平成の教訓
竹中平蔵(著)
/PHP新書
作品情報
【小泉総理の平成改革の立役者・竹中氏だけが語れる、平成改革の全内幕!】昭和が「激動の時代」であったなら、平成は「激変の時代」であった。小泉政権で大臣を歴任し、郵政民営化政策などの立役者として激変の時代の渦中に身をおいた著者。著者は本書で「平成とは『まだらな30年』だった」と説く。それは、数々の改革と愚策がまだら模様を織り成した時代だった。経済成長率、物価、株価、人口、貧困率・・・・・・など様々な統計や往時の内幕を交えながら、平成から汲み取れる教訓を考察する。平成の30年を動かしたダイナミズムとは何だったのか。平成を検証することは、次の時代の正しい道標へとつながるだろう。 【目次より】●序章 平成とは何だったのか ●第1章 平成30年間は「まだら」な時代――「失われた30年」と見るのは誤りだ ●第2章 平成時代をクイックレビューする――まだら模様は、何がどう織りなしていったか? ●第3章 平成に「失われたもの」とは何だったのか――私たちは何を失って、何を得たのか ●第4章 平成に進行した「改革」の内幕――小泉改革の真実と、平成の改革者たち ●第5章 平成に横行した「10の愚策」を検証する――どんな愚策が、成長を鈍らせ、改革を阻んだか ●第6章 平成が示す、未来への教訓――「非連続の変化」を実現せよ
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商品情報
- シリーズ
- 平成の教訓
- 著者
- 竹中平蔵
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 2019.02.15
- Reader Store発売日
- 2019.02.17
- ファイルサイズ
- 19.4MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (8件のレビュー)
-
ご自身の政策や施策も含め、振り返りながら検証していく。結局「平成の失われた30年」とは何だったのか。
本書を読みながら、私自身が平成という時代を総括するとしたらどうするかを考えてしまった。
著者と私は…年齢も異なるため、同じ平成元年であっても、その時が10代・20代・30代・40代・・・だったとしたら、その景色の見え方は様々だろうと思う。
私自身は平成元年の1989年は大学1年生だった。
大学4年間のほとんどはバブル期の最中と言え、貧乏学生だったために、世間の景気の良さという実感は当時も無かった。
しかし、今思い返してみると、自分自身がお金を持っていなくても、なぜか心の余裕はあったような気がする。
もちろん自分が青春時代の真っ只中であるし、今よりも視野も視座も貧弱であるのだから、当時の社会を正しく見えていなかったという点もあると思う。
今の大学生の方が、よほど将来を考えているし、しっかりしていると感じるが、現代のような閉塞感は当時なかった気がする。
これは、私だけの錯覚かもしれないし、やはり社会がバブルで浮かれていたのに乗せられていたのかもしれない。
あまり深く考えずに、将来に対しても楽観的で、ただ遊び惚けていたように感じる。
当時から社会人だったり、その中でも重責を担っていた人は、また感じ方が異なるだろうと思う。
そういう時代背景を感じながら、平成をどう総括していくのか。
著者は、平成を「失われた」訳ではなく、「まだら」だったと説く。
私自身は平成年間を20代・30代・40代と30年間過ごした訳であるが、確かに感覚的に「負け続けている」というのは、言い過ぎな気がしてしまう。
牛丼は安くてありがたかったが、飢えて食べる物に困ることは無かったし、失業もせずに何とか仕事を続けていられた。
もしかしたら恵まれた環境だったのかもしれないが、そんなに酷くなかったような気がしてしまうのだ。
もちろん、著者が見ているのはもっとマクロな視点だから、様々な目に余る愚策もあったのだろう。
私はイチ消費者として、インターネットが登場した時には心躍って、何とか回線を繋げたいと配線やら設定やらと格闘しながら、夢みたいな新しい世界を楽しんでいたし、カラフルなiMacにも胸がときめいていた。
携帯電話のガラケーだって、折り畳みタイプが出た時は「格好いい!」と思って、衝動的に機種変していたりした。
iPodだって、登場した時はビックリしたが、「何で日本企業がこういう製品を作れないのだろう」とは考えもしなかった。
ただiTunesの仕組みとか、CDを買わなくて済むとか、そういう部分で「すごいことを思い付くなぁ」なんて、気楽に考えていた。
こんな日常を過ごしていたのは、私だけではないはずだ。
大多数の人たちが日本国内の狭い場所だけにいたから、世界との差が開いていったのかもしれない。
そういう意味では確かに「まだら」だったのかもしれない。
2011年は震災もあったし、色々な意味で勝ったり負けたり、激変の時代を過ごしたような気がする。
今思い返すと、民主党政権とか、「2位じゃ駄目なんですか?」とかは何だったのだろう。
そういう時代をそのまま気にもせずにいた自分が、逆に何だったのだろうかと思ってしまう。
様々な政治や経済の施策については、私は門外漢なので何か批評できる訳ではないが、よくも世界第3位の経済大国をキープ出来ていると思う。
問題は本当にこれからなのだろう。
「非連続の変化」にどう対応していくのか。
平成30年間は色々とありながらも、人口が1億2千万人台をキープできていた。
ここから令和の時代になり、大幅な人口減少社会に突入していくと思うと、これから社会をどうやってリデザインしていくのか。
政府だけでなく、我々個人レベルでも想像しながら対応を考えていくしかないと思う。
著者も記しているが、もし「平成の愚策」をたった一つだけ上げるとすれば、「人口減対策を怠ったこと」と言えるかもしれない。
平成年間でも総人口1.2億人台とは言え、高齢化は進んでいたし、当時から「このままではマズイ」という警鐘は鳴らされていた。
つまり、注意喚起されていても、何も行動できなかったということだ。
私自身、結婚して子供を授かったが、結果一人っ子になってしまった。
もしかしたらタイミングさえ合えば、もう一人二人子を授かったかもしれない。
今となれば何とも言えないが、人生を流されるままに生きている人は、私も含めて案外と多いのだろうと思う。
つまりは、流れさえ上手に作れれば、流されてくれた人もいたかもしれないということか。
それが政治の力なのか経済の力なのかは分からないが、もしかすると「まだらな平成」というのは、そういう時代だったのかもしれない。
誰もが主体性を持てず、流されるのを待っていたが、流れを作ることもそれに乗ることも佇んでしまったのではないだろうか。
私自身が一番そのことを憂う。
人生を後悔しても意味はないが、これだけ先が見えない未来については、そのまま流されて生きていくことが、むしろ危険な気がする。
それでは、どうやって主体的に生きていけばよいのか。
ここは自分自身でよく考えて、意識を変えていくしか方法がないような気がする。
すでに時代は連続した直線上ではなく、「非連続な状態が普通」であることが確実だ。
つまり「変化」を繰り返すのだから、数年後にはガラッと価値観が異なる社会になっていてもおかしくはない。
そこでどう生きるかは、やはり自分次第。
平成時代は「このまま続く」という勘違いが、流される人々を生み出してしまった。
令和の時代は、この状態のままで続くことはあり得ないということを理解して、自分で流れを作っていくことが大切なのだと思う。
大変だとは思うが、平成を反省しつつ、未来に向けて前向きに生きていくしかない。
(2023/9/5火)続きを読む投稿日:2023.09.27
竹中平蔵氏に興味があって読んでみた。内容はほぼ自身が行った改革の総括と他の内閣との比較に焦点があっていた。過去の政策を振り返るのに参考になったが、この先の改革にはもうひとひねり必要そう。
投稿日:2019.08.08
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