豊田巧の「鉄道書籍ノススメ」~第1回~

豊田巧の「鉄道書籍ノススメ」~第1回~

2018.09.28 - 特集

『RAIL WARS!』シリーズ、『電車で行こう!』シリーズなど、数多くの大ヒットで、年代問わず、鉄道ファン&ゆる鉄のみなさんの支持を得ている作家:豊田 巧(今夏には、『RAIL WARS!』最新15巻なども発売)による、鉄道ネタを語る特集コーナー:「鉄道書籍ノススメ」へと出発進行!

電車で行こう! 東武特急リバティで行く、さくら舞う歴史旅!

豊田巧, 裕龍ながれ / 集英社みらい文庫

¥626 (税込)

お花見に出かけた上野で出会った、歴史好きの少年・航くん。おじいちゃんがシナリオを書いたお芝居が会津若松で上演されるということで、みんなで見に行くことに。でも、ただ行くだけじゃつまらない。電車と歴史を一緒に楽しんじゃおうというスペシャルツアーを雄太と大樹がプランニング。まず乗り込んだのは浅草発の特急リバティ! 最初の目的地は日光東照宮!! 一体どんなルートで会津若松に行くの!?

RAILWARS! ~日本國有鉄道公安隊~

豊田巧, バーニア600 / 創芸社クリア文庫

(27)

¥486 (税込)

國鉄が分割民営化されなかった未来のパラレルストーリー。超優良企業・國鉄に就職し、安定した将来を夢見る平凡な高校生・高山直人。そんな彼が研修で配属されたのは個性派揃いの「鉄道公安隊」だった☆ しかも、國鉄の分割民営化を企む過激派「RJ」まで暗躍して……。夢の鉄道パラダイスエンタテインメント、定刻通りに出発進行!!

RAIL WARS! 15 日本國有鉄道公安隊

豊田巧, バーニア600 / Jノベルライト

¥621 (税込)

中学生アイドルの身辺警護!? 余部鉄橋で事件が起こる! 一生安泰國鉄人生を夢見る平凡な高校生の俺、高山直人。鉄道公安隊第四警戒班で絶賛OJT研修中。「なにが不満なんだよ? 桜井」「なんでっ! 大宮交通博物館で行われているunoBのライブ中継を、東京中央鉄道公安室の全員が揃って見なきゃいけないのよっ!」我らが警四に命令された今度の任務は・・・・・・餘部駅までの中学生アイドルの警護!? 國鉄山陰本線に國鉄キハ181系気動車のDML30エンジン音が響く!! 國鉄が分割民営化されなかったもうひとつの日本を舞台に、夢の鉄道パラダイス・エンタテインメント!

豊田 巧(とよだ たくみ)

小説家 1967年生まれ。元ゲームメーカーの家庭用・業務用ゲームの広告宣伝部門責任者を経て小説家に転身。著書に『電車で行こう!』、『RAIL WARS! -日本國有鉄道公安隊-』、『鉄血の警視』、『きっぷでGO!』(すべてシリーズ)など多数。

豊田 巧(とよだ たくみ)

第1回 「鉄道ミステリー」 その1

こんにちは豊田 巧です。

鉄道ミステリーについて何か語れということなので、まずは日本で最初に発表された鉄道ミステリーのお話からしましょうか。

諸説あるとは思うんですけれど、日本初の鉄ミスは、江戸川乱歩の『一枚の切符』なんじゃないかと僕は思っています(いろんなつっこみは入るかもしれませんが・・・・・・)。電子書籍で探してみたら『江戸川乱歩作品集』などにも収録されていますね。気軽に電子書籍で読めるようになっていたのでよかったです。作品について簡単に説明しますと、鉄道にひかれた死体から事件を追いかけていく短編推理もので、鉄道ミステリーの先駆け、と言われています。1923年に発表された作品なので、もう100年近くも前なんですね。子供の頃に、僕は興味津々で読んだ記憶があります。


