「おろ、これなに? 本?」はい、どうも。カズノです。今回は、「本について考える」本です。別に「本とは何か? 文字言語とは?」とか、「グーテンベルクの印刷技術で誰もが聖書を読めるようになった、それこそ『本』の発端であり今も変わらぬ意義であって・・・」とか、そういう話じゃないです。「おろ、この表紙、タイトルも著者名もないじゃん。なにこれ、これ本?」とか、そういうレベルから本のことを考えてしまう人──考えられる人と、本を考える本です。ふざけていません。本気です。きみこそどくしゃだ! な本です。※湊『告・・・
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「おろ、これなに? 本?」
はい、どうも。カズノです。
今回は、「本について考える」本です。
別に「本とは何か? 文字言語とは?」とか、「グーテンベルクの印刷技術で誰もが聖書を読めるようになった、それこそ『本』の発端であり今も変わらぬ意義であって・・・」とか、そういう話じゃないです。
「おろ、この表紙、タイトルも著者名もないじゃん。なにこれ、これ本?」とか、そういうレベルから本のことを考えてしまう人──考えられる人と、本を考える本です。ふざけていません。本気です。きみこそどくしゃだ! な本です。
※湊『告白』のネタバレあり
【目次】
序一 知ろうとしないコ
1 知ろうとしないコ
2 直樹の不自然──「自分」という存在から考えてみる
3 直樹の個性から考える
4 ところで湊の勘違いのこと──血液を飲んでHIVに感染するの?
5 ところで直樹のバカ
6 調べること、知ること、知識的であること
7 ひとまず『告白』はこういう本
序二 考えない人
1 「考える」の練習
2 「考える」の復習──考えることと感じること
3 湊の誤算。またもや
4 再び「考える」の練習──森口に完全犯罪は可能か?
5 ミステリー読書から学ぶもの
6 考えることの無力感
【著者】
宮崎研治
1968年、横浜生まれ。高卒。書籍製作者・校正者、出版レーベル・カズノpub.運営。 -
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よく考えると不思議です。なんでイヤミスはいやーな感じ『しか』残せないのでしょう?
イヤミスを考えました。
それでやっぱ『告白』の場合、「小説が下手!」というのが「いやーな感じ」の原因の気がします。だってそうです。「いやーな感じ『しか』残せない」のがイヤミスだとしたら、「いやーなとこ以外はダメ!」にしかなりませんでしょう。
という、どうでもいいといえばどうでもいい研究をしているのですが、「そもそも読者をいやーな気持ちにするつもりなど湊には無かった。そんな作家じゃない」という推論も出してます。はい。
【目次】
一章 「聖職者」の凄味と後味
1 「聖職者」の凄味とミステリーの弱さ
2 「聖職者」の不出来とミステリーの形
3 「聖職者」の後味とミステリーの正義
二章 「聖職者」は『完全自殺マニュアル』に似てる
1 「聖職者」と『完全自殺マニュアル』騒動
2 曖昧さにも色々ある。少なくとも二つはある
3 にも拘わらず決定打は無い。にも拘わらず決定打はある(気がする)
4 衝撃的な背徳性の副作用(てか主作用)
三章 歴史という大きなふところ
1 この結末は後味がよくない、と歴史も言う
2 「こっそり血液」とはそもそも卑怯である
3 ところで森口はどこまで本気なの?
4 古い歴史は案外今風の理想であり、今風のドラマは案外に旧態依然である
5 森口はせこい
【著者】
宮崎研治
1968年、横浜生まれ。高卒。書籍製作者・校正者、出版レーベル・カズノpub.運営。 -
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「ひとりの作家志望者が魂を込めた作品には、これくらいの返事しないとカッコつかないよなー」
『告白』は失敗しています。
少なくとも文芸的には失敗作ですが、だとしても、大切な観点と内容を持っています。「事件につぐ事件、暴力につぐ暴力」より「イヤミス」より、大事なものがこの作品にはあります。
きっと湊はそれを書きたかったはずだし、読み手もそこに引っかかったはず、というのがカズノの立場ですが、そんな話をこの部から始めました。始めたらどんどん長くなりました。嗚呼。
けどまあ入魂うんぬんはともかく、一冊の読書に感じたり思ったり考えたりすることって、原稿用紙1000枚くらい軽く超えません?
【目次】
四章 イヤミな森口
1 「聖職者」の印象と『告白』への二つ目の注文
2 森口のイヤミの謎
3 てことで実際、森口はいつからイヤミになったのか?
4 そんな森口について考えたいこと
5 湊に書いてほしいもの
五章 森口の熱血嫌悪
1 熱血への矛盾──それは愛?
