アリババ 世界最強のスマートビジネス
ミン・ゾン(著)
,土方奈美(訳)
/文春e-book
作品情報
ジャック・マーの右腕、アリババ前最高戦略責任者が執筆!
中国の巨大IT企業、その想像を絶するビジネス戦略がすべて明かされる。
「われわれは中国版アマゾンではない」
「データ」と「ネットワーク」を融合させたアリババ式「隠陽ビジネスモデル」こそがこれからの世界標準となる。
◆目次より
・なぜ中国は金融テクノロジーで米国を抜き去れたか
・「奇跡が起きた」--人類最大のショッピングデー「独身の日」を支える舞台裏
・アマゾンは「データ」は強いが、「ネットワーク」が弱い
・意思決定も自動化される
・C2B(カスタマー・トゥ・ビジネス)へ
・あなたの企業は「線」か「面」か「点」か
・アリババは組織自体が「機械学習」する
・クリエイティビティを生むマネジメント革命とは
・アリババでは、上司が年に5回も変わる
・これからの時代、個人と企業が生き残るための教訓
◆ジャック・マー序文
「本書は、読者のみなさんが新たなデジタルエコノミーに足を踏み入れる上で、貴重な手引きになるだろう」
◆米国からも賞賛
グーグル前会長 エリック・シュミット推薦。ペイパル創業者 ピーター・ティール推薦
原書は、米国名門版元ハーバード・ビジネス・レビューより英語にて刊行
◆日本語版スペシャル・エディション(著者最新インタビュー収録)
・GAFAはアリババのライバルか ・金融分野でアマゾンとの対決はあるか
・AI都市、AI政府は始まっている ・日本企業がIT戦略で成功する方法 ほか
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商品情報
- シリーズ
- アリババ 世界最強のスマートビジネス
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-book
- 書籍発売日
- 2019.10.30
- Reader Store発売日
- 2019.10.30
- ファイルサイズ
- 13.6MB
- ページ数
- 392ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (14件のレビュー)
-
アリババのスマートビジネスを支える2つの要素の解説
ネットワーク・コーディネーション
データインテリジェンス
また、エコシステムにおける面、線、点の戦略分類も興味深く感じました。
本書にあるような…データを武器に学習し、成長し続けられる仕組みを持つことが次世代に生き残る組織の要件になるのかもしれません。続きを読む投稿日:2020.01.14
「意思決定は自動化される」高度な超機械化に対し人間の主体性はどうなるのか。そんな世界が確実に訪れる。
アリババのスケール感には、圧倒されてしまう。
「独身の日」のお祭り騒ぎは、単なる「狂騒」とは言い難…い。
たった1日間だけのイベントのために、途方もないサーバーへのトラフィック、決済、物流を捌くのだから、その裏側で動いている技術力の高さはもの凄いレベルだ。
Amazonとどうしても比較されることが多いが、本書を読むとそんな単純な話でもないことが分かる。
確かにAmazonも、クリスマス時期の急激なトラフィックを捌くためにクラウドを強化し、それを外販したことで、今では大きな利益を稼いでいるというのも有名な話だ。
Amazonも勿論戦略的にこれらを行った訳であるが、どちらかと言うと「クリスマスがあったからサーバーを強化した」と後追いには感じてしまう。
アリババの場合は「独身の日」を自ら盛り上げ、顧客を煽り、狂騒を生み出している。
まるで自らがとんでもない高みに挑戦するために、自分でドンドンハードルを上げているかのようだ。
これを「クリスマスがやってくる」と受け取るか、「独身の日というイベントを生み出す」と捉えるかは、まさに考え方の違いとも言うべきか。
Amazon創業者のジェフ・ベゾスが、紙ナプキンに描いた「弾み車の法則」は有名だが、アリババのビジネスモデルは、Amazonとは様相が異なる。
アリババのビジネスモデルも、これはこれで本当に秀逸だと思う。
最初から描いて作ったビジネスモデルなのか、走りながら変化して結果的にこうなったのか。
その辺の真実は本書からは読み解けないが、アリババが商品を仕入れてEC通販するという単純な「卸売モデル」とは違うということは理解できる。
アリババも、決して「普通の企業」とは言えない。
やはり考え方そのものが、日本人では発想できない部分があるような気がする。
創業者ジャック・マーの「この世から難しい商売をなくしたい。人々の不便をなくし、社会を変えていきたい」という思いが結実したのがアリババである。
身近な人が近隣で商売を始めても、なかなか上手くいかず苦労をしていたのを見ていて、そんな状態を解消したいと思ったのだと言う。
確かにその頃の中国は、まだまだ経済基盤が整っておらず、商売を始めたくても銀行口座を持てなかったり、事業のために融資や投資をしてもらえる体制もなかったらしい。
手元のわずかな資金で小さくビジネスを始めても、それを増やす方法が難しかったのだろう。
もし仮に商売自体にニーズがあっても、商品製造しても支払いが行われなかったり、現金や商品が盗難にあったりしたら、ビジネスが上手くいくはずがない。
そういう原体験があったからこそ、アリババは単なるECではない企業になったのだと思う。
アリババサイトはあくまでも顧客に対しての入口とはなるが、実際に商品を販売しているのは各企業の事業者であって、アリババではないのだ。
これも「各事業者」こそが、アリババを通じて商売をしてもらい、利益を上げてほしいという考え方だからだ。
そして、そんな思いは当然に各事業者の一番の不満を解消する方に向かっていく。
「アリペイ」の成功だけが注目されてしまうが、元々の始まりは中国内の金融システムが脆弱だからに他ならない。
このリープフロッグは、当時の中国だからこそ実現できたことで、現金、クレジットカード、電子マネーカードがすでに普及していた日本の状況とは大違いだ。
アリババは「アリペイ」という強力な一手を軸に、とてつもなく大きな経済圏を作り上げていく。
この実質「お金」と言えるインフラを構築できたのは、大きなアドバンテージだ。
そこからアリババ経済圏として矢継ぎ早に事業展開を広げるのがすごい。
確かに個人情報の扱いなど、その重要度の考え方は中国と他国とは大きな違いがある。
それにしても、アリババがここまで経済圏を拡大したのは、技術力の高さも半端ないレベルだからだ。
金融から始まり、ソーシャルレンディングなども、すべてAIでアルゴリズム化されている。
この分野では日本はとてもじゃないが追いつきようがない。
本書内で「点」か「線」か「面」か、という記述があるが、事業をどう組み立てていくかは、もはや直線的に考えることでは難しいのかもしれない。
技術革新はエクスポネンシャルで指数関数的に見なければいけないし、当然アリババのように常にビジネスを次元を増やして考えていく必要がある。
1次元で考えるだけではダメで、2次元、3次元・・・。
よく「多面的に考えろ」と言って、様々な角度から物事を見る例えとして使われるが、これこそ「言うは易し、行うは難し」だ。
しかしながら、その難しいことを行えるからこそ、他者との差別化につながるし、事業展開の優位性につながる訳である。
GAFAに関するものは、日本では多く書籍化されているが、アリババに関する書籍はまだまだ少ない。
今後も、もっと調べていきたいと思った。
(2023/9/9土)続きを読む投稿日:2023.09.30
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