Slowdown 減速する素晴らしき世界
ダニー・ドーリング(著)
,遠藤真美(訳)
,山口周(解説)
/東洋経済新報社
作品情報
人口、経済、情報、テクノロジー、債務・・・・・・
スローダウンはすでに始まっている!
オックスフォード大学の地理学者が
膨大なデータと事実(ファクト)で明らかにした
「加速時代の終焉」と「世界の安定化」
読者が突きつけられる
「直感に反する現実」と「人類の未来」とは?
山口周解説
――本書は現代人を振り回す「全ては加速している」という迷信を解除してくれる
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この作品のレビュー
平均 3.6 (9件のレビュー)
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スローダウンは見えにくい
いまはあらゆるものがスピードアップしており、これからは加速化の時代が到来すると喧伝されているが、著者はそうした予測に対し冷ややかに「将来について書いているつもりが、実際は過去を振り返って」いるにすぎな…いと切って捨てる。
むしろ、あらゆるものはやがて必ずスローダウンするのだ、と。
確かに我々は数世代に渡って目まぐるしいほどの変化を経験した。
なので、この先も変化が続くと信じてしまいたくなるし、何なら近い将来は近い過去とは大きく違うとも思ってしまいやすい。
が、変化は過去のようなペースでは起きず、むしろ減速している。
未来だけでなく、過去についても正確にわかっていることはほとんどないのに、私たちはそのことをつい忘れてしまう。
出生率がスローダウンし、消費もスローダウンし、賃金もスローダウンしている。
アイデアやイノベーションのスピードも同様で、新しいことが矢継ぎ早に発見される時代は終わっている。
大きな変化はもう終わり。
劇的・革新的で、根底的な重大な変化はもう生まれてこない。
そのほとんどは過去5世代で実現されてしまった。
この「過去5世代」こそ、むき出しの資本主義という大きな渦にどっぷり浸かって暮らしてきた、我々なのである。
スローダウンは減速であって、減少ではないので、それが起きていることに気づきにくいし見えにくい。
ある種の錯覚でもあるのだが、我々はつい絶対値の方ばかり見て、変化の速さに注意を払わない。
仮に増加率など変化の相対速度が一定でも、増加数など変化の絶対速度は上昇し続ける。
それに変化というものは、いつもそうなんだけど、それが起きた直後には慣れてしまいやすい。
それに何かがいつもある状態に慣れきってしまっていると、新しいものが生まれる頻度がどんどん下がっていることにも気づけない。
我々は"目まぐるしいほどの変化"と聞くと怖じ気づいてしまうが、実は変化が止まることの方がよっぽど恐ろしい。
それがもし、急ブレーキがかかり大きな衝突音がして止まるのではなく、ひっそりと静かにスピードを落として止まるのだとしたら。
政府の膨大な借金にしても、インターネット上で入手できる情報にしても、実は近年、増加のスピードは以前よりも遅くなってきている。
毎日、私たちの生活に洪水のように押し寄せてきていた諸々すべてが、いまではスローダウンしてきている。
イノベーションの速度もスローダウンしているし、人工知能の進歩のスピードも実は遅くなっている。
確かに、1970年代以前のテクノロジーの進歩は、目を見張るほど速かった。
しかしそれ以降は、驚くほど遅くなっている。
テクノロジーの進歩も永遠には続かない。
この点で著者の立場は、スティーブ・ピンカーに代表される「世界は過去より良くなっていて、今後もさらに良くなりうる」という考えとは対立している。
科学の進歩や工業化・グローバル化を肯定・擁護する立場と一線を画している。
だからといって、未来に対して悲観的かと言えばそうでもない。
じゃあこのスローダウンはいつ始まったのか?
著者は明確に「1964年以降」だと指摘する。
この年以降から始まった人口のスローダウンが、経済からテクノロジー、ライフスタイルへと波及していったのだ。
裏を返せば、経済成長そのものが、1960年代後半以前に生まれた成人の急増ならびに人口の大加速化に支えられていたのだ。
我々は景気に一喜一憂し、アメリカでは借金してでも消費を増やすべきだと信じているが、そもそも他人に貸し出せるお金を作り出すためには、この先も人口がどんどん増え続けるという予測が前提になっている。
富が蓄積するから、投資が増え、誰かが投資するから、他の人の債務が生まれるのだ。
昔はお金を借りることが出来るのは、一握りの豊かな人だけだったが、いまや貧困下にあるほぼ全ての人が債務を抱えている。
国も昔は債務がなかったし、あってもちゃんと時期が来れば完済していた。
個人も政府も、いまのように多額の借り入れが常態化しているのは、格差が増大し、富が少数の人に集中しているためだ。
すべての経済問題は、1960年代後半に始まった人口のスローダウンへの適応が進んでいないために引き起こされている。
よく人は世の中が不安定だと口にするが、そもそも資本主義自体が変化そのものじゃないか。
資本主義が成り立つには、変化が起き、市場が拡大し続け、消費が増える必要がある。
資本主義を安定した時代ととらえるのはどれだけ間違っているか。続きを読む投稿日:2023.05.11
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このレビューはネタバレを含みます
1900年から2000年の期間があまりにも変化の激しい時代だった。だから僕らはこの期間を生きているためにこれがずっと続くだろうと思っている。しかし、僕らの普通はほとんど起こりえない時代を生きたためにお…かしくなってしまってる。変化の激しい時代も終焉を迎え、資本主義から新しい時代へと移っていく。公正と安定がより増す時代である。また今まで起こったようなとても大きなイノベーションはもう起きない。これから起きる変化は起きても小さな変化である。変化が小さいために、人間は退屈になってしまう。だから、娯楽やスポーツ、音楽、芸術がより発展していくように思う。そこにITは大きな役目を果たすだろう。消費資本主義は終焉を迎え、これからは競争ではなく協調が尊重されていく。そんな社会の中で主役となるのは、男性ではなく女性である。今まで求められてきた男らしさやリーダーシップではなく、女性のような協調性が求められていく。今まで人間は外部環境を変えることに努力してきた。しかしこれからは、内部(人の考え方や態度)を変えていくことになる。続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2024.02.01
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