地底旅行
ジュール・ヴェルヌ(作)
,平岡敦(訳)
/岩波少年文庫
この作品のレビュー
平均 4.3 (3件のレビュー)
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1863年5月24日ハンブルグ。鉱物学の高名な教授リーデンブロックと、彼の甥で研究助手のアクセルは、教授が持ち帰った稀覯本に挟まれたボロボロの羊皮紙を見つけた。そこに書かれたルーン文字は暗号で、解読は…難航したものの、アクセルが偶然解いてしまった結果、それは、地球の中心へ行く方法を示したものだった。好奇心旺盛で行動的な叔父は、その暗号のメッセージに従い、アクセルを連れて冒険旅行に出ることを宣言する。大急ぎで準備が進む中、恋人への未練と危険な旅への恐れからアクセルは躊躇するが、ついに出発の時は来た。冒険の荷を積んだふたりは、アイスランドのスネッフェルス山を目指す。
地球の中心を目指す旅を、アクセルの言葉で、ユーモアを交えて綴った冒険物語。
*******ここからはネタバレ*******
この作品が発表されたのは、今から150年前。未だに読まれているわけなので、本当、古典中の古典。
そのためか、地底の描写(地底空洞説)のみならず、現代の私たちの目から見ると、冒険の準備、装備や行程等あまりにも行き当りばったりで、無謀ではないかという点が目に付く。
例えば、
冒険旅行のことを、教授の養女グラウベン以外に話さずに出かけたこと。彼女も、詳細は知らされていない。これでは、何かあったときにも、対処の仕様がないではないか。
彼らとガイド、合わせて3人の60日間分の食料を、ハンスひとりが持って地下に潜ったとあるが、その大きさはいかなるものだったのだろうか???
地底では、危険が伴うところ以外では3人の体を結束していなかった。暗闇で迷子になったら、メンタルが保てないし、3日間も暗闇の中、6キロも離れた状態から動くなんてありえない。
水を携行しなかったことについては、後にひどい目には遭っているが、そもそも、道中で補えると考えていることが無茶なのでは?
地下水を得るためにハンスがつるはしで岩を掘った際、これについてはかなりのリスクを覚悟していたのに、いくら気が大きくなっていたからといって、地底で爆薬を仕掛けて岩を吹き飛ばそうと考えるなんて、無鉄砲すぎる。
結局、地球の中心には行き着けなかった。今回の功績を基に資金を集め冒険チームを編成して再挑戦したら良さそうなものの、軽率な行動からせっかくの穴を潰してしまっている。これは功績と讃えられるべきなのか?
今なら非難されそうだ。
……等々、ツッコミどころは散見される。
だが、地底で危機に見舞われている最中でも、働き者で冷静沈着なハンスが、毎週土曜日の晩に賃金3リクスダラーを受け取るところでは、息が抜けた。
ハンスは、なんのスキルも必要としないケワダガモ猟の”名人”ということだが、無口で、疲れを見せず、文句も言わず、超人的な働きする。この逸材がいれば、どんな冒険旅行も百人力となるだろう。
地底の空洞世界に着いたあたりから想像力爆発なのか、フィクション感が増して、古典というより(いやいや、本当に古典なのだが)ドラえもんチックになったように感じる(いやいや、ドラえもんがここからヒントを得ているのかも???)。
300頁「ロープの先に思いつるはしをしばりつけ」は、「重いつるはし」の間違いでしょう。
ゆるくユーモアもありますが、今どきの本に比べるとかなり物語のスピードはゆっくりです。
150年前の冒険譚を現代の子どもたちがどう読むのか関心はありますが、これで地学のテストで間違うかも知れないですね。
教授とアクセルとの会話は、やけに専門なところもありますが、あくまで「フィクション」だと前置きして渡したい本です。続きを読む投稿日:2020.05.13
地底から地上に飛び出すシーンなんて鳥肌ものでした。こんなにおもしろい冒険ファンタジー?がこんな昔にうまれていたなんて!どんどんスピード感があがっていくのでぜひ最後まで読んでほしい。
投稿日:2023.09.10
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