二人は惹かれあい、付き合い始めた。そして二年生になった真実たち。莉央はアルバイトを始め、新たな人間関係が広がりーーー。
私は高校を中退しました。学校に行かなくなった日から、日中外を歩くことに憶病になりました。
「自分だけがダメな人間なのではないだろうか？」
「高校にも行けない人間に未来なんてないのではないか？」
自分を否定する声が聞こえなくなることは、ずっとありませんでした。
『中卒労働者から始める高校生活』には、通信制高校へ通う様々な境遇の人たちが登場します。全日制に合格しなかった人、仕事をリタイアした人、子どもを育てるシングルマザー。
私とは異なる背景をもつ人たちが、当時の私と同じように、必要以上に抱えるコンプレックスに振り回されていて、周囲に頼ることを良しとしない決意を持っている。その心が、人と人が触れ合うことで、少しずつ溶かされていきます。
人と異なる選択をする人たちだって、それぞれの分野で頑張っている！
それもまた、特別なことではありません。誰だって、頑張っています。だから大切なのは、自分とは異なる選択をした人へ、想像力を働かせることではないでしょうか。
『中卒労働者から始める高校生活』は、想像力が聞かせる他者の声を、出来れば大切に聞いてみたいと思わせてくれる一冊なのです。
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