櫛挽道守
木内昇(著)
/集英社文庫
作品情報
【中央公論文芸賞・柴田錬三郎賞・親鸞賞受賞作!】幕末の木曽山中。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指す登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは・・・・・・。文学賞3冠の傑作!
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商品情報
- シリーズ
- 櫛挽道守
- 著者
- 木内昇
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文庫
- 書籍発売日
- 2016.11.23
- Reader Store発売日
- 2017.01.13
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 424ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (24件のレビュー)
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最近、骨太な小説を読んでないなぁとお嘆きのアナタへ
今も残る「お六櫛」にまつわるお話です。
時は幕末、ペリーの来港で風雲急を告げ、世はまさに激動の時代が始まろうとしています。そんな中、木曽の薮原で、ひたすら櫛を作っている職人一家が舞台です。
神業…の技術を持ち、無口でひたすら板の間で櫛を挽いている父親。そんな父親に尊敬と憧れを持ち、女性ながら、いつか自分も、と願う主人公。一方、こんな田舎でくすぶって、母親のような生き方はしたくないと思う美人の妹。また、父親に期待される腕を持ちながらも、広い世間を見てみたいと考えていたらしい早生した弟。そして、家を守ることのみを考えているような母親。と、ここまでは、今にも通じる家族の物語ですが、時代の動きなど無関係と思われる田舎にも、ヒタヒタと時代の変化の波が押し寄せてくるわけです。
そんな家族の中に、江戸で卓越した技を習得した男が弟子として入り込み、主人公の夫となります。新時代を象徴するかのような彼の振る舞いに、主人公は何の愛情も持てず、苛立ちと戸惑いを感じるばかりです。そして迎える新しい時代。でも変わらない職人魂。夫の真意に気づかされる主人公。
おそらく「あらすじ」は?と聞かれれば、書籍説明に少々付け加えるだけの非常に短い文で済んでしまうでしょう。でも、筋だけを追い、その展開と結末を楽しむだけの小説では決してありません。
実に沢山の要素が含まれています。時代小説でもあり、家族小説でもあり、また早生した弟である直助の残した絵にまつわるミステリー的要素さえ持っています。
勿論フィクションなのでしょうが、あの時代に、櫛を作る職人のワザを女性が継承しようとする筋立てを通して描かれる当時の世相は圧巻です。木曽の山中でも幕末の騒動はあったんですね。和宮降嫁しかり、天狗党の残党しかり。一方、名もなき職人達の恵まれない境遇を描き、それに抗う新しいシステム作りや、そんな拝金主義?よりも、今まで同様、ただひたすら技の向上を追求したいという考え方を描く等々。様々なエピソードが複合的に絡み合って、物語文学の醍醐味を十分に味わうことができます。
小説のタイトルが、櫛挽「業」守となっていないところがミソです。
「おらの技はよ、おらのものではないだに」「おらのこの身が生きとる間、ただ借りとる技だ。んだで、おらの技というこどではねぇ」と父親は言います。つまり、その土地に根付き、長い歴史に培われ、引き継がれてきた技と言うことですね。その技を追求し、現代に通じるよう継承していくと言うことは、まさに「道」なのでしょう。
物語のラスト。様々な思いや真意を理解した後に、主人公が、病床の父親の手を取り、板の間から聞こえてくる夫の櫛を挽く音に二人して耳を澄ませるシーンが、静かな感動を呼びます。三冠に輝く、まぎれもない名作でありました。続きを読む投稿日:2017.01.28
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よこまち余話が面白かったので読んでみた。女性の人格がない頃に地味に頑張った女性の話。読んでいて悲しくて悔しくなる。主人公は本当によく頑張ったと思いました
投稿日:2024.03.10
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