「ひいき」の構造
島田裕巳(著)
/幻冬舎新書
作品情報
許せない他人への贔屓。その一方で密かに願う自分への贔屓。寵愛、馴染、タニマチ、常連、自担、推し・・・・・・と次々に変容する日本の「ひいき」。対象への並外れた愛情を表すこの現象は日本独自のものと言えるのか。学校や会社といった身の回りの人間関係から、アイドルほか芸能界、野球などのスポーツ界、芸術や文化の創造者、そして政治家の世界まで、なぜ人は人に過剰な愛を向けずにいられないのか。また、ひいきは人だけにとどまらず物にまで及ぶ。『「いき」の構造』(九鬼周造)、『「甘え」の構造』(土居健郎)に連なる画期的論考。
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商品情報
- シリーズ
- 「ひいき」の構造
- 著者
- 島田裕巳
- 出版社
- 幻冬舎
- 掲載誌・レーベル
- 幻冬舎新書
- 書籍発売日
- 2021.07.28
- Reader Store発売日
- 2021.07.28
- ファイルサイズ
- 0.4MB
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この作品のレビュー
平均 2.5 (2件のレビュー)
-
ひいきとは何かを考察した本。 言葉の定義について、歴史を遡って考察する。
著者は歌舞伎や相撲などを事例に構造を説明しているが、少々わかりにくかった。「いきの構造」や「甘えの構造」という過去の名著に倣っ…て書かれているけれど、これを読んだことない人にはピンと来ないと思う。 自分の感覚では、贔屓とは単純にファンのことであって、著者のように深く考察して言葉を使い分けするほどのことでもなさそうな気がする。
自分の傾向として、スポーツなどで応援する人やチームには、判官びいきのバイアスが掛かる。小林一茶の俳句「痩蛙負けるな一茶これにあり」。弱い方を贔屓する方が楽しめるのだ。 また、えこひいきするのは嫌なものだが、えこひいきされるのは何とも思わないし、気が付かないこともある。人間の感情は都合よくできていると思う。
ひいきについて、いろいろ考えさせられることは多かったが、読み終わってなんとなくスッキリしなかった。 もう少し構造を簡単に説明してほしかった。続きを読む投稿日:2022.08.04
あらゆる贔屓を分析した、コンセプトとしては面白い1冊。
・贔屓にとって独占という行為はタブー。その贔屓の魅力が他者に共感されているからこそ価値があり、それが失われてしまっては何の意味もない
・判…官贔屓は日本人の民族性に根ざした物。零落したり悲運や不遇であったものに肩入れしがち。それは敗戦国であることに関係があると見る
・さらにいうと、日本人は理不尽さやくやしさの感情を大切にする民族。だからこそ上記のストーリー性に強く惹かれるし、その人物を持ち上げることによって自分自身と同質化している。
・スターに憧れるというのは、できることならスターのように輝きを放ち、世間に認められたいという願望があることを意味する。推しの場合もそうで、推しに愛を注ぐことによって主人公の存在は肯定され、さまざまなしがらみから解き放たれていく。この感覚こそが推し活にのめり込む決定的な要因である。
などなど様々な気づきがあった。
なるほどなぁ。自己実現の一手段として今も昔も贔屓という行為は機能しているのね。概ね納得。ただ自分のように、人に対する推しや贔屓が殆どない人間にとっては到底理解できない感覚だわ。どんなことでもそうですが、自分でコントロールの効かないものに依存するのって本当に怖くないですか?人は皆裏切るとは言いきらんけど、人は裏切りますよ。そりゃ容姿の美しさや利害関係で依怙贔屓したりはあるけど、それすらない人間は脳の基幹部に深刻な欠陥ないし損傷がありますよ。決して自分が特異とも思わない。贔屓は依存、ゆえに私は贔屓を排除します。
あとモノやサービスに対する贔屓と、人に対する贔屓は全く別物として括った方がいいように感じた。上記気づきで恐縮ですが「対象物への自己投影」が本書の極めて重要なキーワードだと考えていて、例えばソニーブランドは確かに熱烈なファンも多くいるんだろうけど、依怙贔屓や判官贔屓といった本書にとって大切な主張をまとめる構成要素として不要な気がする。
勉強になりました。自分贔屓で頑張ります。続きを読む投稿日:2023.01.10
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