エーミールと探偵たち
エーリヒ・ケストナー(作)
,池田香代子(訳)
/岩波少年文庫
作品情報
おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- エーミールと探偵たち
- 著者
- エーリヒ・ケストナー, 池田香代子
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波少年文庫
- 書籍発売日
- 2000.06.16
- Reader Store発売日
- 2020.12.24
- ファイルサイズ
- 6MB
- ページ数
- 230ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.2 (83件のレビュー)
-
深緑野分さんの「ベルリンは晴れているか」という小説で、主人公の女の子が小さな頃から肌身離さず大切にしていた本がこれ。
ドイツのある小さな町に住む母子家庭の男の子“エミール”が、ベルリンに住む叔母さ…んとお婆さんの家に遊びに行くことになる。エミールはお母さんから交通費と“お婆さんにあげるお金”を渡され、「絶対になくしちゃだめよ」と言われて、一人電車に乗る。
ところが、電車で眠ってしまったうちに、そのお金が盗まれてしまい、エミールは“犯人はあいつだ”と目星をつけた、山高帽を被った男の跡を付けて、叔母さんの家の最寄り駅ではない所で降りる。
お婆さんと従兄妹が予定の駅に約束の時間(18時頃)に待っていたのに、ほったらかしで、犯人を追いかけ、そこで出会った男の子たちが“探偵団”を結成し、犯人探しを手伝ってくれた。エミールは正直、「お金が盗まれて良かった」と思ったくらいワクワクする冒険をした。
話の展開が面白いかどうかより、「子供たち一体何時まで遊んでるの?」(遊びじゃないけど)というほうが気になった。だって、お婆さんたちと駅で会うはずだった時間が18時で、それよりもあとから始まった探偵ごっこでしょ。で、調べてみるとドイツの夏は日が沈むのが22時半くらいで20時、21時頃まで子供たちが外で遊び回っているらしい。ふーん、そんな時間にリアルどろ警?リアル逃走中(のハンター側)?確かにワクワクするかもしれない。
どんでん返しなどは無くて、子供たちが追いかけていた男が本当に犯人で、捕まえた子供たちは警察に褒められて、賞金までもらうという、“子供は善良”という人生観にたったハッピーエンドで、今の大人の私には物足りなかった。けれど、1928年に書かれたこの児童書をナチスの時代にも肌身離さず大切にしてきた「ベルリンは晴れているか」の主人公のことを思うと感動する。
続きを読む投稿日:2022.05.09
前回読んだ、「点子ちゃんとアントン」の3年前に書かれた本書(1928年)は、まだ世界恐慌前の、新しいものに囲まれ目覚ましい発展を遂げたベルリンを舞台に、主人公の男の子「エーミール」を初めとした、子ど…もたちの活き活きとした個性が、爽やかな余韻を残してくれる、子どもに語りかけるような、ケストナーの文体を見事に日本語で表した、池田香代子さんの訳も楽しい作品となっております。
そうした個性は、『女なんてあわれなもんよ』と、如何にもな知ったかぶりを得意気に言う姿に、却って、可愛らしさや明るさがある「ポニー」や、『てやんでい』が口癖の「グスタフ」、皆のまとめ役の「教授」、素直な寝言に微笑ましさがある、ちびの「ディーンスターク」等々、様々でありながら、その中でも考え方の違いから浮いてしまう子達も、当たり前のように同等の視線で描いているところが、如何にもケストナーらしいなと感じつつも、そんな平等性の素晴らしさは元より、ただ優しいだけではない点に、更なる彼の素晴らしさがあることを、ここでは、より強調しておきたい。
というのも、今の世の中で感じられる、ひとつの閉塞感として、その人らしさとして認めてあげながらも、時にはそれは違うと判断が出来、尚且つ、その人を傷つけずに理解へと促せるような、的確な線引きを行える人が少ないような気がしており、ここでは、それをケストナー自身の人生と重ね合わせることで、より説得力を増しながらも、明確なのは、子どもだけでなく、大人にも平等性を唱えていることである。
例えば、お父さんの人間性を表した教授の言葉に、『父さんがいっしょにいても、おんなじことをするかなって、いつも考えろって。きょうも、そうするだけだよ』があるが、この言葉は、お父さん自身がそうした人格者で無ければ、まるで説得力の無いものとなってしまう事に加え、彼と教授とが、父と息子でありながら、対等な関係性を位置付けていることも良く分かる台詞である点に、家族のひとつの素晴らしさが垣間見え、そうした教えを受けているからか、教授自身の大人顔負けの台詞として、『道徳的には、おまえが正しいよ。だけど、裁判所はおまえを有罪にする。ここんとこ、おとなだって、わかってないやつはいっぱいいる。だけど、そういうことなんだよ』が挙げられ、これには、思わずハッとさせられるものがあった。
また、そうした親子の対等性は、エーミールとお母さんも同様であり、父を幼い頃に亡くした彼は、それ以来、自分が周りの子どもたちからも見劣りしないように、お母さんがどれだけ身を粉にして働いているのかを、よく理解しており、そんなお母さんに応えてあげたいと行動で示す彼の思いは、まさに二人だけだからこそ、上下関係ではない共に生きていく対等で大切な存在であることを裏付けた、読んでいて、とても心が温かくなる関係性だと感じつつ、それぞれの自由を認めながら言いたいことも言い合える、懐の深い素敵な関係性でもあり、それは、彼の思いに寄り添ったケストナーの言葉からも感じられた、生きていく上でとても大切な、相手の気持ちに寄り添い、それを思うことなのです。
『エーミールはお金を思って泣いたのだ。母さんを思って泣いたのだ。これがわからないような人は、どんなにごりっぱな人でも、たいしたことはない』
私も同感です。続きを読む投稿日:2024.03.02
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。