ゲラーさん、ニッポンに物申す
ロバート・ゲラー(著)
/東京堂
作品情報
日本社会のさまざまな問題点について、東京大学名誉教授のロバート・ゲラーさんが鋭くメスを入れる。「地震予知」をめぐる真っ赤なウソ、アカデミズムの世界における不正問題、骨抜きの受動喫煙対策、英語力が身に付かない英語教育などを正面から取り上げ、徹底論破する。
アメリカ生まれのゲラーさんは、在日30年を超えるきっての知日派で、また人気番組「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)の熱き論客としても知られる。
ユニークな日本論であり、また社会にはびこる「不正」「欺瞞」を暴き出し、科学者として冷静な分析を行いながら痛烈な批判を加える本書は、読み物として面白いだけでなく、私たちに新たな視点を提供してくれる。
また母国アメリカの、いわば「ダークサイド」に光を当てた「知られざるアメリカの正体」では、新たなアメリカ像を描いてみせている。
「タブーもしがらみもない」ゲラーさんは、国の巨大な研究機関であろうとマスコミであろうと、批判すべきものは批判するスタンスであらゆる問題に鋭く切り込む。読者は本書を通して、「新たな事実」を知る面白さに加え、著者のそういった姿勢に胸がすく思いがすることだろう。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
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もっと読みにくいものを想像していたけど、分かりやすかった。
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地震の予知については、正直、全然精度が、、と感じてはいた。おそらく、そう感じている人が大多数なのでは。
ただ、私は無知なので、精度の問題と認識していて、近い将来には、もっと精度が上がるのだろうと思っていたし、首都直下・南海トラフなど、何十年以内に起こる可能性などの地震予測マップも、結構信じていた。けれど、精度の問題ではなかったのだな。
日本は地震大国であるし、大地震発生の可能性は当然あって、その時に、どの地域にどれだけ影響が出そうなのか、国民に知らせておくことや、最近の大地震の経験を踏まえて、これまでの防災のあり方や設備を見直していくことに意味はあるのだと思う。
ただ、そうした予測を発表している、国としての対策にまで、政府の意向に沿った人選がなされていると言う著者の批判が本当であれば、非常に憂慮すべきことだし、そう言う危険性(地震予知が出来るとしている立場の研究者だけが集められている)があるのだと言うこと自体が報道されない、広く議論される機会すら無いと言うことは、怖いことだと思った。
使えない英語教育についてや、アメリカの問題についても興味深かった。投稿日:2019.12.01
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【要約】
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日本では権力の不作為、一部の利益の為に多くの人命・財産・社会的影響に損失が生まれている。だが大手メディアはそれを報じず政府の広告塔となり、国民は何が正か知らない状況だ。アメリカは現在民主主義…の危機だ。日本も同様にそうなる可能性を意識する必要がある。
【感想】
日本を第2の故郷として愛してくれている著者が、日本の良くないところを外国人の視点で厳しく批判している一冊です。
きちんとアメリカの現状と過去の歴史に対する痛烈な批判(日本への批判より厳しい)を加えながら書いている為、自国自慢をしながら他を貶めるような嫌味なところはありません。
むしろ地球学者(地震学者)でありながら、幅広い目線で日本の多くの問題点を厳しく指摘するその文章は読んでて心地よく感じるくらいです。
おそらく、大昔から日本にはびこる「不作為」。それはつまり、物事に対して消極的であること。事なかれ主義、責任の曖昧化、なんとなくぼやっとさせてやり過ごす姿勢。
国のトップから末端の我々に至るまで、心と体に染み付いた性根根性でもあることでしょう。
いわゆる曖昧な文化、ニッポンです。
ただ、それが我々にとって大きな損失であることをきちんと説明し、声をあげるよう励ましてくれています。
日本が世界から見られた時に、非常に生産性の低い国としてバカにされているという事実。それも根本的に改善できるはずが、これまでの風習や、「昔からそういうものだから」という考えでなんの変化もなく数十年も同じことを繰り返しているのです。
そういう意味でいうと、英語教育に対する著者の考えは目を見開かれました。
日本人は、高校まで就学する人であれば6年間、大学で2年学ぶとすれば8年間も英語を学びながら、英語を日常的に使いこなしている人は何割いるんでしょう。
それはもう、改善が重ねられながらも英語教育の方法自体が失敗であることは明らかです。
だが、失敗を認めようとしない人達がいる。
また、失敗か成功かを考えもしない私達がいる。
そうする中で日本は海外から取り残され、国際情勢や経済活動においても不利な立場に追い込まれるのです。
不作為はそれをなす人たちの非常に大きな問題点ですが、何よりも私達自身が政治や経済、社会に対して不作為であることが一番の問題であることを気付かせてくれる一冊でした。
一点、不満を言うのであれば、日本の問題点については耳が痛くなるほど教えてくれますが、その1つ1つに対して、他国との比較がより具体的に欲しいところでした。続きを読む投稿日:2019.04.21
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