NHK英雄たちの選択 江戸無血開城の深層
磯田道史(著)
,NHK「英雄たちの選択」制作班(著)
/NHK出版
作品情報
大河ドラマ『西郷どん』でも描かれる、江戸無血開城。西郷隆盛と勝海舟という傑出した人物のみでなく、徳川慶喜、皇女和宮、篤姫らの選択が歴史上の決断に結節した。歴史学・政治学・脳科学など各分野の専門家と共に、磯田道史が歴史のif に挑む!
※電子書籍版では一部掲載していない図版があります。
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商品情報
- シリーズ
- NHK英雄たちの選択 江戸無血開城の深層
- 著者
- 磯田道史, NHK「英雄たちの選択」制作班
- 出版社
- NHK出版
- 書籍発売日
- 2018.08.30
- Reader Store発売日
- 2018.09.14
- ファイルサイズ
- 39.1MB
- ページ数
- 216ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (9件のレビュー)
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「歴史にifはない」
そのifを考えることが本来の歴史ではないか?
とは文中の磯田先生の言葉。
TVでは、傑出した英雄達の人生の岐路において、そのifを専門家達が考察する番組。
様々な英雄達の人生、もしくは人生の一…場面をコンパクトに纏める手法も素晴らしいが、近年の新発見を基に考察し直す手法も傑出している。それがこの本ではさらに深く掘り下げ深みを増している。
更なる続刊を期待したい。
TVでは正直、杉浦アナウンサー眺めているだけでも楽しいが締めの磯田先生の言葉も毎回楽しみにしている。続きを読む投稿日:2019.11.15
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映画「武士の家計簿」(2010)を見た時、最後の方で官軍(この言い方もなんだが)の隊列が黒い三角帽子をかぶってピーヒャラいいながら進軍する場面があった。ずっと描かれてきたイメージ通りの描き方だった。図…書館に行くとこの本があったので読んでみた。
NHK「英雄たちの選択」4回分を「江戸無血開城の深層」としてまとめたもの。
<薩摩藩の四本柱>
薩摩藩は中央から遠く離れた九州の南端で独自の存在であり続けた。幕末の薩摩藩の主導の背景にはこの4本柱があった。
・アイデンティティ:源頼朝からじきじきに領地を保障する下文を貰って、薩摩・大隅・日向の守護となった、惟宗忠久を祖。島津荘を管理する下司職についたことから薩摩姓をなのり、島津荘の本家(大本の所有者)は公家の近衛家。
・軍事力(武力):関ケ原では西軍。家康に十分対抗して戦ったという自負。
・婚姻政策:ゆかりのある近衛家に接近し姫を送り込み婚姻関係を結んだ。
・外国の支援:なかなか貿易を開始しない政府にいらだつ外国勢に対し、生糸を持ち込み貿易をし、イギリスの支援をとりつけた。
・中央から遠く、何につけ学習、情報収集をしないと、物事を運べない、という頭がある。
<戦うべきか?退くべきか?徳川慶喜の決断>
・徳川幕府はいきなり薩長に倒されたのではなく、文久3年(1863)から慶応元年(1865)くらいまでの期間、京都に生まれた一会桑政権によって、江戸幕府は徐々に実権を吸収され、そのなかから生まれた将軍慶喜の京都幕府が成立し、その京都幕府政権を薩長討幕政府が壊すという、二段階を経て徳川幕府は崩壊した。
一橋慶喜:禁裏御守衛総督
会津松平容保:京都守護職
桑名藩主松平定敬(容保の弟):京都所司代
・大政奉還の真意:慶喜は幕府の政治の終わりではなく、新しい政治体制~「慶喜体制」を目論んでいた。大久保、西郷は徳川の排除を考えていたので、それを読み切った慶喜は大政奉還という挙に出た。
