いちばんやさしいブロックチェーンの教本 人気講師が教えるビットコインを支える仕組み
杉井靖典(著)
/「いちばんやさしい教本」シリーズ
作品情報
「ブロックチェーン」について、よく目にするもののきちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか。本書はブロックチェーンの実装案件で国内トップレベルの実績を持つカレンシーポート株式会社の杉井靖典氏が、ブロックチェーンの仕組みや成り立ちを一から丁寧に解説しています。ブロックチェーンを支える「暗号技術」や「分散ネットワーク」、価値の保持者を特定する「ウォレット」、取引を記録する「トランザクション」、契約執行を可能にする「スマートコントラクト」など、難しい概念や機能を、平易な言葉と豊富な図版で解説しています。これからブロックチェーンを学びたい人が最初に読むのに最適です。
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商品情報
- 著者
- 杉井靖典
- ジャンル
- コンピュータ・情報 - IT・Eビジネス・資格・読み物
- 出版社
- インプレス
- 掲載誌・レーベル
- 「いちばんやさしい教本」シリーズ
- 書籍発売日
- 2017.09.01
- Reader Store発売日
- 2017.09.08
- ファイルサイズ
- 19.2MB
- ページ数
- 224ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.4 (11件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
この辺りのことについて図とともに解説されていた。
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## 分散システム
「ノード」と呼ばれるコンピューターをたくさん用意して、それぞれネットワークで接続し、すべてのノードが同じ情報を互いにコピーして共有しあうことで全体のシステムを稼働させるのです。そうしておけば、1つや2つのノードが故障したところで大丈夫というわけです。 このような発想にもとづいて作られたシステムを一般に「分散システム」と呼びます。
## 自律分散システム
それぞれのノードが勝手な判断で(自律的に)仕事をしつつ、全体として1つの目的を果たすブロックチェーンのようなシステムを、特に「自律分散システム」と呼びます
## ウォレットアドレス
- 暗号の鍵をもとに導出されたアドレス(識別子)のことをウォレットアドレスと呼ぶ
- ウォレットアドレスは情報を記録するための器としてではなく、権利を行使するための鍵になっています
- 取引の記録されているお金を自由にほかのウォレットアドレス宛に動かせる(送金できる)のは、送金の宛先に指定されたウォレットアドレスに対応している秘密鍵を持っている利用者のみ。
- 「手元で勝手にウォレットアドレスが作れてしまう」ということは、「そのウォレットアドレスが自分の個人情報とはいっさいリンクしない」 ということを意味します。 ここ が銀行口座とは決定的に違う点で、「仮想通貨は匿名性が高い」といわれる理由です
- ウォレットアドレスとひとことでいっても、それもまた「秘密鍵のウォレットアドレス」 なのか「公開鍵のウォレットアドレス」 なのかという違いがあります。
- 私たちが仮想通貨の取引などで一番よく目にするのが「公開鍵のウォレットアドレス」です。これは「お金を受け取るためのアドレス」、見方を変えれば「お金の送り先のアドレス」ということになります。
## トランザクション
- ブロックチェーンの世界では、ウォレットアドレス間の取引を「トランザクション」と呼びます
- ブロックチェーンには「トランザクションの履歴」がひたすら記録されています
## パブリックチェーンとプライベートチェーン
- パブリックチェーンとプライベートチェーンの違いは、「ネットワークに参加しているノードの総数が把握できるかどうか」
## パブリックチェーン
- パブリックチェーンは、「誰でも好きなようにノードを立てて勝手にネットワークに参加していい」
- パブリックチェーン側では現時点で経済インセンティブ(合意手数料)が不必要な合意システムがまだ発見されていない
## プライベートチェーン
- プライベートチェーンは、「ネットワークの参加者が限られている(たとえば参加には承認が必要)」という状態
- プライベートチェーンでは、通常、多数決型の合意が採られるため、パブリックチェーンとは異なり、 ノードの運用者にインセンティブを与える必要がないため、トランザクション手数料も必要ありません
- プライベートチェーンは、受益者が自ら必要なノードを立てて自力で管理していく必要があるため、場合によっては、加入も離脱も自由なパブリックチェーンよりもコストが高くなってしまうこともあり得る
## ジェネシスブロック
最初に作られたブロックのブロックの番号は「0」です。このブロックは特別に Genesis Block(ジェネシスブロック) と呼ばれています。
ブロックチェーン技術では「楕円曲線暗号」(ECDSA)という公開鍵暗号技術がよく使われています。
## ビサンチン将軍問題
多数決を取る際、反逆者がいた場合にどんな対策を講じればいいかを問う問題
## ビサンチン・フォールト・トレランスアルゴリズム
「正しい決断をしたものが、結果として経済的な利益を得る」という仕組みでの合意形成方法を「ビサンチン・フォールト・トレランスアルゴリズム」と呼ぶ
