十九世紀初頭のヨーロッパ。強大な権力を握ったナポレオンは、英国に侵攻する機会をうかがっていた。英国艦隊の若き艦長ウィル・ローレンスは、フランス艦との戦いのなかで、孵化間近のドラゴンの卵を見つける。海上で孵った竜の子テメレアは、ローレンスをみずからの担い手として選びとる。この時代、ドラゴンは国家にとって、かけがえのない戦力だった。高い知性を持つテメレアと、海軍から航空隊へ移ったローレンスは、イギリス海峡のドラゴン戦隊に加わるための厳しい訓練をはじめる。ドラゴンと人間が絆を結ぶ物語に、史実や実在人物・・・
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過酷な戦いと長旅の末、軍務から離れる決意を固めたローレンスは、オーストラリア内陸の地“緑の谷間”でテメレアとともに隠遁生活を送っていた。ところが、安息の日々を打ち破るように、意外な英国の使者がやってくる。南米大陸に勢力を拡大するナポレオン軍に対抗するため、英国政府がローレンスに軍務復帰を求めていた。胸に秘めた愛国心とテメレアの闘志を支えに、ローレンスたちはふたたび大海原へ、そして未だ見ぬインカ帝国へ――!
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基地建設と物資輸送ルート開拓のため内陸部に入ったローレンスたち。その途中、残り2つとなった竜の卵のうちひとつが孵る。一行は、問題の多い幼竜を抱え、その猛烈な食欲を満たす食糧の調達に苦心しながらも過酷な旅を続けた。砂漠地帯では妖獣との闘いを余儀なくされたが、ようやくオーストラリア大陸を縦断し北海岸にたどり着く。そこで一行が目にしたのは、驚くべき中国との交易地だった。テメレアの口ききによってローレンスたちは手厚い待遇を受けることになり、旅の疲れを癒す日々を過ごすうち、次第に、そこが大海蛇による海運交易の拠点であることがわかってくる。英国の利益を守り、発展させるという任務のもとで逡巡するローレンスたちだったが・・・・・・。
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英国を仏軍による侵略から守り、オーストラリアへの流罪に減刑されたローレンスには、英国空軍の前哨基地を築くという新たな任務が与えられた。テメレアらとともにシドニーのサウスウェールズ植民地に到着すると、現地では、植民地の秩序を守るはずの軍隊が植民地総督を追い出して自治政府を作ろうという反乱が起きていた。一方、英国政府から託され、丁重に運んできた3個の竜の卵のうち、ひとつが孵るも、その担い手として後続船で派遣されてきたのは、なんと自分のドラゴンを虐待していた宿敵ランキンだった。そして、シドニーの政争に巻き込まれたくないという思いを抱えたローレンスは、仲間とともに基地建設と物資輸送のルート開拓のため、苛酷な内陸部への旅へと向かった。
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仏軍がロンドンに迫り、国王一家はエジンバラ城に避難。英国軍はスコットランドに本営を置き、反撃の機会を狙った。そんな折、サルカイと野生ドラゴンの一団がやってきて、報奨金目当てに敵を狩りに出かけたイスキエルカが乗っ取られたと報告する。サルカイとローレンスはフランス占領下のロンドンに向かい、捕虜となったキャプテン、グランビーを奪還するため奮闘する。一方、フランス陸軍はいよいよ英国南部に上陸、ローレンスらも参戦し大量の陸海軍を率いたナポレオンとの戦いが幕開ける。この戦いでは、テメレアの友だちで、数学の天才だが戦闘を嫌う雌ドラゴン、ペルシティアの考え出した戦法が次々に成功し、ペナヴァンの繁殖場に追いやられていた落ちこぼれドラゴンたちが大活躍。海上にはネルソン提督率いる英国艦隊が現れ仏艦隊を猛攻するも、純白の竜、リエンが、テメレアの能力をはるかに上回る「神の風」の咆哮で英国艦隊に襲いかかる。
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ローレンスとテメレアが世界のドラゴンを救うために命を賭した代価は、国家への反逆罪だった。死刑宣告を受けて英国艦ゴライアス号の監獄に閉じ込められたローレンスと、世間から隔絶された落ちこぼれドラゴンのたまり場、ペナヴァンの繁殖場に追いやられたテメレア。一方で、英国本土にはついにフランス軍が上陸し、じわじわと侵攻を開始していた。この国家存亡の危機に、ローランド空将は、ローレンスの処刑を引き延ばし、テメレアとともに出征させることを提案、決議する。そんな折、ゴライアス号がフランス軍に襲撃され、沈没する。かろうじて脱出したローレンスだったが、ゴライアス号沈没の情報を得たテメレアは、信頼関係を築いたペナヴァンの仲間たち60頭をごっそり引き連れて、繁殖場をあとにする。果たして両者は再会できるのか、いつも面倒を引き起こす火噴きドラゴン、イスキエルカも合流し、本土奪還へ向け白熱の火蓋が切って落とされる。
