聖徳太子 ほんとうの姿を求めて
東野治之(著)
/岩波ジュニア新書
作品情報
聖徳太子は,偉人だったのか,ただの皇子だったのか.古代史研究の第一人者が,史料をもとに,丁寧にその実像に迫ります.手がかりは,法隆寺の釈迦三尊像に刻まれた銘文や,太子の自筆とされるお経の注釈書など.著者独自の視点で史料を読み解き,見えてきた姿とは? 教科書の丸暗記ではない,歴史学のおもしろさを味わおう.
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商品情報
- シリーズ
- 聖徳太子 ほんとうの姿を求めて
- 著者
- 東野治之
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波ジュニア新書
- 書籍発売日
- 2017.04.20
- Reader Store発売日
- 2020.06.25
- ファイルサイズ
- 16MB
- ページ数
- 238ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (7件のレビュー)
-
専門でない僕には、「ほぼ虚構だ」でも「スーパーヒーローだ」でもない、こういった記述がもっとも真実に近いように思える。
またソフトな語り口でありながら論争的な書きぶりは、なんだかハラハラして楽しい。
…ただこの手の本を読んでいつも書いている気もするが、「絶対にこうだ」という証拠はなかなかないんだよねえ。
なんか西澤保彦的に「こういうふうにも考えられる」という学説が乱立している(せざるを得ない)世界のような思いをさらに強くしたなあ。続きを読む投稿日:2017.07.30
〇新書で「学校生活」を読む⑯
東野治之『聖徳太子 ほんとうの姿を求めて』(岩波ジュニア新書、2017年)
・分 野:「学校生活」×「歴史を読む」
・目 次:
はじめに――この本を読む人へ
序… 章 ほんとうの聖徳太子を求めて
第一章 釈迦三尊像の銘文にみる太子
第二章 太子はどんな政治をしたのか
第三章 聖徳太子の仏教理解
第四章 斑鳩宮と法隆寺
終 章 聖徳太子の変貌
あとがき
・総 評
本書は、いわゆる「聖徳太子」の実像について、様々な史資料を分析しながら考察した本です。著者は日本古代史を専門とし、奈良大学名誉教授・東京国立博物館客員研究員などを歴任しています。
少し前に“聖徳太子はいなかった”という言説が流行りましたが、その背景には、太子に関する史資料の大半は後世に作られ、彼の実在を証明する“同時代の正確な史料”がほとんど存在しないという点があります。著者は貴重な史資料に触れることができた経験を基に「史料の何がどこまで信用できるのか」という点を重視して、彼の実像に迫ります。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。
【POINT①】法隆寺金堂釈迦三尊像の銘文はいつ彫られたのか?
著者が「最も信頼できる同時代の史料」として挙げているのが、聖徳太子が亡くなってすぐに作られた仏像(釈迦三尊像)の背面に彫られた銘文です。ここでは、太子は「仏教への造詣が、周囲の注意をひきつけてやまないほど、並はずれていた」と評価されていますが、一方で、この銘文は仏像が作られてからだいぶ後の時代に追加で彫られた文章ではないかという指摘もありました。著者は釈迦三尊像を観察する中で、背面の「金メッキが散布している」状況から、この銘文は仏像が制作された時期に彫られたもの=「同時代の史料」であると判断しています。
【POINT②】『日本書紀』に書かれていること/書かれていないこと
聖徳太子の功績を詳しく記した史料『日本書紀』は、朝廷が国家事業として編纂した歴史書ですが、その内容については朝廷に都合が良いように改変されている部分もあるため、どこまで信用できるのかが議論されてきました。著者は『日本書紀』の記述について、捏造する必要もない「些細な記事」や、逆に外交面では「太子の足跡」が見られないことに注目し、それぞれの記述の真偽を判断しながら、太子は「中国や朝鮮の書物や制度を調べ、それをもとに倭国に合った制度を立案すること」を得意とする一方で「権力を背景に、政策を実行する面は、〔蘇我〕馬子の実力に負っていた」と判断しています。
【POINT③】『法華義疏』(全四巻)は聖徳太子が書いたのか?
仏教の経典「法華経」の注釈書『法華義疏』(全四巻)は、太子の自筆(自ら書いたもの)と言われている史料です。これが事実なら、一四〇〇年前の原稿が残っていることになり、昔からその信憑性が問われてきました。著者は、この史料を実際に手に取る機会に恵まれ、後世に作られたカバーと比べて「中身の写本が不釣り合いに貧弱」なことに驚きながらも、これが太子の自筆原稿だと判断しています。その上で、太子の仏教理解は「一個人の悟りを求めるのではなく〔…〕全体の救済を目標とする考え方」であることや「在家のための仏教」を重視するなど、同時代から見ても「独特な解釈」を行っていたと指摘しています。
以上の【POINT】を踏まえ、著者は、聖徳太子という人物を「行動的ではないが頭は冴え、自分のポリシーをもって外来文化を取り入れる、ある意味過激な知識人」という感想を述べています。歴史を研究する場合、ただ史料に書いてあることを読めばいいのではなく、その史料が“どこまで信用できるのか”という分析を行う必要があります。こうした作業を「史料批判」と言うのですが、本書は、その「史料批判」の一端を見せてくれるという点で非常に面白い一冊と言えます。
(1564字)続きを読む投稿日:2024.01.22
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