表象詩人~松本清張プレミアム・ミステリー~
松本清張(著)
/光文社文庫
作品情報
昭和初期の小倉。私鉄職員の“わたし”三輪は、陶器会社に勤める仲間、秋島、久間とともに詩を愛好していた。陶器会社の高級職員・深田の家に集まっては詩論を戦わせるが、3人とも都会的な雰囲気をまとう深田の妻・明子に憧れていた。だがある夏祭りの夜、明子は死体で発見される。事件は迷宮入りとなるが・・・・・・(表題作)。山中で発見された白骨の謎を追う「山の骨」も併載。
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商品情報
- 著者
- 松本清張
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社文庫
- 書籍発売日
- 2014.07.20
- Reader Store発売日
- 2018.08.24
- ファイルサイズ
- 2.1MB
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この作品のレビュー
平均 3.0 (2件のレビュー)
-
清張作品の典型的ともいえる物語展開(パターン)というかその特色のよくあらわれた収録作品の二篇(『山の骨』はたぶん既読)。悪く言えば自作のコピー作ともいえるもので、著作を多く読んでいるヒトならば『表象詩…人』の犯人像など(その動機についても)易く想像されるものだろう。続きを読む
投稿日:2018.03.02
「松本清張」の中編2作が収録された作品『表象詩人』を読みました。
「松本清張」作品を読むのは2年半振りくらいですね… 短篇ミステリ作品集『水の肌』以来です。
-----story---------…----
昭和初期の小倉。
私鉄職員の“わたし”「三輪」は、陶器会社に勤める仲間、「秋島」、「久間」とともに詩を愛好していた。
陶器会社の高級職員「深田」の家に集まっては詩論を戦わせるが、三人とも都会的な雰囲気をまとう「深田」の妻「明子」に憧れていた。
だがある夏祭りの夜、「明子」は死体で発見される。
事件は迷宮入りとなるが……(表題作)。
山中で発見された白骨の謎を追う『山の骨』も併載。
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「朝日新聞社」発行の週刊誌『週刊朝日』に『黒の図説』として発表されたシリーズの第11話と第12話にあたる作品、、、
『山の骨』は1972年(昭和47年)5月19日号~7月14日号に連載された作品、『表象詩人』は1972年(昭和47年)7月21日号~11月3日号に連載された作品です。
■山の骨
■表象詩人
■解説 山前譲
『山の骨』は、東京・武蔵五日市の西の奥、山深い西多摩郡檜原村で発見された女性の白骨が秘めた事件が明らかになる物語、、、
作中に「実際にあった事件」とあるので、モデルになった事件が実際にあったのかもしれませんね… 発見時、女性の身元は分からなかったが、2年後、別な場所で今度は男性の白骨が発見され、警察の丹念な捜査により、二つの事件の真相がリンクしていく展開が淡々とした語り口で綴られているのが印象的でした。
最後に犯人の上申書として語られる真実から、切ない感情が伝わってきましたね、、、
出来のいい息子、いい家庭の嫁にいっている娘… そして養子に出されヤクザ者となり犯罪を犯し極寒の網走刑務所で4年間の刑期を務めあげた息子、子どもへの愛情の注ぎ方って難しいですね、考えさせられた作品でした。
『表象詩人』は、「松本清張」自身の実体験がベースになった作品で、昭和初期の小倉を舞台に文学青年たちの交流や葛藤、嫉妬… そして、身近に起こった殺人事件を描いた物語、、、
時は昭和初期、小倉市で私鉄の駅員をしている私(「三輪」)は、同年配で陶器会社に勤め、詩作に耽っていた「秋島」、「久間」が文学仲間だった… そして、8歳ほど年上で陶器会社の高級社員である「深田」の家に集い、自作の詩を朗読したり、詩論を交したりしていた。
「深田」は蔵書家で陶器に関する専門書のみならず、哲学書や文学書も大きな書棚にたくさん並んでおり、私は豪華な装丁の文学全集や革製の洋書を羨んでいた… 「深田」の妻「明子」は生粋の江戸っ子で、その歯切れのいい東京弁が魅力的だった、、、
私は「明子」に憧憬に近いものをもっていたが、それは「秋島」や「久間」も同じではなかったか… 文学仲間の確執や男女関係の機微、やがて「深田夫婦」や「久間」、そして「秋島」との間に私には見えない危機が進んでいることを感じる。
そして事件は起こった… 盆踊りのあった夜、「明子」が何者かに殺害されたのだ! 盆踊りの会場から1kmばかり離れた人気のない草叢で手拭で首を絞められていたが、抵抗した跡も、悲鳴を聞いた者もいないことから、警察は顔見知りの犯行と推理し「深田家」に出入りしていた私と「久間」、「秋島」が容疑者として浮上する、、、
幸いにもアリバイの成立した私は推理を重ね、「久間」への疑念を深めるが、警察が犯人を逮捕することはなかった… そして、仲間は散り散りになるが、四十年余りが経ち、思わぬところで私は「秋島」の消息を知る。
小倉に立ち寄って往時を懐かしみ、「秋島」の招きで九州の山中の温泉へ… すっかり老いたふたりの話題は、やはりあの事件のことだった、、、
「秋島」は、私の知らない事実を語っていく… そして、そこから導き出された真犯人は!?
そうなんだろうなぁ… という真相でしたね、、、
想定内でしたが愉しめました… 私が誤った推理をして、読者にミスリードを促す展開になっているので、最後まで真相がはっきりせず、愉しめる展開になっていました。
「松本清張」作品って、読みだすと、続けて読みたくなる独特の魅力がありますよね… 次も「松本清張」作品を読みたいと思います。続きを読む投稿日:2023.04.08
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