2 愛ははかない
3 そこまで言います?
六章 森口と被害者
1 森口は被害者
2 被害のインフレの残念
3 森口は何を問題にしたがっているのか?
4 被害者の加害欲求
七章 森口の受け身
1 森口の受け身
2 「好き」を抜かせる人
3 不自然=自然ではない森口の内実
八章 『告白』のリアリティ──優等生の孤独
1 『告白』のリアリティ
2 優等生の孤独──優(い)等(い)生(コ)でいるのはつまんない
3 優等生の歴史
4 優等生の孤独の背景──このように優等生はつまんない
5 「まじめな優等生に私は味方する」
【著者】
宮崎研治
1968年、横浜生まれ。高卒。書籍製作者・校正者、出版レーベル・カズノpub.運営。 -
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優等生のいいコたちは、なぜ今そうも孤独なのか? ──在野の橋本学派による「現代日本国民史~優等生編」
「たまたま勉強ができたという、たったそれだけのことで、なんでここまでひどい目にあわないといけない?」
いつからか優等生は肩身の狭い思いをしています。世間でも家庭でも、なんと学校でも。なぜでしょう? だって「優等」なのに。
優等生の孤独と苦痛、そんな彼/彼女の暴力を俎上に上げたのが湊の『告白』です。「優等なはずなのに、なんでこんなことになっちゃうの!?」──これこれこうしてなっちゃうんです。
在野の橋本学派が解き明かす、「現代日本国民史~優等生編」。
※そんな学派はありません。
【目次】
九章 優等生とはこういうもの
1 いかにして人は優等生になるか
2 なぜ優等生は勉強を頑張るのか
3 学校社会の成立
4 教育ママの消滅と女のマザコンの誕生
5 男のファザコンも生まれたりする
十章 学校の暴力と暴力のある学校
1 65世代
2 学校の暴力の変遷
3 いじめ
4 いじめの生んだもの
十一章 優等生と暴力
1 学校の暴力と優等生
2 優等生の暴力性──犯行
3 優等生の暴力性──同情
4 森口とイヤミの関係、再び
十一・五章 優等生と暴力(補)
5 学校の暴力と優等生の暴力
6 『告白』の矛盾。不出来。ひどさ
7 余談。
8 学校の中の優等生
9 たまたま勉強ができたという、たったそれだけのことで、なんでここまでひどい目にあわないといけない?
十二章 再び、優等生とはこういうもの
1 調べられない人
2 自分の無くされかた
3 再び、自分と役割がくっついてしまうことのこと
4 森口は会社人間
5 「女に学はいらない」
【著者】
宮崎研治
1968年、横浜生まれ。高卒。書籍製作者・校正者、出版レーベル・カズノpub.運営。 -
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打鍵がはずめば論理がうたう「読んでも読んでも読書は終わりませんな」
「どうしてこの音がここにあるのか。全体のなかでどういう役割を果たしているのか。
あ!そうか!とわかる時がいちばん楽しい。意図の根底に少しだけ触れた、気がするから。」
と話したのは鈴木祥子です。
「考えることは危険だ。
でも、考えないことよりはるかに安全だ。」
とは江國香織です。
どっちをエピグラフにさせてもらおうかなー、と迷いました。筋金入りの不良少女対決というか、楽しい逡巡でしたけど、今回は祥子さんver.です。香織さんver.はまた今度やります。
何を「考える」したかは目次参照。
【目次】
十三章 優等生のなれのはて(1)
1 考えていた人
2 考えるのをやめた人
3 『告白』の趣向。その成功的発想と失敗的事実
4 文芸版・野島伸司と言うかなんと言うか、惨敗
資料 『告白』ツッコミどころ
十三・五章 優等生のなれのはて(2)
1 結局のところ、森口は誰の味方だったのか
2 ただの優等生が必要とするもの。そしてこれが『告白』の姿
3 『告白』の怖さと痛み
4 優等生のなれのはて。またはなんで森口は倫理にこだわるのか
十四章 読書という文化、自分という流行り
1 結局のところ、森口とは誰なのか
2 本屋大賞に問う──書店員でもあるあなたに問う
3 「田舎者」の勘違い
4 正しい本の読み方
5 そもまず、なんで正しい本の読み方を覚える必要があるのか
6 森口の得たもの。と言うか得られなかったもの
7 書店員に問う。てかまあちょっと聞いてくださいよ
終章 つよい人
【著者】
宮崎研治
1968年、横浜生まれ。高卒。書籍製作者・校正者、出版レーベル・カズノpub.運営。 -
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