WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方
ジル・ボルト・テイラー(著)
,竹内薫(訳)
/NHK出版
作品情報
もう人間関係、世代間ギャップ、依存症で悩まない! 脳科学者が脳卒中に学んだこと。
左脳の脳出血により、右脳の機能しかなくなったとき、脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、それまでの認知機能、身体機能を失ったにもかかわらず、この上もない幸福感に包まれた。8年間のリハビリの末、すべての機能を取り戻した博士が、脳卒中の実体験と神経解剖学の科学的見地から得た新しい知見を惜しげもなく開示する。
左脳は思考、右脳は感情というステレオタイプから脱却し、脳の仕組みを知れば、考え方・感じ方の嫌なクセは変えられる。脳は、ふたつの感情、ふたつの思考、合計「4つのキャラ」のシェアハウスだ。たとえば、心と頭が別々のことを言っているときは、脳の異なるキャラ同士が争っている。キャラたちが、ひとつのチームとして協力し合えば、心穏やかな人生が手に入る。
脳は、今でも進化の途上にある。私たちは、何かことが起こったときに、感じ、考える回路を何度も使ううち、その回路だけが発達してしまい、ほかの回路を作動させることができなくなっている。けれど、それを知って、別の回路をはたらかせることができるようになれば、いつもの自分の考え方や感じ方のパターンとなっている嫌なクセを変えられるのだ。
脳科学の分野の「4つのキャラ」と、ユング心理学の「4つの元型」は符合すると、著者は言う。本書は、脳科学と心理学を融合させ、自分自身の力で、自分の「脳」を動かし、なりたい自分になる方法を教えてくれる。
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商品情報
- 著者
- ジル・ボルト・テイラー, 竹内薫
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 生物・バイオテクノロジー
- 出版社
- NHK出版
- 書籍発売日
- 2022.06.28
- Reader Store発売日
- 2022.06.28
- ファイルサイズ
- 2.3MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (14件のレビュー)
-
「4つのキャラ」全員の息を合わせる
自分のなかの感情や思考はどうしてこうも複雑なのだろう。
時に相反するような、入り交じったものになるのはなぜだろう。
それは脳のなかに2つの感情と、2つの思考を司る細胞群があるから。
それら2つの…ペア同士は完全に独立しているばかりか、まったく正反対の方法で情報を処理している。
例えば左脳の処理は、過去から現在へというように順序立ててつなぐような時系列処理を行ない、そこから推論や言語、時間感覚や自我が育まれるが、逆に右脳は過去も未来もない、「今ここ」という瞬間の同時処理を行なっているため、全体との一体感を育んでいる。
その結果、一つの頭の中に相反する二面性が生まれるのは仕方のないことで、我々が左脳と右脳の自律的な視点が引き起こす対立に苦しむのも無理はない。
もし心と頭が別々のことを言っているのだとすれば、それは脳の違う部分同士が争っている時なのだ。
人生をよりよいものにしていくには、左脳の「キャラ2」とどう健全な関係を築けるかにかかっている。
痛みや悲しみ、恨みといった負の感情とどう折り合いをつけていくか。
右脳のオープンでフレンドリーな「キャラ4」や好奇心旺盛で積極的な「キャラ3」だけになってしまえば、人生は豊かで楽しくなりそうだが、それは著者が自らの病を克服して得た教訓ではない。
怒りや恐怖はなくなったが、しゃべることも理解することもできず、意味を持った文字や数字も見分けることもできない生活。
もっと言えば自分が誰なのか、アイデンティティも喪失した状況。
心穏やかで果てしない感謝の気持ちに包まれた右脳支配の脳だけでは、とても人としての正常な営みを送れない。
多くの人は、黙っていても左脳の「感じるキャラ2」が優先となって、悲観的に感じ考えてしまうもの。
しかしキャラ2の感情的な苦痛に耳を傾けないでいると、そのうち身体的な病として表面化するだろう。
私たちの心身の健康の鍵を握っているのは、この「感じるキャラ2」であることが多い。
いつも不平不満や泣き言を言っているように見える「キャラ2」は、進んで外部の脅威に立ち向かってくれているスーパーヒーローだとも言える。
時にはどうしようもない自己破壊的な五歳児にも変貌するのだが。
著者は、自分のなかのギャラ2をよく理解して、「脳の作戦会議」を通じて、他の3つキャラたちと一緒に育てていく方法を学ぶべきだと語る。
弦楽四重奏を演奏するように、どのキャラが欠けても、メロディは完成しない。
あるキャラが暴走しはじめたと感じたら、速やかに一時停止し、90秒の間をあけて脳内の化学物質を一度中和する。
さすれば「4つのキャラ」全員の息も合わせやすくなると。
外からの情報を処理するのに我々は、生物学的に必ず、まずは感情に関わる細胞が処理をしてから、高次の思考中枢に送られる。
ゆえに人間はいかに「考える葦」だと思っていても、我々が「感じる生き物」であるという前提を無視するのは大間違いだ。
薬物やアルコールなどの依存症からの脱却においてもそうで、左右の感情・欲望中枢の細胞である〈キャラ2と3〉の両方を参加させないかぎり、決してリハビリは成功しない。
著者が本書で何度も繰り返す、「私たちは感じることもできる”考える生き物"ではなく、考えることもできる”感じる生き物"である」という主張の根本はここにある。
道理を説いて頭でわかっても、感情的にも降参させなければ、必ず依存症は再発する。
これは依存症患者だけの問題ではない。
彼らを支える周りの家族や友人もそうなのだ。
自堕落で破壊的な素行を目にすると、どうしても〈ハードなキャラ1〉に変貌してしまい、厳しいルールを作って管理してあげたくなってしまうが、それが相手をさらに追い込んでいることに気づかない。
もっと言えばそれが実は、自分の「キャラ2」の痛みや苦しみを隠すために「キャラ1」に変身していることに気づかない。
とりもなおさず依存症患者の問題ではなく、周りの人たち自身の問題でもあることを肝に銘じる必要がある。
「愛する人を見捨てたくない、かなわない夢だとあきらめたくない。家族や友人の〈キャラ1と2〉は必死に希望をもちつづけます。しかし、充分に苦しみを味わい、〈キャラ2〉が打ちのめされ、不安になり、落ち込んで、すっかり無力感と敗北感にのみ込まれると、〈キャラ1〉がリングにタオルを投げ込みます。〈キャラ1〉が希望にしがみつけばつくほど、さらにリスクの高い、次の段階の修羅場へ発展させる許可を依存症患者に与えてしまいます」続きを読む投稿日:2024.03.22
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面白かった。筆者の考えでは、自分自身のキャラは左脳的なキャラと右脳的なキャラだけでなく、左右それぞれを皮質と辺縁系のあたりを境として上下に分割することで、上下と左右の組み合わせから成る4つのキャラに分…けられるのだという。これらのキャラは、解離性同一性障害のような精神疾患ではなく、誰もが実感できるものであり、状況や状態によって目まぐるしく変化していることがわかる。
『奇跡の脳』でユングに触れられていたため、本書でも序盤から期待しながら読んでいたが、やはり4つのキャラは元型(ペルソナ・シャドウ・アニマ/アニムス)および自己と対応しているとのことで、我が意を得たりという思いである。続きを読む投稿日:2024.02.20
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