言い寄る
田辺聖子(著)
/講談社文庫
作品情報
160万人が愛した女主人公(ヒロイン)乃里子が帰って来た! 乃里子、31歳。フリーのデザイナー、画家。自由な1人暮らし。金持ちの色男・剛、趣味人の渋い中年男・水野など、いい男たちに言い寄られ、恋も仕事も楽しんでいる。しかし、痛いくらい愛してる五郎にだけは、どうしても言い寄れない……。乃里子フリークが続出した、田辺恋愛小説の最高傑作。
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商品情報
- シリーズ
- 言い寄る
- 著者
- 田辺聖子
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2010.09.15
- Reader Store発売日
- 2017.01.20
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 416ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (110件のレビュー)
-
結局、わたしは今「いい男というのはダメな男なんじゃない、誠実な男なんだ」っていうのを、必死にインプットしているところなんだ、と思う。
本、映画、日常生活。
その全てにおいて、必死でそれを受け入れようと…、足掻いている。
だけど、現実がそうだからこそフィクションではみんな、ダメな男との恋愛にずぶずぶとはまって取り返しがつかなくなる、バッドエンドともハッピーエンドともつかないエンドを望んでいるのかもしれない。むしろフィクションでは、ダメだけど死ぬほど好きな男と結ばれることはハッピーエンドだ。
フィクションでリアル/まともな男を求めて足掻いているのは、まだまだ非・リアル/ダメな男から抜け出したくない、と心が叫んでいるからだろうか。
主人公・乃里子は、男にモテる。
一度乃里子と関わると、みんな乃里子に言い寄ってくる。
けれど、一番言い寄ってきてほしい五郎だけは、決して言い寄ってこない。
乃里子が言い寄っても、暖簾に腕押し状態。
大学生の頃、バイト先にいた「ゆーたさん」のことを思い出した。
わたしを音楽とバンドマンの虜にした男だ。
彼がライブをするとなれば、わたしは下北のライブハウスCLUB251へすっ飛んで行った。
そこがBUMPのゆかりの場所だと知って、もっともっとと、のめり込んだ。
「駅まで送るよ」
そう言って、遠くはない道のりをゆっくり歩いている時間は、誰にも邪魔されない2人だけの時間で、その時間はわたしにとって、とてつもなく大切で貴重な時間だった。
今でもあの時の気持ちを生々しく思い出す。喜びと幸福と、独占欲。
わたしはゆーたさんが、大好きだった。
バイト先で話すボソボソとした声も、
ライブハウスでは人が変わったように発せられる声も、
2人でいる時はまた、ボソボソとした声になるのも、
昼のシフトが被ると作ってくれるまかないも、
朝の仕込みの最中に2人で相談して有線を流すのも、
全部、ぜーんぶ、大好きだった。
彼はあの時言ったのだ、4年間付き合っている彼女がいると。
あれは、少しでも言い寄ったわたしに、これ以上言い寄られないようにするための優しい嘘だったのかもしれない。だって、別の人に「彼女はいない」とゆーたさんが話していたのを、わたしは知ってる。本当はどうだったかなんてどうでもいい。
とにかくわたしは、ゆーたさんが大好きだった。ただそれだけ。
彼は今、何をしているんだろう。楽しく生きていてほしい。
初出は昭和49年。
男女の捉え方も、今とは違う。そんな時代の男女の物語。
でも、捉え方が違ったところで、やってることは今も昔も変わらない。
出てくる人たちみんなどこかぶっ飛んでる。みんな愛すべきところがある、どうしようもない人たち。
関西弁で進む物語。関西弁に詳しくなければ、その言葉のニュアンスや絶妙なイントネーションが分からないかもしれない。
話し方から伝わる人柄ってあるし、ド関東人のわたしは、もしかしたらその字面から構築する男たちの魅力を、半分も受け取っていないんじゃないかという気がしてくる。
この作品のタイトル「言い寄る」
これは、関西人が言う「(~と)言いよる」という言葉遣いとも相まって、読了後にものすごい個性を持って本棚で主張をするようになった。言葉と、語感の相乗効果。
乃里子は、これからどうやって生きていくんだろう。
ここから先を想像で止めておくか。
それとも、続く「私的生活」「苺をつぶしながら」と、三部作を読んでみるか。
いずれにしても、わたしの誠実な男インプット作業の手助けになってくれると、よいのだけれど。続きを読む投稿日:2021.06.19
古い恋愛小説でした
昔ながらでありつつハイソサエティなノリを目指しているんですが、どうガンバっても古典に見えました
クドいほどの値踏みが広げられていて、でもそれが男の魅力的な紹介になっていました
駆…け引きのテンポがサクサク進んで心地よく、3人の男性どれも男らしく魅力的でした
主人公以外の女はどこか頭が悪そうで、それは屈託のなさの裏返しで妬ましく映っていました
中盤での友人の妊娠にかけて、主人公が転落していく展開が好きでした
周囲のキャラの魅力が昇っていくに伴い、変化しない主人公は取り残されていって、そこからストーリーに引き込まれました
ラストの五郎と美々を受け入れるシーンにかけてマンションに帰る姿には、諦めの美しさがありました
当時は最先端なノリだったんでしょうが、令和に読むとオバサン臭い話回しだと思いました
男性像が表面的で、背伸びした少女漫画のようでした続きを読む投稿日:2024.03.09
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