灼熱(PHP文芸文庫)
秋吉理香子(著)
/PHP文芸文庫
作品情報
医者である英雄と一見、幸せな結婚生活を送る絵里。しかし彼女は本当の名前を咲花子といい、英雄が元夫を殺した証拠を探していた。一年半前、咲花子は刑事から当時の夫が転落死したこと、何件もの詐欺を働いていたことを知らされる。詐欺師の妻として彼女自身もマスコミに叩かれる中、夫殺しの容疑者だった英雄の不起訴が確定。希望を失った彼女は、自殺サイトで知り合った絵里という女性と自殺を試みるが、咲花子だけが生き残ってしまう。咲花子は絵里の個人情報を使って身分を変え、英雄に復讐することを決意するが・・・・・・復讐に生きる女性の情念を描いた愛憎のミステリー!
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商品情報
- シリーズ
- 灼熱(PHP文芸文庫)
- 著者
- 秋吉理香子
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文芸文庫
- 書籍発売日
- 2022.07.06
- Reader Store発売日
- 2022.07.15
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (10件のレビュー)
-
「わたしも自分の過去が大っ嫌い。だから今、必死で過去とかけ離れた自分に変わろうとしてる。そうじゃないと、また不幸になってしまいそうで怖いから。これ以上不幸になったら、きっともう二度と這い上がりたいと思…わなくなる。そのまま世界からこぼれ落ちて、死んでしまってもいいやって。だから今、わたしは必死なの。変わることで前を向こうとしてるのー。」(P.52)
「じゃあな」
ぶっきらぼうに片手を上げ、彼はバイクを発進させた。
スピードが上がるにつれて高まる音と共鳴するかのように、わたしの体に残る振動の余韻が疼き、息苦しくなる。
闇の中に溶けていくテールランプを見送りながら、わたしは彼を好きになってしまったことに気づいた。(P.56)
自分のために立てられる包丁の音は、こんなにも心を穏やかにするものだったのか。(P.141)
わたしの言動で、彼は一喜一憂する。くるくると表情を変える。自分の存在が常に誰かの中心にあることは、なんて嬉しいことだろう。(P.155)
なんだかくすぐったい。くすぐったくて、甘やかな気持ちに胸が満たされる。
もう認めないわけには行いかなかった。
ああ。
わたし。この人に惹かれ始めているー。(P.165)
きれいなもの。真っ黒なもの。透き通ったもの。どろどろに濁ったもの。甘いもの。酸っぱいもの。辛いものーこれらは、わたしの感情の瓶詰めなのかもしれない。(P.188)
愛する夫の死の真相に近づくため、夫を殺した疑いのある人物に、整形をして探りをかける絵里こと咲花子。しかし、一緒に生活をしていく中で彼に恋愛感情を抱くようになる。夫を殺したはずの憎むべき人なのに、周囲の人の評価や、住んでみて、この人に人が殺せるのだろうか…という疑問も出てくる。この人が好きだ、愛しいと思うほどに、自分が苦しくなり、咲花子の心の葛藤や迷いが細かく描かれ、切なく、悲しかった。そして、結婚生活が終わりに近づいた時、衝撃の真実が明らかになる。咲花子の救われなさには見ていて辛くなるものがある。これから、亜希子と二人で生きていくのだろうか。すれ違った運命が再び交わることがないところが救われなく、ただただ悲しい。続きを読む投稿日:2024.02.15
帯の「一気読み必至」はホント。同著者の作品の中ではあまり好きだと思えなかったにもかかわらず、どうなるのかが読めなくて途中で止まれませんでした。
自分の夫を殺したとおぼしき男に復讐するために、顔を変え…てまで近づいて結婚する。でも相手の男はどうやらそれに気づいているらしい。怖っ。
しかしその後は意外な展開。意外すぎてしばし目が点になりました。「ほおっ」というよりは「そんなん、あり!?」の気持ちのほうが本作に関しては強い。いつもの、かなりどんよりさせられる嫌ミスのほうが好きかもしれません。って、性格が悪いか(笑)。続きを読む投稿日:2024.01.15
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