ドイツ史10講
坂井榮八郎(著)
/岩波新書
この作品のレビュー
平均 4.0 (28件のレビュー)
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▼ハンナ・アーレントさんの「エルサレムのアイヒマン」を読もうと思い。準備体操にドイツ史の本を何か読もう・・・と手に取った1冊。期待に違わずかなりドイツな気分にさせていただけました。ありがたい。
▼「…ドイツ史10講」坂井榮八郎。岩波新書、2003年。坂井さんという方は、1935年生まれの歴史学者さんだそうです。無論、一般向けの分かりやすい歴史書、というコンセプト。印象に残ったのは、ルターとナポレオンでした。
▼ルター=宗教改革については、とにかくルター自身の腐敗したカトリック教会への勇気ある反論活動。それに教義などとはあまり関係なく、さまざまな思惑が絡んで、プロテスタントが成立した、という雰囲気が(なんとなく)わかりました。全部がルター個人がやった訳では無くて、政治経済的にカトリックの一極独裁体制に、多くの国、州が嫌気が差してきていたから。さらに同時期にさまざまな相関関係でスイスでもカトリック否定の過激運動が勃発して、それがカルヴァン派、ユグノー、長老派、ピューリタンになっていく。知らなんだ。さらに、そんな新教の動きへの反発でカトリック内で起こった自浄運動が、イエズス会で、ザビエルさん。そこから日本にキリスト教がやってくる。うーん。世界は連動しています。
▼それからナポレオン。ドイツ史なんだけど。この本を読んでいて正直、中世までは、それなりにはオモシロかったけど、どうしても耳慣れない固有名詞と勢力分布の移り変わりが激しすぎて、もやっとしています。ところがそれが、ナポレオンですっきり。つまり、坂井さんも潔く書いていますが、「ナポレオンが全欧州を席巻してしまう。そこで、ぶっちゃけ全て一度、ご破算になってしまいます。全部、短期間でもナポレオン趣味にされてしまう。つまりフランス革命的な共和制を輸出、植え付けてしまう。その後リバウンドがあって、ナポレオンは失脚、王政帝政が戻ってくるんだけど、もはや共和制的な萌芽は揺るがない。統一国民国家、共和制民主制の緩やかな受け入れの方向になっていく」ということです。ナポレオン、やっぱり大物です。
▼かなり間違っているかもですが、中世に栄えしドイツ=オーストリア、神聖ローマ帝国。ですが結局、栄華のゆえに新興国に植民地競争で大いに遅れをとり、ドイツは諸州諸侯の乱立闘争。さらにイギリス&フランスに18世紀~19世紀の植民地経営で出遅れ。結局、植民地経営=グローバル貿易、資本主義、合理主義=平民ブルジョワジーの台頭=共和制民主主義という流れに乗り遅れた。合理的に運営できる規模、すなわちオーストリアを切り離した小ドイツでの中央集権国民国家の成立、そして後発が故の軍事国家へ、鉄血宰相ビスマルクで謳歌した帝政末期の強国時代も、第1次世界大戦でオーストリアと共倒れ。ヴェルサイユ条約体制の経済苦境に、世界恐慌のダブルパンチでヒトラーの台頭・・・。
▼そう考えると、冷戦終結~グローバル化のリバウンドとしての民族主義の再台頭から、コロナショックのダブル経済打撃が、更なるヒトラーの台頭を呼ばないことを祈りたくなってきますが、それは2度の敗戦と冷戦に蹂躙された20世紀を過ごしたドイツよりも、20世紀を勝ち抜いてしまった海の向こうの大国の方が心配ですね。トランプ大統領、どうなることやら・・・。
▼さて、アーレントに上陸します。
続きを読む投稿日:2020.05.17
英仏は国家統一を進め、教会所領に国王が課税権を持った。ローマ教皇は英仏に手を出せない。一方、神聖ローマは世俗領邦は半独立、国内の教会も半独立。国内がばらばらで介入がしやすいため、ローマ教皇はドイツの教…会を通じて金を吸い上げていた。ドイツは「ローマの雌牛めうし」。教皇レオ10は、サン=ピエトロ大聖堂の修繕費を賄うため、ドイツ人に贖宥状を売って金を儲けた。いい加減にしろ、ということでルターの95か条(1517)。
大衆動員をしたナチス。大衆民主主義の苦い経験。西ドイツは徹底した議会中心の間接民主にした。ワイマール時代に小党が乱立して政権不安に陥ったので、得票率が5%未満の政党に議席を与えないことにした。
ヴィリー・ブラント(西ドイツ首相1969-1974)。ドイツ社会民主党(SPD)。オーデル川・ナイセ川より東をポーランドの領土と認める(1970)。ノーベル平和賞(1971)。東ドイツを主権国家として承認(1972)。しかし、秘書ギュンター・ギヨームが東ドイツのスパイだと判明、辞任(1974)。社会主義インターナショナル議長(1976-1992)。
※神聖ローマ。現ドイツ、現イタリアの北側、ブルグント(仏の南東)などを含む。当時「ドイツ人」という意識はない。
※聖職者の任命権は教皇にある。英仏(1107)。独ヴォルムス(1122)。
※シュタウフェン家フリードリヒ2。ナポリ大学設立(1224)。続きを読む投稿日:2023.06.03
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