ライトノベル
しにがみのバラッド。
シリーズ内の平均評価:
(171)
完結
目を覚ますと、少女は死神でした。少女は、死神でありながら、その真っ白な容姿ゆえに仲間から「変わり者」と呼ばれていました。しかし、少女の持つ巨大な鈍色の鎌は、まさしく死の番人のものです。少女の使命は人間の命を運ぶこと。死を司る黒き使者である少女は、仕え魔のダニエルと共に、人の魂を奪いにいくのです。死を司る少女は、様々な人と出会い、そして別れていきます。哀しくてやさしいお話。
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目を覚ますと、少女は死神でした。少女は、死神でありながら、その真っ白な容姿ゆえに仲間から「変わり者」と呼ばれていました。しかし、少女の持つ巨大な鈍色の鎌は、まさしく死の番人のものです。少女の使命は人間の命を運ぶこと。死を司る黒き使者である少女は、仕え魔のダニエルと共に、人の魂を奪いにいくのです。死を司る少女は、様々な人と出会い、そして別れていきます。哀しくてやさしいお話。
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ある日、ひとりの少女が目を覚ましました。その少女は、人間ではありませんでした。手には、鈍色に光る鎌を持っていました。傍らには、奇妙な黒猫がいました。少女は――「死神」でした。そして、死を司る少女には、他の仲間と違うところがありました。その姿が、雪のように真っ白なこと。その心が、春のようにやさしいこと。これは、白い死神の、哀しくてやさしい物語です。
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少女は届けます。人から人に、届けます。哀しい「気持ち」を。やさしい「想い」を。少しだけでもいい。前に向かって歩いていきますように。やわらかな想いで、世界が満ちますように。願いが、伝わりますように。そして、真っ白な雪のような姿の死神は舞うのです。人々の想いをのせて――。これは、白い死神の哀しくてやさしい物語です。
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白い死神は尋ねます。キミは何処に行くの? キミは誰に逢いに行くの? キミは何処まで歩いて行くの? キミは何処まで、飛んでいけるの・・・・・・? 人と死神の不思議なふれあい。それは、前ばかりじゃなく後ろを振り返る勇気と、あと一歩踏み出す心の強さを、ほんのすこしだけ与えてくれるのです。白い死神は尋ねます。――キミは何処に行くの? 聴こえますか? これは、白い死神からの哀しくてやさしい唄。
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永久の花よ、来たれ――。「――――?」名前を呼ばれた気がして、白い少女は振り返りました。しかし、そこに求める姿はありませんでした。そこにはただ空があり、何処からか風に飛ばされてやってきた淡い白い花びらが一枚、目の前を通り過ぎるだけでした。少女は大きな瞳でその花びらの行方を追います。風に舞って、ゆらりゆらり宙をたゆたう。風に乗って、ふわりふわり遠くまで。名前を呼ばれた気がしたのです。少女を、よく知る声が――。これは、白い死神の哀しくてやさしい物語。
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――来たれ、白き花よ。永久に枯れぬ花よ。それはまるで、真っ白い花のよう――。白い少女が振り返ると其処は、灰色の街でした。迷い人の園。虚無と現実の果て。少女を呼ぶ声。白い花を呼ぶ音。――来たれ、白き花よ。永久に枯れぬ花よ。――見付けておくれ。――この、散りゆく花の音を。そして白い少女は扉を開き、枯れ逝く花の声を聴いたのです。これは、白い死神と黒猫の哀しくてやさしい物語。
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何処かで鈴の音が聴こえて、ふわりと咲く風になりました。風は真っ白い花をたずさえて、空に浮かびます。真っ白な花だと思われていたそれは、真っ白な少女でした。少女で、そして――死神でした。そのまわりを、黒猫が、ぱたぱたとコウモリのような羽根で飛んでいました。少女はやさしく微笑み、黒猫をそっと抱えて、ラララ、と唄いはじめました。――空には、雨あがりの虹が架かっていました。これは、白い死神と黒猫の、哀しくてやさしい物語。
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まるで、“光”と“影”のような二人の少女。その白と黒の死神に仕える黒猫たち。彼らの想いは、通じ合っているはずなのに、すれ違ったままでした。彼らの主人である少女たちも、外見はうり二つでしたが、心はすれ違い続けました。あるとき。灰色の街に住む白い花は、枯れ逝くまえに、ことばを届けます。“光”と“影”へ。けっして交わるはずのないふたりへ。そして、黒猫たちは・・・・・・。――これは、白い死神と黒猫の哀しくてやさしい物語。
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真っ白な少女は、空にたゆたっていました。そこは、不思議なくじらが舞う世界。忘れものの森。電波塔の上。海が近い街のどこか・・・・・・。傍らには真っ黒な猫の姿をした仕え魔がいました。少女は、死神でした。それは、ひとびとの命を運ぶ存在。真っ白な少女は、ひとびとと関わり、交わり、そして変えていくのです。これは、白い死神と黒猫の、哀しくてやさしい物語。
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行ってくるね。真っ白な少女は、精一杯に笑った。仕え魔のダニエルは哀しそうに、行ってらっしゃい。と応えた。白い少女の向かう先は、光が塗り替えた世界。そこは、何も無い世界。少女は、透明な空に、透けるように少しずつ消えていく。そうして、ここから、離れていった。――少女を待っていたのは、赫い血の色の空。鈍色に光るのは、その空に浮かぶ存在が手にした巨大な鎌。その少女は、死神だった。真っ黒の。そして、はじまる。はじまりの終わり。終わりのはじまり。これは、白い死神と黒猫の哀しくてやさしい物語。
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真っ白い花びらが、風にたゆたって、泳いでいる。そんな何処かの空から、真っ白な女の子がふわりと現れた。私の心に触りにやってきた。その子は、自分のことを「死神」なんて言うけれど、私は思う。天使じゃないかって。本当は、哀しいことを告げにきたのに。たいせつなものを失くしてしまうと、教えてくれにきたのに。私の心に触れにきた。かわいらしい黒い猫をその胸に抱いて。そして私は、どうしてか言ってしまったんだ。「友達に――なって」なんて。これは白い死神と黒猫の哀しくてやさしい物語。
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ダニエルは、モモのいなくなった世界で、ひとりぼっちで旅をしていました。モモが残した“想い”を拾い集めながら。何処かでまたモモに逢えるんじゃないかと想いながら――。モモとアンは魂を扱うことで、この世のバランスを保つ存在でした。その二人が、今はいない――。ならば逆に、くずれたこの世のバランスをもう一度取り戻すことで、もしかすると、もう一度モモに逢えるかもしれないとダニエルは考えました。そして、ダニエルは、モモと関わった人間たちが残す“想い”をさがしはじめます。これは、“真っ白い花”が世界に残した、“想い”をたどる物語。
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