コズミック 世紀末探偵神話
清涼院流水(著)
/講談社ノベルス
作品情報
本格ミステリ史上、最もバッシングを受けた鬼才のデビュー作。メフィスト賞の性格を決定づけ、後の作家に絶大な影響を与えた超問題作。1200の密室で1200人が殺されるという、密室卿を名乗る正体不明の人物からの犯罪予告が届く。1200年間、誰にも解けなかった密室の秘密を知ると豪語する密室卿の正体とは何か。JDC(日本探偵倶楽部)きっての天才にして、名探偵をも超越したメタ探偵・九十九十九が挑む!
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商品情報
- シリーズ
- コズミック 世紀末探偵神話
- 著者
- 清涼院流水
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社ノベルス
- 書籍発売日
- 1996.09.05
- Reader Store発売日
- 2017.01.20
- ファイルサイズ
- 3.4MB
- ページ数
- 710ページ
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この作品のレビュー
平均 3.2 (50件のレビュー)
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三国志のごとく、面白いキャラクター小説
この小説はミステリーではありません。
いわゆる謎解きを楽しむ本格ミステリーではありません。ホームズのような名探偵の活躍を楽しむ名探偵小説なのです。探偵と殺人事件という構成要素のため、ミステリーに…分類されていますが、どちらかと言うとファンタジーや大河ロマンものに近い物語です。
この本が壁本と呼ばれるのは、本格ミステリーとしては最低だからです。
おそらくほとんどのミステリー愛好家は最初の事件の話を読んだ時に、真っ先にトリックに気づきます。だけど、まさかこんな簡単なトリックのはずがない、きっと自分では想像もつかないすごい真相があるのだろう、と期待して読み進めて行きます。
とてもキャラクターが魅力的で、かなり面白い小説だから、これ程の長い物語も一気に読めてしまいます。
そして、最後の真相にたどりつきます。そこでミステリー愛好家は思うのです。「最初の想像通りの一番つまらないトリックじゃないか!」と。「真犯人の正体なんてただの言葉遊びじゃないか!」と。そして、怒りにまかせて本を壁にたたきつけてしまう。
しかし、それは途中の物語の面白さの反動なのです。
この小説は三国志などと同じ楽しみ方をする物語なのです。ほとんどの読者は物語を読むまでもなく、最終的には曹操が劉備、孫権に勝つ、と歴史として知っています。しかし、それでも最後には負けると知っていても、劉備、関羽、張飛の活躍を楽しみに読むのです。諸葛亮孔明の智謀をもってしても蜀の衰退は免れません。それでもやはり諸葛亮孔明は最高の軍師なのです。最後に倒されるとしても呂布は最強の戦士なのです。
それと同じように、この小説は名探偵たちの活躍を楽しめば良いのです。落ちのトリックがどうこう言うのは無粋なのです。
大河の流れのごとき大事件の中で現れ消えていく人物たちの活躍を楽しむのです。
それをして、作者の言う「大説」≒大河小説ということだと、私は思います。
さぁ、最後まで読んで落ちを知ったあなた、もう一度この物語を読んでください。魅力的な名探偵たちの活躍は、何度読んでも面白いと思いますよ。そして最初に読んだ時には気づかなかった作者の仕掛けた色んなものを発見することができると思います。続きを読む投稿日:2020.12.13
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このレビューはネタバレを含みます
「1200の密室で、1200人が殺される」という導入から、律儀にそれを守ろうとするかのように次々と各所で起きた殺人事件のあらましが描写されていく。
レビューの続きを読む
正直読み始めて3個目の事件に来たあたりで、このまま…これがずっと続くのだとしたらきついなーと思っていたのだが、JDC(日本探偵俱楽部)および探偵神・九十九十九が登場したあたりから話がドライブしはじめ、読みやすさやテンポの良さから最後まで駆け抜けることができた。
たぶん全部読み終えたら「時間返せ!」って怒り出す人もいれば、「すごい怪作を読んだ!」と大喜びする人もいると思う。それくらい通常のミステリとはかけ離れた展開、トリック、犯人、名探偵が登場していくし、最初から最後まで言葉遊びが多用されるので、会わない人はきついだろうなと感じる。
個人的には上下2段組にするほど濃い内容には感じなかったことと、話のぶっとび具合に対して語り口の古臭さが気になったこと、合間合間で事後報告みたいな形で挟まれる「~番目の被害者」という殺人事件の概要が途中から冗談にしか感じられず、緊張感が途切れてしまったこと、ここら辺がもっと上手くやれたんじゃないかな、とは思った。
でも個性豊かで推理能力に長けた名探偵たちがたくさん登場するのは面白かったし、誇大妄想みたいな事件の全体像と真犯人、それを大真面目に書いている(ように見える)作品のバカっぽい雰囲気。そして700ページにわたりそれを持続させたエネルギー。そういう部分はすごく好きだった。
壮大な与太話として読む分にはいい塩梅の娯楽小説。真面目なミステリを期待するとがっかりを通り越して壁にぶん投げたくなる作品。奇書としてみるなら最高点を付けたくなる、そんな本。続きを読む投稿日:2024.01.14
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