魔王 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男
エヴァン ラトリフ(著)
,竹田 円(訳)
/早川書房
作品情報
――サイバー麻薬王が築き上げた恐るべき犯罪帝国の全貌とは?―― それは、数億ドル規模の米オンライン薬局事業から始まった・・・。海を渡る北朝鮮の覚せい剤とコロンビアのコカイン、金の延べ棒がうなる香港の隠れ家、イランとの武器取引、ソマリアの傭兵軍団、フィリピンの暗殺者たち、アメリカ政府でも破れない高度な暗号化プログラム・・・。すべての背後で糸を引く「魔王」の正体は?〈MCU〉のルッソ兄弟がドラマ化を即決した、想像を超える犯罪ノンフィクションの新時代を告げる一冊。
もっとみる
商品情報
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 早川書房
- 書籍発売日
- 2019.10.17
- Reader Store発売日
- 2019.10.17
- ファイルサイズ
- 5.1MB
- ページ数
- 560ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (8件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
いろいろと驚いた、というか、考えさせられた本だった。
レビューの続きを読む
まず、思ったのは、インターネットの出現は、現代のありとあらゆるものの在り方を変えたけれど、「悪の帝王」の在り方までも変えたんだなぁ、ということ。
この本の原題は「The Mastermind」、日本語にすると「黒幕」とか「首謀者」という意味で、通常、犯罪組織のマスターマインドというと、私はゴッドファーザー的なマフィアのボスを思い浮かべたりするんだけど、この事件の首謀者ポール・ル・ルーは、そういうマッチョで父性の強いタイプとは全然違う。外に出ずに自分の部屋で過ごすのが好きな「オタク」タイプ!
人間にはまったく興味がなく、携帯電話とネットを使ってすべてをコントロールし、プログラミングの腕と頭脳で悪の帝国を築きあげる。
今後はこういったタイプのインドア派の悪の帝王も増えていくんだろうなぁ、とこの本を読んでいて思った。法や捜査の目をごまかすためには、筋肉ではなくIT知識の方がますます重要になっていくだろうから。
著者は元ITエンジニアで、ル・ルーと同世代。
インターネット発展期にその可能性に魅了された世代で、ル・ルーのたどってきた道には非常に共通点が多いと言う。そして、自分や、同じく同世代のIT長者たち(イーロン・マスクやザッカーバーグなど)と、ル・ルーの道はいったいどこで分岐してしまったのだろうか、と考える。
もちろん、TVドラマと違って、現実の物語なので、明確な答えはないんだけれど。
私は子供の頃に見たアニメや漫画を思い出した。
悪の帝王が洞窟みたいなところにいて「世界制覇まであと一歩じゃー! フハハハ」などと言っているシーン。
「世界制覇て・・・そんなアホな夢を見ている奴は実際はおらんだろう」と子供心に思ったものだが、ル・ルーという男は、そういう子供じみた古典的とも言える野望を本気で抱いていたように思える。そこが、著者やイーロン・マスクと決定的に違うところのような気がする。
とても信じがたい話だけど。
金もうけだけが目的だったなら、グレーゾーンで荒稼ぎすることで、死ぬまで成功者でいられたのではないだろうか。(それはそれで嫌な話だけど、そんな輩は世界中に死ぬほどいると思う)
何年かあとに、ある国際組織が「サステナブルな漁業開発」として提案したソマリアでの事業プランが、ル・ルーの考えていたことと酷似していた、というあたりを読んで、「世界制覇」とかいう意味不明な野望さえなければ、彼もその地の功労者くらいにはなってたかもなぁ、とも思った。実態はただの金もうけ目的だったとしても。
しかしこの人物、スケールが大きいんだか小さいんだか分からなくて笑えた。
社員には出張時のホテル代の上限が80ドルというルールを課していたとかで、殺人や暴力担当の傭兵たちもそれを守っているのには笑った。超えるとすごく怒られるからなんだけど、微妙な値段すぎて笑える!
ほかにも、麻薬の取引をまとめるために泊まったホテルで、シャツのクリーニング代が2ドルなんて高い!と文句を言っていたり。
傭兵たちを悩ませていたというエクセルの報告書フォーマットの話も、想像するとかなりおもしろい。めちゃくちゃ細かかったらしい。
自分はとんでもない悪事を働いているというのに、部下には限りなく忠実かつ正直さを求めている。勤勉さも。なんなんだろう。意味が分からない。
ちなみに、意味不明だったのはル・ルーだけではなかった。
ル・ルーが逮捕されてからのアメリカの各機関の対応も、私には意味不明に思えた。
ノンフィクションだから、ドラマみたいにポエティック・ジャスティスがなされてスッキリ!てなわけにいかないのは当然なんだけど、それにしても、彼の手先として働かされていた人ばかりが起訴されて、彼は逮捕されたことすら伏せられてPC触ったりしているなんて、読んでいて歯がゆくてストレスがたまった。
著者は、当局が「イラン」あるいは「北朝鮮」を手に入れようとして、ル・ルーの起訴を保留にしていたというようなことをほのめかしていたが、そんなウソの餌(あるいはハッタリ)に踊らされたおかげで、ル・ルーはすぐに裁かれもせず、刑期を終えた後の人生設計を練ったりしているなんて、ちょっと許せないと思ってしまった。もっと大物を釣り上げたいと思う気持ちはもちろん分かるから、彼らを責めることもできないんだけど。
著者の仕事ぶり(事実をすべて検証して、憶測は極力排除する)はとても素晴らしかったけれど、読後は全然すっきりしない本だった。読み終わってしばらくたつけど、いまだモヤモヤ。
少なくとも今後の結果(ル・ルーの起訴内容と判決)くらいはいつか知りたいと思う。スッキリする結果だといいのだけど。投稿日:2019.11.25
こんな人がインターネットの裏にいたなんてという驚きが凄かった。
そして、非常に読みやすくしてくれた著者に感謝。
とても面白く読めた投稿日:2022.12.19
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。