そのあと、日本の鉄道ミステリーが次々と出てくるんですけど、海外と日本では進化していく道が違っていて、そこが僕はおもしろいと思うんですよね。

海外は列車運行がいい加減だから時刻表トリックって絶対にできない(笑)。でも、海外の鉄道って、国を跨いで走る豪華寝台列車とかもあって、密室をつくることができたり、場所や背景が変化するから、舞台としては色々と使える。だから、海外作品は、密室殺人の謎を解いたり、パニックものといった方向性へと発展していきます。

あのアガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』だって、出発するところからもう遅れている(列車運行がいい加減!)。で、雪の中で立ち往生しちゃう(海外は保線も大雑把だから!)。そこで起こる殺人事件!!! 日本の鉄道ミステリーとは全然違いますよね。 


日本の作品は、この時間にここにいられたはずがない、みたいな、時刻表をもとにしたアリバイトリック、時刻表トリックの方向へと進化していく。

その一番もとになっているのが、ご存じ松本清張の『点と線』。

そのあと、猛烈にたくさんの時刻表トリックミステリーが生まれてくるんですが、『点と線』は日本の鉄道ものの基礎の基礎、みたいな名作だと思います。

時刻表トリックって、鉄道が正確に動いているからできることで、日本の鉄道ミステリーは「時刻表どおりに正確に走る鉄道」という前提に成り立っている。そんな日本と海外との違いを読むのもおもしろいと思っています。


『点と線』は海外でもたくさん翻訳されていて、最近訪れた台湾でも書店に並んでいまして、今でも人気を集めているようでした。

この作品は、アリバイ崩しが何段階も丁寧に描かれて、追い詰めていく過程がすごいですよね。

当時の時代背景はありますが、今読んでもおもしろい。一度は読んでおきたい作品です。


『オリエント急行殺人事件』についてもう少し話すと、僕がこの作品の映画(1974年版)を見たのは子供の頃だったので、お話がよく分からなかったんですよ。だから、そのあと改めて本を読みました。もっとも、ちゃんと理解できたわけじゃなくて、蒸気機関車や客室や、列車のほうに興奮していた感じです。今読むと、また別のものが見えてきて、面白さは増していますね。

密室で起きる殺人、そのトリックもさることながら、イスタンブール駅の出発風景など、旅情をかきたてられるシーンが続くわけで、味わい深い作品だなあと思います。

日本の新幹線の出発シーンを書いてもあそこまでの旅情は出ない。イスタンブール駅の喧騒の中で、豪華なオリエント急行に次々と乗っていく人たち。あの臨場感は海外ミステリーならではだと思います。


『点と線』や『オリエント急行殺人事件』など、古今の鉄道ミステリーについての解説は、原口隆行著『鉄道ミステリーの系譜』でも詳しく読めます。色々となるほどということが発見できる1冊だと思います。


自分の読書経験を振り返ってみると・・・・・・。

ずっとSFやファンタジーを中心に読んでいたのですが、ゲームの仕事(『電車でGO!』)で鉄道関係に関わるようになって、鉄道ミステリーをどっと読み始めました。

なかでも、西村京太郎の十津川警部シリーズは、100冊くらいは読んでいると思います。

ちゃんとフィールドワークしてらっしゃるし、とても勉強になりました。

色々と読んでいくと、列車ものと駅ものとその他っていう、だいたいの分類が分かってくるんですよね。

列車ものは、列車内で殺人事件が起きたり、鉄道でたどっていったりする、テレビでもおなじみの鉄道ミステリーです。

駅ものは、十津川警部がとある駅にいて、そこだけでお話が展開していきます。

ぼくが特に好きなのが、この、駅ものなんです。

ただひとつの駅にいるだけなのに、いろんな事件が同時に進行して、状況がごっちゃごちゃになって十津川警部が走り回る。展開が早くて、アクションシーンもあります。

〇〇駅っていうタイトルがついていて、「駅シリーズ」という副題がついているのですが、函館駅、札幌駅、上野駅、京都駅、西鹿児島駅・・・、みんなオススメなのですが、その中でもマイベストは、『東京駅殺人事件』です。

