ポストキャピタリズム―資本主義以後の世界
ポール・メイソン(著)
,佐々とも(訳)
/東洋経済新報社
作品情報
英国のトップジャーナリストによるベストセラー、待望の邦訳。
人類史上初のチャンスをもたらす「プロジェクト・ゼロ」=資本主義以後の世界を探る。
【本書への賛辞】
たとえ、あなたが現在の資本主義システムを愛しているとしても、本書を無視するのは間違っている。
本書の主張は、右派と左派も分け隔てなく幅広い読者層を得るだろう。
――ジリアン・テット(ジャーナリスト・元フィナンシャル・タイムズ アメリカ版編集長)
これまでとは違う真の選択肢を導き出す独創的、魅力的、刺激的かつ活気ある明確なビジョンである。
――ナオミ・クライン(ジャーナリスト、『ショック・ドクトリン』著者)
ポストモダニズムなど、さまざまな『ポスト○○論』の流行が去った後、
メイソンは、唯一本物のポスト論である『ポスト資本主義』と恐れることなく向き合った。
――スラヴォイ・ジジェク(哲学者、精神分析家)
【「プロジェクト・ゼロ」=資本主義以後の世界とは?】
●機械や製品の製造コストはゼロ、労働時間も限りなくゼロに
●生活必需品や公共サービスも無料に
●民営化をやめ、国有化へ。公共インフラを低コストで提供し、単なる賃金上昇よりも公平な財の再分配へ
●ベーシック・インカムで、劣悪な仕事は姿を消す
●並行通貨や時間銀行、協同組合、自己管理型のオンライン空間などが出現
●経済活動に信用貸しや貨幣そのものが占める役割がずっと小さくなる etc
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この作品のレビュー
平均 2.9 (9件のレビュー)
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私が社会人になった年である、1989年(平成元年)に、その5年前までは崩壊など信じられなかった(少なくとも当時の私は)ソ連が崩壊して、資本主義が共産主義に勝利したと当時思われましたが、あれから30年経…過して、国同士および国内においても経済格差は大きくなり、多くの場所で不満が溜まっているのは周知の通りです。
私が小学・中学生の頃に流行った、ノストラダムスの予言書の本には、共産主義は最初に崩壊するが、資本主義も崩壊せねばならない(このとき初めて、mustの用法を実感したと思います)というフレーズが、ずっと頭の片隅にあります。そんな私にとって、資本主義は今後どうなっていくのかは興味があり、この本も含めて類書を何冊か読んでいます。
この本は分厚い本ですが、大半は将来の予測よりも、資本主義はどのように発展してきたかの歴史について解説されています。結論としては、現在偏在している(1%の富裕者)の富を、如何に上手に分配するかにかかっているようですね、政府が主導しようとすると、共産主義の失敗があるので、エゴの無い(と思われる)人工知能に任せるのが良いのかもしれませんが、この本には、人工知能に関する記述は無かったと記憶しています。
人間が欲を出さなければ最低限の生活を送ることができる「ベーシックインカム」を提供するのがベストのようですが、そのやり方は今後議論が必要になっていくのでしょうね。
以下は気になったポイントです。
・ポスト資本主義は実現可能、この25年間に新しいテクノロジーによる3つの影響があったから、1)情報技術が、労働の必要性を減らし、労働と自由時間との境目をあいまいにし、労働と賃金との関係を緩めた、2)情報財が、価格を正確に設定する市場の能力を弱めつつある、商品の希少性を基にして価格を決めるが、情報は潤沢にある、3)協働生産が自然発生的に増加している、財やサービスや組織は、明らかに市場は経営階層組織の命令に反応しなくなった(p11)
・リーマン破綻後、次世代は現世代よりも貧しくなる、古い経済モデルは壊れ、経済の脆弱性が回復しなければ経済成長も回復できないことがわかった(p36)
・バークレーズの社員は、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を不正操作していたことを、内々で知っていたことがわかった(p38)
・新自由主義を始めは繁栄できたが、やがて崩壊が始まる4つの事柄とは、1)不換紙幣(債務で生活するようになる)、2)金融化(労働者の所得停滞を信用が補う)、3)主要国の債務と通貨準備金に孕むリスク、4)情報技術である、不換紙幣の安定化・金融化からの後退・不均衡の終結が資本主義の崩壊を免れる唯一の道である(p43、71)
