ブラック・ハンド
スティーヴン トールティ(著)
,黒原 敏行(訳)
/早川書房
作品情報
極悪非道の犯罪結社“ブラック・ハンド”に、“イタリア系のシャーロック・ホームズ”と称えられた名刑事が立ちむかう。二〇世紀初頭アメリカ、アル・カポネ台頭以前のマフィアVS警察を描く迫真のノンフィクション。ディカプリオ主演でハリウッド映画化進行中
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商品情報
- 著者
- スティーヴン トールティ, 黒原 敏行
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- 早川書房
- 書籍発売日
- 2018.10.25
- Reader Store発売日
- 2018.10.31
- ファイルサイズ
- 3.8MB
- ページ数
- 368ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (2件のレビュー)
-
やっと読み終わり。イタリアマフィアが台頭するその前の予兆のお話と果敢にも立ち向かった警視のお話。ディカプリオが演じて映画化するそうです。映像の方が面白そうね。
追記: 前3分の1ぐらい、読んでいて気が…付くのは、信じられないぐらい粗野で、勝手に入ってきて勝手に商(あきな)いして勝手にネットワークや利権をを作っていく、、という意味では、日本における大陸諸国と同じだなと思った。イタリアには純然たる文化があるからね。あ、でも中国にも文化はあるか。良い人は良いんだけどなぁ。続きを読む投稿日:2019.03.04
このレビューはネタバレを含みます
【245冊目】19世紀末から1910年代にかけて、ニューヨーク市を中心に誘拐や爆破で米国を震撼させた「ブラック・ハンド」という犯罪結社と、それと戦うニューヨーク市警のペトロシーノ刑事の話。
レビューの続きを読む
色ん…な角度から興味深く読んだ。まずは、移民の話。ブラック・ハンドは主にイタリア系移民のならず者たちの集まりで、その餌食になるのもイタリア系移民。それと戦うペトロシーノは、イタリア系初のニューヨーク市警刑事。この頃のアメリカ社会のマジョリティは、イギリス系やオランダ系。そして、警察官や消防士といった下級公務員のマジョリティはアイルランド系であった。そうした社会状況の中、ブラック・ハンドの存在は、元々差別的な扱いを受けていたイタリア系移民の立場をますます追い込んでいった。そして、対峙するペトロシーノも、NYPD内での冷たい視線に抗いながら、刑事としての実績を積んでいく。
もう1つは、犯罪組織の形態論としての視点。これを学術的に学んだ人には分かるだろうが、おそらくブラック・ハンドはブランドであって、組織の実態を指す言葉ではない。本書の筆者が指摘するとおり、新聞というマスメディアを通じて多くの人がその存在を知り、また、何百人という逮捕者が出ても壊滅しなかったというならなおさらだ。その名やブランドに力があるという意味では、かつての「イスラム国」と似ているし、犯罪者がその名を求めてアドホックに集まるという意味ではピンク・パンサーにも似ている。
こうした角度から見るとき、本書の物足りなさはその結末にある。すなわち、なぜブラック・ハンドが衰退したか、ということだ。その原因を二度の世界大戦に求めることも可能だろうし、イタリア系移民の統合に求めることも出来るだろう。NYPDの強い取締りがなんらかの構造的な変化をもたらしたのかもしれない。いずれにせよ、本書がペトロシーノの伝記ではなく、「ブラック・ハンド」として出版されるのであれば、退潮の原因まで研究してほしかったところである。続きを読む投稿日:2019.03.17
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