栗林忠道
柘植久慶(著)
/PHP文庫
作品情報
太平洋戦争屈指の激闘だった硫黄島をめぐる日米の戦い――。米国はB-29による東京爆撃の中継基地として硫黄島を欲し、日本は予想される本土決戦を少しでも遅らせるため、この島を死守する必要に迫られた。しかし硫黄島は火山島であり、いたる所で硫黄ガスが噴出し、満足に飲み水すら確保できない場所――。そんな悪条件ばかりの孤立無援の島で守備隊の将兵を鼓舞し、米軍の猛攻に死力を尽くして立ち向かった日本側指揮官、それが栗林忠道中将である。彼は、それまで日本軍の伝統だった“水際撃滅”の戦術を放棄し、硫黄島全体に巨大な地下要塞を造りあげ“徹底的な持久戦”で挑んだ。そして自軍の3倍を超える圧倒的兵力の米軍に対して、ガダルカナル戦を遥かに上回る大損害を与えて米国民を震撼させた。戦後60年を経た今なお、太平洋戦争中、日本陸軍で“最も優秀な指揮官”として日米双方から高く評価される名将の実像に迫る。
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商品情報
- シリーズ
- 栗林忠道
- 著者
- 柘植久慶
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文庫
- 書籍発売日
- 2006.12.01
- Reader Store発売日
- 2021.06.04
- ファイルサイズ
- 2.8MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
-
(2009.03.15読了)
この本の著者の作品は初めてなので、特に期待もなく読み始めたのですが、なかなか興味深く読めました。
「栗林忠道」という題名が付いていますが、個人の伝記を書くというよりは、硫…黄島の闘いをドキュメントとして描くという感じです。地上戦が始まるあたりからは、アメリカ軍の硫黄島上陸作戦最高指揮官ホーランド・スミスの様子も描かれて、日米双方の指揮ぶりが分かるようになっています。
「まえがき」に栗林中将の略歴が述べられ、本章に入ると硫黄島への赴任の場面になります。赴任は、1944年6月。
6月15日、硫黄島の沖合にアメリカ海軍の艦艇が初めて姿を見せた。(41頁)そこから艦砲射撃を開始した。
硫黄島には湧き水はなく、雨水を貯めるしかなかった。しかも暑いし、滅多に雨が降らない。船で補給したいところだが、船は潜水艦によって沈められてしまう。
硫黄島にあった日本の戦闘機は、7月4日の空襲でほぼなくなってしまった。
栗林中将は、波打ち際での上陸阻止の作戦をやめて、持久戦を行うことにし、地下壕を掘ることにした。
硫黄島には、陸軍と海軍がおり、海軍は、上陸阻止にこだわったので、限られた資材の投入を分散することになった。
水や食べ物も、一般兵士と同じにしてもらい、指令はきめ細かく全員にわかりやすいように最前線まで伝えさせたようで、兵士の手帳には、同じものが記述されて残されている。
兵士たちのもとへもできるだけ足を運び、直接声をかけたり、たばこを吸わせたりして、士気高揚に努めた。
自分の方針に従わない将校は外し、自分の方針を有効に実施してくれる将校を回してもらうように、お願いしている。
11月26日、特別攻撃隊が元山飛行場に着陸した。ここで燃料を補給し、サイパン島のアメリカ軍飛行場攻撃に向かうという。(140頁)
1945年2月19日、アメリカ軍による上陸作戦が開始された。
3月16日、大本営に決別の電文を打電させた。(320頁)
3月26日に、栗林中将は戦死した。
この時点で完全に戦闘は終結したわけではないが、アメリカ軍による事実上の硫黄島占領は完結したということになる。
(東京大空襲は、3月10日なので、硫黄島の戦闘がまだ行われている段階で、すでに本土に対する爆撃は開始されていた。硫黄島で頑張っている間は、本土は安全というわけにはいかなかった。)
著者 柘植 久慶(つげ・ひさよし)
1942年、愛知県生まれ
1965年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業
在学中、カタンガ傭兵隊の一員として、コンゴ動乱に参加
フランス外人部隊の格闘技教官として、アルジェリア戦争に参加
1970年代初頭より、ラオス王国政府軍格闘技教官となり、対ゲリラ戦を指揮
アメリカ軍特殊部隊に加わり、インドシナ、ラオス等で極秘作戦に参加
1986年より作家活動に入る
(2009年4月5日・記)続きを読む投稿日:2009.04.04
p113
「いろいろ志もあっただろうに。それが果たせず中途半端な技倆のまま死んでしまうのは心残りだと思う」
「私は全く心残りありません。閣下の傍に置いていただけたのですから」
〜藤田は元気よく話す。危…険だと噂された硫黄島への不妊を、二つ返事で承知して栗林に従っていた。
p152
「ここに呼んで申し訳ないとは思っているが、中佐の知識がどうしても必要だ」
「何処で戦おうといずれは最後の決戦を迎えます。硫黄島でなくとも」
笑いながら中根は明るく応じる。大本営の誰もが仰天する人事だったが、当の本人ンは悠然と割り切っていた。
p161
「そう思います。最後の瞬間が訪れるまで、私は陣頭で戦い抜きたいと願っています」
千田は力をこめて言った。
p324
「ここまでだね、中根さん」
と、参謀長—高石大佐が声をかける。
〜彼らは自分たちに白羽の矢を立ててくれた、栗林の近くで死ねて満足だと、最後の瞬間までそう思っていた。そして戦闘には勝っていたのだと、同じことを考えながら院鉄を落としたのであった。続きを読む投稿日:2020.06.13
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