セクシィ・ギャルの大研究 女の読み方・読まれ方・読ませ方
上野千鶴子(著)
/岩波現代文庫
この作品のレビュー
平均 3.4 (14件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
案の定、あらゆる意味で「昭和」な本。
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無理もない。本書が初めて世に出たのは1982年。男女雇用機会均等法が成立する4年も前、テレビの中では女性たちがあられもない姿でバカ殿様に弄ばれ(それもゴールデンタイムに)、世間では「アイドルはトイレに行かないしオナラもしない」という神話がまことしやかに囁かれ(トイレにも行くしオナラもする一般女性にはハタ迷惑な神話だったはずだ)、挙句に「据え膳食わぬは男の恥」と誰もが当たり前のように公言して憚らなかった、そんな時代だった。
だから上野が「女はつらいよ、それに比べて男は…」と手を変え品を変えて主張してても、文化の型を「女っぽい」とか「男っぽい」などと性差の言語でばっさり二分してしまってても、当時の事情を鑑みれば致し方ない。社会的弱者から反乱の狼煙が上がるときは、たいてい現実を故意にデフォルメして一面的な「強者vs.弱者」の図式で語られがちだから。それに、本書はちょうど日本で第三次産業が成熟し、働く女性の権利が社会的に認知され始めた時代のさなかで執筆されたもの。こうした時代の趨勢と上野の分かりやすい構図がぴったりマッチングしたからこそ、本書は累計11万部という驚異的な売り上げを見せたのだろう。
それだけに、今の目から見れば本書の記述がやや古めかしいのは否めない。何しろ本書にはフロイト顔負けの性欲一元論が溢れ返っているし、(上野自身も2009年の自著解題で認めているように)動物行動学の理論をそのまま無批判に使ってしまったりもしている。今の学界でこんな解釈を披露しようものなら、鼻で一笑に付されるのがオチだろう。
だがそれはそれ。探そうと思えば本書にも今に通じる魅力がたくさんあるはず。
たとえば、「父性社会」は力による支配だから弱者の「面従腹背」が半ば黙認されるのに対して、「母性社会」は愛による支配だからかえって面従腹背すら許されず、人の内面を隅々まで支配して無気力な社会にさせかねない、という指摘にはなるほどと膝を打った。人間自身がどこまで行っても不完全な存在だからこそ、葛藤を無理に消し去ろうとする社会より、葛藤をうまく処理する社会の方が断然良いというわけだ。
一般に母性愛が強すぎると、何事にも受動的で横着な男たちが出来上がってしまう。「面倒見のいいおかあさん」をいい歳こいて求め続けるジコチューで依存的な「潜在型マザコン夫」が。こうした夫に愛想をつかした妻たちは、今度は母として自分の愛のエネルギーを息子に一極集中させるだろう。その過剰な愛が、やがて第二のマザコン夫を作り上げるとも知らずに…。
要は、これが上野の見る母性型社会の問題点。
もちろんこの種の文化論的な話以外にも、本書は四方山話のネタの宝庫。これもまた本としての大事な魅力の一つだ。たとえば…
なぜ口紅はリップスティックという形状なのか。
なぜ男性のネクタイ姿が多くの女性に人気なのか。
答えは本書をご覧あれ。投稿日:2012.07.12
NHK 100分de名著 2021年7月はボーヴォワール「老い」を上野千鶴子が指南しています。
「そう言えば、上野千鶴子の著作は、これ一冊持っていたはず。」と、
初版1982年発行のカッパサイエンス版…を読み返しました。
岩波現代文庫に収録されていることは、今検索して、初めて知りました。
僕が読んだのは、1986年4月1日発行の第9刷り。穢れを知らない(^_^)十代での初読でした。
カバーの袖の山口昌男と栗本慎一郎による紹介文を読むと、本書は「衝撃的」な内容だそうです。
僕にとっては、全く衝撃的ではありませんでした。
どこが衝撃的なのか、ワカリマセンでした。
なるほど、広告のポスターでの男女の描かれ方は「男が威張っている」と読み取れるわけね。
そのほか、いろいろ分析してありますね。
と思いました。
「それならば、僕も機会があれば注意しましょう。」
と、高校の行事では性差別的な役割分担がないように留意し、自分の結婚式の時は、親族の紹介など新郎側と新婦側とで、先になる機械を均等にしたり工夫しました。
これらの事から類推すると令和になった現代において、「今の若者は」と言われても、今の若者の皆さんは何が言いたいのかワカラナイことでしょう。
例えば「草食男子」と揶揄されるのも、意味不明だと思います。
わかるのは「あんたがた、年寄りは、いろいろ偏見があったんですね。」ということでした。
第3章「女は「曲芸」に生きる」
の
「やらせる女」は「いい女」か
の議論が気になったので記します。
人間の性行動の解釈について、
学界では結論が出ていない二つの仮説を併記しています。
「攻撃と服従」
「ピースフルなコミュニケーション」
本書では(性行動に於いて攻撃的ではないであろう)ビートルズのジョンレノンが子どもをもうけていることを指摘して「ピースフルなコミュニケーション」説を支持できることを匂わせています。
本書が世に出た後、LGBTへの理解が進み、動物行動学が長足の進歩を遂げたので、
この二点についての記述は、大目に見る必用があります。(この二点を指摘して、否定するのは難癖の類いになることに留意が必要です。)
その他の点、例えば記号論としての記述は、現代でも通用する、と言うか、前提として認識するべき基礎知識になっていることに驚きます。
今で言えば「ノン・バーバル・コミュニケーション」の指南書としても読めます。
ちなみに性行動が「攻撃と服従」なのか「ピースフルなコミュニケーション」なのかについて、学界での結論が出たのかどうか、僕は存じ上げませんが、
僕が思うところでは(個人の少ない経験からですが)
「人によって、どちらかを常識として捉えている」
ということではないか、と思います。
「男は、性行動によって征服欲を満たしている」
と考える人もいれば、
「男も女も、二人で親密な関係を築きたいと思っている」
と考える人もいるように思います。
男については僕はワカリマセン。(男を性の相手として付き合ったことがないので)
女性については、歴代の彼女については、半々だったように思います。
「あんたの、征服欲を満たしてやるわよ。」(攻撃と服従と捉えている)
と言う態度で臨む人と、
「一緒に楽しみましょう。」(平和的な交歓と捉えている)
と言う人とが、
ちょうど同じ人数でした。(全部で何人か、は言いません(^_^)、そんなに多くないです)
「男は征服欲を満たしたいはず」と考える女性は「二人で仲良ししましょう」と言う男性の性に対する態度があることは思いも寄らないようでした。(必ず男は征服欲を持っている、と信じて疑わないようでした。)
このあたりが、相性があうかどうか、と言うことなのでしょう。
ただし、男はあまり相手を選ばないので、この感覚が不一致でも結婚して平然と性生活を営んでいる人もいて「たくましいな。」と思います。僕はうんざりして(その相手とは)子どもをつくりたくなくなってしまいましたが。続きを読む投稿日:2021.07.10
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