・テキサス政府(1837年にテキサス共和国はメキシコから独立して紙幣を発行)は、テキサス紙幣が市民に受け入れられなかったので、その紙幣での税金の支払いを拒んだ、そして人々はテキサスと米国との併合を要求するようになった、1845年に併合が実現して、テキサスドルの価値は回復した。1850年に米国はテキサス州が抱えていた1000万ドルの債務を帳消しにした(p44)
・過去500年にわたり、巨大金融帝国は不平等な取引、奴隷制度、高利貸しによって利益を出していた、新自由主義の下では、米国は国民を貧乏にすることで、利益を増やした(p60)
・産業資本主義は、第一から第四の長期循環を経て、第五の波の開始を行き詰らせている。1)1790-1848、2)1848-90年代半ば、3)1890年代~1945、4)1940年代終わり~2008、5)1990年代の終わりに第五の循環の要素が現れた(p104)
・世界の所得分布において、上位1%の富裕層の所得が60%上昇している、そこと発展途上国の人々の間に位置する人々(欧米の労働者、下位中産階級)は、U字形に窪んでいて、所得が増加していない、減少している層もある(p185)
・200年もの間、経済分析の根本的カテゴリーは、土地・労働・資本であったが、今では、人・アイデア・もの、によって取って代わられた(p210)
・ネットワークが、市場も経営階層も利用せず、分散と協働という方法による生産を可能にしたのが、ウィキペディア。組織や権力に管理されない、水平に分散されたピアプロダクションのネットワークが、完全に無料あるいは、オープンソースで生産した商品は商品価値が非常に限られている(p224、246)
・労働の価値を決めるのは、ほかの人間の労働である(p260)
・製品のコストがゼロで所有権が弱いという性質をもつ情報基盤の経済は、資本主義経済であるはずがない、私達が達成しようとしているのは、無料の機械・価格ゼロの財・最低限の必要労働時間、である(p298)
・資本主義が出現した原因は、1)ペストによる人口の減少、2)銀行事業の成長、3)1503年から始まったアメリカ大陸の征服と略奪、4)印刷機の登場(p391)
・資本主義を徐々に弱らせているのは、情報である。(p394)
・中国は、2009年に発電容量において、再生可能エネルギーが、化石燃料を上回った(p406)
・現在から2050年までに予測される人口増加の半分が、8か国で起きる、そのうち6か国は佐原以南のアフリカになる(p418)
・市場部門が協働生産によって取って代わられようとしているために、人々は貨幣を見放しつつある(p459)
2018年3月18日作成続きを読む投稿日:2018.03.18
一応読破しましたが、最初から最後までほとんど感銘を受けませんでした。感情的な批判にならないよう、どこに問題を感じたかを記載します。
第一に、他の方も指摘しているように翻訳の質の低さ。第1部はまだ読みや…すかったですが、第2部の6章くらいから最後までの翻訳の質は正直言って低いです。原文を想像しながら、ここはこういうことを言ってるのじゃないか?と考えながら読みました。典型的な例を示します。1つの文章でA、B、Cという順番に節が並んでいるとします。そのときに、節の順番をB、A、Cの順番にしたらもっと日本語が分かりやすくなるのに、というケースが多々ありました。主語と述語が離れすぎていて、間に形容句が長々と入っているような文章ですね。これは翻訳の基礎だと思います。またマルクスの資本論や各種経済理論などの用語について、間違ってはいないかもしれないが微妙に変だと感じる箇所が無数にありました。意味は分からないでもないが、日本語ではそうは言わないだろう、という専門用語ですね。
第二に、これは本質的ですが著者のロジックに賛同できない箇所が多々ありました。また彼の提唱するプロジェクト・ゼロの姿が最後までよくわかりません。最後の章で、各種サービスの国有化、また中央集権的な意思決定の必要性を述べながら、同時に階層からネットワークへの移行も述べていて、どうすればこれらが両立するのかが理解できませんでした。また全般を通じてですが、彼の主張をサポートするようなデータなり図表なりがほとんどないため、正直信憑性に欠ける本だという印象を一貫して持ちました。
この著者のように資本主義が感情的に大嫌いという人間の本は、資本主義を消滅させることばかり書いていて正直気が滅入ります。資本主義が問題だらけなのは同意しますが、本書の説得力があったかというとNOと言わざるを得ません。逆に言えば資本主義が嫌いな方は、こういう本を読んで溜飲を下げるのかなという気はしましたが、この質では新たな「同士」は生まれないと思います。続きを読む投稿日:2023.04.30
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