最高に好きな作品であるとともに、色々と勉強させてもらった1冊ですね。


(続く)

<鉄道ミステリー>関連書籍

江戸川乱歩作品集 五

江戸川乱歩 / オリオンブックス

¥108 (税込)

日本の探偵小説界に大きな足跡を残した江戸川乱歩の短編三本を収録。刺激を求めて集まるそのクラブに新入会してきた男の奇怪な話とは「赤い部屋」。著名な博士の夫人が列車に轢かれて死亡した。果たして真実は?「一枚の切符」。火事で死亡した美人妻。なぜ死んだのか夫の復讐はなるのか「恐ろしき錯誤」。※読みやすくするため現代の言葉に近づけてますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。

オリエント急行殺人事件

アガサ・クリスティ, 田内志文 / 角川文庫

(6)

¥648 (税込)

高級寝台特急で起きた殺人事件の容疑者は、目的地以外は共通点のない乗客たち。世界一の探偵、エルキュール・ポアロが導き出した真実とは――。“ミステリーの女王”の代表作が読みやすい新訳で登場!

点と線

松本清張 / 文藝春秋

(8)

¥378 (税込)

ミステリ好きなら名前を知らぬ人がない名作です。舞台は昭和三十年代。福岡市香椎の岩だらけの海岸で寄り添う死体が見つかったのは、汚職事件渦中にある某省課長補佐と料亭の女中。青酸カリ入りのジュース瓶がのこされ、警察ではありふれた心中事件と考えた。しかし、何かがおかしい──と福岡の老警官と東京のヒラ刑事は疑問を抱く。うたがわしい政商は事件当時、鉄道で北海道旅行中。そのアリバイは鉄壁だった──時刻表トリックの古典にして、今も瑞々しい傑作ミステリ。

鉄道ミステリーの系譜

原口隆行 / 交通新聞社新書

(1)

¥756 (税込)

本書は、推理小説と鉄道双方の歴史と相関関係を踏まえて、鉄道を舞台にした作品、鉄道を主題にした作品などを総称して「鉄道ミステリー」と決め、これはと思われる作品を厳選したうえで時代を追って紹介します。推理小説と鉄道――この二つの相性が抜群によいこともあり、鉄道が重要な要素として、また格好の素材として推理小説に盛んに取り込まれるようになったことは、いわば必然の成り行きだったのでしょう。

東京駅殺人事件~駅シリーズ~

西村京太郎 / 光文社文庫

¥648 (税込)

東京駅の爆破を予告する脅迫電話が、駅長室にかかった。五十万人の乗降客を人質にとった犯人の要求は一億円。爆破予告時刻が迫るなか、受け渡しの舞台となった「踊り子号」には巧妙な罠が仕掛けられていた。首都の危機は回避されるのか。十津川警部率いる捜査陣と犯人との息づまる攻防を描いた傑作サスペンス! ファン待望の新装新版で贈る「駅シリーズ」第一弾!

鉄道ダイヤ情報_2018年9月号

鉄道ダイヤ情報編集部 / 交通新聞社

¥788 (税込)

"2018年9月号の特集は『近鉄特急』。名阪特急“アーバンライナー”のデビュー30年を機に、表定速度で私鉄最速を誇る特急列車の高速伝説と、そのすごさに迫ります。そして、車内供食サービスや歴史、多様な車両形式の紹介と、撮影地ガイドも収録。近い将来に新時代を迎える「近鉄特急」の現状を整理し、これからの変化をいっそう楽しみましょう!
※電子版には「折込付録」ならびに「別冊付録」は収録されておりません。あらかじめご了承ください。"

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