## Proof of Work(=マイニング)
- トランザクション プールに蓄積されている取引データを何十,何百と取り出しながら前のブロックのハッシュ値と、タイムスタンプとを「ブロック」に詰め、さらに「ノンス」と呼ばれる適当な数を入れながら、そのブロックのハッシュ値の先頭に所定の数だけ「0」が並ぶのを発見するまで、ひたすら計算をします。
- 「ノンス」の発見競争を「Proof of Work」といい、めでたく所定数の「0」の並びを発見したノードは「コインの新規発行」が認められる という仕組みになっています。
- これがあたかも、鉱山を採掘してコインを掘り当てたかのようにも見えるため、別名「マイニング」とも呼ばれています。
## Proof of Stake
- Proof of Workは大量のコンピューティングリソースとそれを駆動させるために無駄に電力消費を要するため、エコロジーではないという大きな問題があります。
- この問題を解決しようとした分散型合意形成アルゴリズムが Proof of Stakeです。
- 「コインエイジ」が大きくなる採掘権を提供するものほど、採掘にかかる難易度が低くなる ように調整されています。そのため一般にProof of Workを行う仮想通貨(コイン)のブロックチェーンよりも、エネルギー消費量は少なくて済み、かつ、短時間で採掘が完了するのが特徴です。
- コインエイジ = コインの保有量 × コインの保有期間
## ホットウォレットとコールドウォレット
- ウォレットは、「ホットウォレット」と「コールドウォレット」の2種類に分類できます。
- 正確にはウォレット(アプリケーション)ではなく、アドレスの分類なので、「ホットウォレットアドレス」「コールドウォレットアドレス」と呼ぶのが正しいのでしょう。
- 利用者が常用するため インターネットに接続された端末で運用されるウォレットのアドレスを「ホットウォレット」 と呼びます。
- 普段は ネットから切り離された環境に置かれた端末で運用されているウォレットのアドレスを「コールドウォレット」 と呼びます。
## マルチシグネチャアドレス
「送金する際に複数の署名を必要とするアドレス」 というものが存在します。それが「マルチシグネチャアドレス」(Multisignature Address)と呼ばれるものです。
## ゼロ・コンファメーション
実際のビジネスの現場では、トランザクションが送信された時点で(まだトランザクションプールに入っている状態であり、まだブロックチェーンに記録されていないことを承知のうえで)見切り発車で現場の承認手続きをしてしまう運用がしばしばとられることがあります。
これを「ゼロ・コンファメーション」(0-comfirmation) と呼びます。
## スマートコントラクト
- 複数の人が合意した内容(契約)を、人がいないところでも自動的に実行する仕組みを、ニック・スザボは「スマートコントラクト」と呼んでいます。
- ブロックチェーンの世界では「契約成立のために必要な条件が記された取引内容が、ブロックチェーン上に改ざん困難な状態で記録されており、そこに書かれた条件が満たされると、自動的に成立するトランザクション」 のことをスマートコントラクトと考えています。
- スマートコントラクトは、一種のプログラムとして表現されています。 基本的には、「○○という条件が満たされたときに××が起こる」という条件が書き連ねてある イメージです。
## ワールドステート
- スマートコントラクトにおける合意結果は、ワールドステートと呼ばれます。
- ワールドステートとはつまり、ブロックチェーン上で動くすべてのスマートコントラクトから参照可能なグローバル変数(どこからでも参照できる変数)のようなものと捉えればわかりやすいでしょう。
## DAO,DAC
- スマートコントラクトを利用した組織あるいは企業の概念として「DAO」または「DAC」というものが提唱されています。
- 「DAO」(Decentralized Autonomous Organization)は自律分散型組織、「DAC」(Decentralized Autonomous Company)は、非中央集権型自律分散型企業といった日本語になるでしょうか。つまり、 管理者不在のコンピューターが支配する社会です
## オラクル
- ブロックチェーンでスマートコントラクトを扱うときに、「ネットワーク外部に存在する第三の情報ソースはすべて信用できない」という立場に固執すると、本当になにもできなくなってしまいます。
- そこで「オラクル」 という考え方が登場しました(データベース製品で有名なオラクル社とは関係ありません)。
- オラクル(Oracle)を直訳すると「神託」になります。
- 要するに、「外部からブロックチェーンに取り込んだ情報は、ワールドステート(世界の状態)として、神のおつげ(神託)のようにみんなで信じることにしましょう」 という意味です投稿日:2020.02.23
ブロックチェーン初心者でもわかりやすい説明が多かった。
ブロックチェーンの概要に始まり、ブロックチェーンと一緒に語られることが多いビットコイン、ブロックチェーンを支える技術(公開鍵と秘密鍵、ハッシュ関…数、分散コンピューティングなど)の概要、スマートコントラクト、などなど、初心者がとっかかりやすいよう図を交えて説明してくれている。
ブロックチェーンが作り出す未来はサッと触れる程度なので、まず初めの一冊に読むのが良さそう。続きを読む投稿日:2024.02.27
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