大いなる謎 関ヶ原合戦
近衛龍春(著)
/PHP文庫
作品情報
慶長五(1600)年九月十五日、日本国内における史上最大の戦闘、関ヶ原合戦が行われた。動員された兵士数は実に15万人超、全国各地の大名が真っ二つに分かれ、まさに天下分け目の決戦となったこの戦いだが、豊臣政権崩壊の原因から戦後処理に至るまで、合戦の前後も含めて考えると多くの謎が残されたままである。なぜ家康は朝鮮に渡海しないですんだのか、なぜ家康暗殺計画は未遂におわったのか、なぜ上杉・直江は西に向かう家康の背後を突かなかったのか、なぜ秀吉の縁戚である小早川秀秋は裏切ったのか、なぜ敵中突破を図った島津家が本領を安堵されたのか・・・・・・。本書は通説では語られていない関ヶ原合戦の謎あれこれを新進気鋭の歴史作家が徹底分析。本戦前の家康の虚虚実実の駆け引きの真相から、本戦前後の局地戦にまつわる謎、さらには戦後処理の真相まで新史料をもとに謎を大胆に解き明かす。「関ヶ原合戦」の常識を覆す一冊。
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商品情報
- シリーズ
- 大いなる謎 関ヶ原合戦
- 著者
- 近衛龍春
- ジャンル
- 教養 - 戦記(ノンフィクション)
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文庫
- 書籍発売日
- 2005.11.01
- Reader Store発売日
- 2017.12.15
- ファイルサイズ
- 19.8MB
- ページ数
- 416ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
「天下分け目の戦い」と言われる関ヶ原の戦いには多くの謎が残されている。そもそも、なぜ豊臣家は崩壊へと向かったのか。なぜ家康は主力を2つに分けたのか。なぜ前田利長は合戦に参加しなかったのか・・・。その他…多くの謎を1つ1つ丁寧に説明してある一冊。続きを読む
投稿日:2007.04.19
織田信長の死後に重臣達が後継争いを始めたように、豊臣秀吉の死後も同じく、有力大名達の抗争が始まった。特徴的なのは、全国の大名が西軍と東軍に色分けされ、切り取り御免の戦乱が列島規模に広がったこと。速戦即…決で天下を手にした秀吉に対し、家康は慎重を旨とし、遅攻を得意としていた。その間に広がった戦乱を、筆者は丁寧に描いていく。
しかし、この争いは慶長5年9月15日に関ヶ原で西軍主力が敗れることで終結し、応仁の乱のように長引くことはなかった。戦力を広域に展開しつつ主力決戦により決着を図る。家康、三成の東西両将は近代戦に相応しい戦略眼と合理性を持ち、日本史上最大で最後の陸上会戦を展開した。
それにしても、家康は遅攻の人である。伏見城攻防戦から関ヶ原まで2ヶ月、小山評定からだと1ヶ月半。秀吉は天下取りに臨んで岡山から京都府山崎までの100キロを一両日で走破して明智光秀を脅かしたが、家康は東京から関ヶ原の400キロに1ヶ月以上かけている。速戦を挑むなら、伊勢や丹後の東軍が残っているうちに近畿に達することができたはず。その場合、西軍は伊吹山と鈴鹿峠を固めて一旦は持久戦に持ち込んだだろう。東北の上杉、北陸の前田と諸大名の複雑な動向を見ながら、西軍諸将にお手紙攻撃を続け、慎重に勝機を見定めていたということらしい。
一方の三成は関ヶ原を決戦の地に定めていたようだ。1~2キロの幅しかない山間の盆地に、理想的な鶴翼陣形で野戦築城し、東軍を待ち構えていた。東軍の後背には毛利勢の諸軍を配し、陣形からいえば、多くの戦史家が指摘するように、西軍の完勝といえる状況を創り出した。
歴史にifはない。しかしさまざまなifを考えたくなるほど、両将の戦略は手が込んでいて、日本列島を将棋盤に見立てたように押したり引いたりの戦いを繰り広げた。15年後の大阪の陣まで含めて、結局は家康の老獪さというか、熟柿を待つ周到さが勝っていたことは、歴史が示す通りなのだけれど。続きを読む投稿日:2015.07.05
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