鞄に本だけつめこんで(新潮文庫)
群ようこ(著)
/新潮文庫
作品情報
私は子供のころから本を読むのが一番好きだった。梶井基次郎を読むたび湧き出す愛猫への思い。永井荷風が思い出させる幼き日の家出。坂口安吾に救われた思春期。幸田文とはだいぶ違った父娘関係。谷崎に性の厄介さを教えられ。小学生からの付き合いになる林芙美子・・・・・・。本さえあれば、どんな日常も笑えて愛おしい。思い出をカラフルに彩る24冊の名作を紹介、読書の幸福に満ちた名エッセイ集。
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商品情報
- シリーズ
- 鞄に本だけつめこんで(新潮文庫)
- 著者
- 群ようこ
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2020.04.01
- Reader Store発売日
- 2020.06.19
- ファイルサイズ
- 4.4MB
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この作品のレビュー
平均 4.2 (5件のレビュー)
-
24作品の本の紹介本というよりは、その本にまつわる著者のエピソード集。
昭和の終わりから平成のあたまにかけて刊行された作品が、ポップに新装改版されて登場。新刊かとおもった。最後は林芙美子「放浪記」への…愛があふれていた。
読んだこともない、知らない作家さんがたくさん。
九生十蘭「キャラコさん」、森田たま「もめん随筆」
尾崎翠「第七官界彷徨」、永井荷風「濹東綺譚」
三島由紀夫「三島由紀夫レター教室」、野溝七生子「緑年」
お気に入りはこれらかなあ。続きを読む投稿日:2020.06.01
もっと読書量を増やしたくて、生活を見直してみた。
時間がちょっと空いたときにやっていたスマホのパズルゲームをやめ、他にも生活の流れの中で本を読むタイミングを増やそうと試みた。本をできるだけ手元に置き…、とにかく何でもいいからできるだけ本を開くように心がけた。
そうした時間に毎日少しずつ読んで、今回読了したのがこの本。タイトルが自分の心境に合っていたので選んだ。
〈子供のころから本を読むのが一番好きだった〉という著者の、24冊の本についてのエッセイ集。
恥ずかしながら、知らなかった作家名や書名がズラリ。梶山季之「色魔」、金子ふみ子「何が私をこうさせたか」、山川方夫「街のなかの二人」、森田たま「もめん随筆」、杉本鉞子「武士の娘」、矢田津世子「茶粥の記」などなど。
エッセイがどれもおもしろくて、どの本も読んでみたくなる。著者がとても楽しそうにその本にまつわる思い出を語るから。本好きあるあるにもあふれていて共感の嵐だし。読みながら、著者といっしょに悔しがったり腹が立ったり、切なくなったり悲しくなったり、恥じらったり笑ったり、とにかく楽しかった。
このエッセイ集が最初に世に出たのは昭和62(1987)年、さらには著者の生まれは昭和29(1954)年、であるから、全編にすごく懐かしいにおいが漂っている。かと思うと、この時代の価値観からしたらかなり先進的なものの見方、考え方をしていることに驚きもする。
「かわいい家族、猫」(2冊目 梶井基次郎「愛撫」)では、私の一番弱いところを突かれてぐわぁぁぁと涙し、「利口な女と聡明な女」(9冊目 森田たま「もめん随筆」)では、自分もこんな先生と出会いたかったとうらやましく思い、「老人は枯れているか」(12冊目 谷崎潤一郎「瘋癲老人日記」)では、〈きちんとした身なりの品のよい老紳士〉が著者に放ったひと言に仰天しながらも大笑い、「子供だって悲しい」(14冊目 横光利一「火」)では、親の言動が気になりつつも怖くて聞けず、何もどうにもできなかった子どもの頃の気持ちが痛いほどよみがえり、「女って何なのか」(23冊目 野溝七生子「緑年」)では、「その通り!」と握手を求めたくなるくらい共感した。
あぁぁ、おもしろかったぁ、と読了した瞬間、読み終わってしまったことに寂しくなった。
続きを読む投稿日:2023.07.01
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