江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。二年前に出奔したまま行方知・・・
便利な購入方法
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江戸は両国の見世物小屋で評判の、姫様人形・お華と、その遣い手の月草。月草が声色を変えてしゃべっているはずなのだが、「お華には特別な力がある」「真実を語る」ともっぱらの噂だ。両国一帯を仕切る地回りの親分・山越も、娘のお夏を助けてくれるお華には一目置いている様子。ますます栄える盛り場だったが、山越が縁を切ったはずの息子たちが姿を現したせいで、にわかに跡取り問題が持ち上がる。江戸一の盛り場である両国を、次に取り仕切るのは誰なのか? 急に現れた息子たちを不審がる両国の人々は、両国の将来がかかっていると、娘・お夏の婿取りに注目し――。陰謀渦巻く両国で、月草はお夏を守りきれるのか? 一人二役、二人で一人、月草とお華の謎ときが始まる!
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江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。そして明らかになる語り部・月草の意外な過去・・・・・・心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて・・・・・・快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!
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