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ローレンスらが捕虜として捕えられたツワナ王国では、竜と人が家族を形成していた。その竜王モカカーンはツワナの民が西洋人の奴隷狩りの犠牲になったことに憤り、奪われた民を取り返す計画を温めていた。テメレアの機転によりなんとか監禁から脱出したローレンスたちだったが、英国がアフリカ大陸に築いた植民地と貿易港はツワナ王国によって奪い返され、英国はアフリカからの撤退を余儀なくされた。そして、帰国したローレンスたちは、英国空軍がすでに苦境を脱したことを知る。しかし同時に、海軍省委員会が敵国フランス軍を壊滅させるべく進める非道な計画を知ってしまい、愕然とする。テメレアとローレンスは、悲痛な思いを胸に祖国から敵国へと向かう決意を固め・・・。
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プロイセンでの苦戦に祖国からの援軍はついにやってこなかった。嫌な予感を覚えつつ、小さな火噴き竜イスキエルカとともに帰還したローレンスたちを待ち受けていたのは、ドラゴンを苦しめる思わぬ事態だった。仲間たちを救う手立てを求めて、テメレアとドラゴン戦隊の仲間たちは、アリージャンス号でアフリカを目指し新たな航海へと出発する。そして次第に、苦境の打開策が判明していく。ローレンスたちは打開の鍵となるキノコを求めて遠征隊を組織し奥地へと分け入っていくが、内陸部で強力な力を持つツワナ王国の兵士とドラゴンに襲われ、捕虜にされてしまい・・・。
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ローレンスたちは、オスマン帝国で宮廷にて歓待を受け厚遇されていたが、そこは豪奢な牢獄ともいえる場所だった。竜の卵も英国が支払った高額な代金もすべてうやむやにされたまま長らく幽閉されていたローレンスたちだったが、ある晩、業を煮やして卵が隠されているハレムへの侵入と強行奪取を敢行する。卵一つと仲間一人を失いながらもなんとか卵二つを奪い取り、オスマン帝国の国境を越えたローレンスたちだったが、プロイセン王国に入国したところで、英国が交わした共闘の約束を果たすべく、ナポレオン軍との戦いに参加することになる。その戦いは劣勢を極め、プロイセン軍の敗戦が続く厳しい戦況のなか、いまやヨーロッパ全土を手中におさめんと猛進するナポレオンを担い手としてその背に乗せたセレスチャル種の白い竜リエンに遭遇する。リエンは亡きヨンシン皇子の恨みを晴らすべく、テメレアへの復讐心に燃えて仏軍の空軍を指揮していた。
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北京を離れ、マカオから英国へ海を行こうとしていたローレンスたちに、レントン空将の筆跡で、即刻イスタンブールへ向かい英国が買いつけた竜の卵三個を受け取り、速やかに帰国するよう記された命令書が届けられた。しかし、この任務を果たすために空路や海路を行くのは時間的にも戦局としても非常に厳しく、ローレンスたちは苦悩の末、命令書を届けた謎の人物サルカイを案内人として雇い、干上がったタクラマカン砂漠を越える過酷な陸路にてイスタンブールへと向かう決意をする。長い旅路では日照りや砂嵐に終始襲われ、山岳高地で雪崩に遭い、峠では山賊に襲われるなど苦難の連続だったが、野生ドラゴンの襲来にも負けず、なんとか窮地を脱し、ようやくオスマン帝国に辿り着く。しかし、そこで高官のムスタファから伝えられたのは、「卵は渡すことができなくなった」という驚愕の話だった。
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大嵐に見舞われ、大海蛇に遭遇し、苦難の末にようやくたどり着いた中国。テメレアは、港に集まった人々に熱烈な歓迎をされる。一方、ローレンスは、航海中にヨンシン皇子の従者に殺されかけ、中国側への疑惑を抱いていた。英国と中国では、ドラゴンの暮らしに大きな違いがあった。中国のドラゴンは、自由を享受しているように見える。テメレアは、英国でのドラゴンの扱いに、疑問を抱き始める。北京では、初めて母に会い、自分の出生の秘密を知る。そした、ローレンスは、テメレアをめぐる紫禁城内の対立と陰謀に巻き込まれていく。
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中国がテメレアの返還を求めてきた。ナポレオンに献上したはずの竜の卵が、英国艦隊に奪われたことを知って、ヨンシン皇子を代表とする怒りの使節団を送り込んできたのだ。英国は、ナポレオンの猛攻に苦しむなか、中国の怒りを鎮めて、友好関係を築きたい。英国政府代理の外交官ハモンドとともに、ローレンスとテメレアはドラゴン輸送艦に乗り、はるか中国をめざすことになった。艦内には、英国人と中国人のあいだに不穏な空気が流れ、水兵と飛行兵のあいだにも揉め事が生じていく。そして、テメレアはアフリカで、奴隷貿易を目の当たりにする。
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テメレアは、中国皇帝からナポレオンに贈られた希少種のドラゴンだった。海軍から空軍へ移ったローレンスは、テメレアとともに、様々な訓練を重ねる。多くの戦友やドラゴン仲間との出会いや葛藤をとおして、深い友情を結んでいく。そして、実戦が始まった。ドーバー海峡でのフランス海軍との戦いで、テメレアは特殊な能力を発揮し、英国軍に大いなる貢献をする。緻密かつダイナミックな物語に、史実や実在する人物名が織りこまれたファンタジー。
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