・王政復古のクーデターを慶喜は松平春嶽経由で事前に知った
・「御征討御差向猶予之儀ニ付徳川慶喜上書」江戸総攻撃を決めた新政府に対する慶喜の書簡、には何の罪もない江戸の庶民に苦しみを与えるのはやめて欲しい、「すべての罪はこの慶喜に」として、罰するのであれば、この私だけを罰して欲しい、とある。
<勝海舟の秘策、江戸無血開城への道>
西郷との対峙では、相手がそんなことをされたら困る、という要素をあらかじめ用意していた→江戸が焼けてしまえば新政府は徳川を滅ぼしたとしても、貴重な税収を失い機能不全になる。
・勝や西郷、山岡鉄舟は、禅や剣に接近しある種の虚無主義があったのではないか、江戸が焦土になってもしょうがない →そこをイギリスやフランスなど合理主義の西欧は、こういったニヒリズムを得体のしれないものとして恐れたのではないか、
<会津藩>
新政府は徳川家を廃絶にはしなかったが、自らの勝利を正当化し、政治体制の大きな変革があったことを国民各層に意識させるうえで、徳川の側についた勢力をどこかで目見見える形で叩いておかなければならなかった。最大の犠牲となったのが会津藩だった。
<女たちの江戸城無血開城、和宮と篤姫>
「鳥羽伏見の戦い」に敗れた慶喜は江戸に帰還するが、新政府への恭順を示し上野寛永寺で謹慎。当時の紀州藩士の日記によれば、当時男たちは誰も登城しなくなってしまい、江戸城には大奥の女性が残っているだけという状態となっていた。
<西郷隆盛の苦悩、なぜ西南戦争は勃発したのか>
・島津斉彬が西郷の行動の基本。
・明治4年(1871)一旦鹿児島にいたが再び明治政府に参加。廃藩置県などを実現。この年岩倉使節団が外遊(11月12日・陰暦)
・明治6年(1873)「留守政府」は深刻な外交問題に直面 →ロシアの南下政策で朝鮮がロシアの支配下に入る恐れがあったが、朝鮮王朝は鎖国をしており、明治政府は朝鮮との正式な国交を求めていたが、朝鮮は交渉を拒否していた。
・<征韓論>:西郷は自らが使節となって朝鮮と交渉を行う「遣韓論」で、武力で朝鮮を開国させようという「征韓論」は板垣退助ら。西郷は「遣韓論」を通すため板垣に手紙を書き、もし交渉に行って自分が殺されるようなことがあれば、兵を出すべきだ、と板垣に伝えていた。これが今日「征韓論」と呼ばれるようになっている。
・明治6年(1873)9月13日 岩倉使節団が帰国。大久保は西郷が朝鮮に介入すれば戦争は回避できないと考え、西郷派遣を一旦閣議決定するが、あとで岩倉が天皇に拝謁し西郷派遣を中止した。これに怒り西郷は下野。大久保は今は国内政策優先だと考えていた。
→岩倉、大久保らは外遊中に国家の決定権を留守政府に奪われてしまった、という意識。岩倉らの勢力回復運動の一環として、西郷の遣韓論を強引に不穏な征韓論と決めつけて、退ける作為が働いた。
→留守政府というのもおかしい。岩倉らが外遊に出て以後は正式な政府は西郷たち残留組。
→この西郷政権とでもいうべき時期には、勝海舟や榎本武明といった旧幕臣の登用も進み、非常に風通しもよかった。 →重要な政策も実行:陸軍・海軍省の設置、太陽暦の採用、徴兵令の布告、地租改正条例の布告、学制の発布など
・西南戦争が勃発した時、西郷は「しもた」と言ったそうですが、会津藩をあれだけやったのだから、西郷の自決、大久保の暗殺は、これこそ因果はめぐるという感じがします。
2018.8.30第一刷 図書館
・従来、幕政は天皇の委任を受けた幕府が決めてよい、という建前だったが、外国に国を開くのは、あまりに重要事項で、反対も多かったので、天皇の許し、すなわち勅許を求めよう、という話になった。続きを読む投稿日:2021.12.01
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