児童書
キセキのヒロシマ
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終戦から20年、孫の寛子は嫁ぎ、二郎は独立し、人生の務めを終えたと感じた巴は、静かな隠居生活に入りました。多延子は、元伯爵夫妻に自身の幼少の頃の巴との思い出を話し、巴の原爆体験を語り終えました。原爆投下から70年の歳月が流れ、今やヒロシマに原爆の面影を探すのは困難となりました。ヒロシマは原爆に打ち勝ったのです。でももっと美しく栄え続けて欲しい。世界中がため息をつく程平和であって欲しい。ヒロシマに挑戦し続けて欲しい。世界中を in The PINK(幸せに満ち溢れた世界)へ―――
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原爆投下以降、虚無感の中で過ごしていた巴でしたが、それでも2人の孫の明日のために「人を恨んでいる暇は無い」と立ち上がりました。巴の周りでも、よしゑは新天地広場で一銭洋食の屋台を繁盛させ、藤井は誕生したばかりの広島カープの救済に参加し、思いを遂げるなど人々はたくましく生活を営んでいました。ある日、市電に乗車した巴は、かつて親しかった少女運転士の喜多の忘れ形見の少女と出会い、改めて「許す心」の大切さを胸に刻みます―――。
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原爆投以降、虚無感の中で過ごしていた巴でしたが、瓦礫の中で焼け出された子供たちに一銭洋食を食べさせていた女性たちの姿に再び生きる希望を見出しました。しかし、巴を待ち構えていたのはある意味原爆よりも過酷な現実でした。「戦争はどんな人間も悪魔に変える。戦争が悪い・・・国や人を恨んでも詮無い。」外国人に土地や機材を略奪され、複雑な思いを抱える巴でしたが、「母性」だけは戦争の魔力を持っても汚すことができないのだと感じます―――。
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親交のある元伯爵夫妻の求めに応じ、曾祖母・巴の原爆体験を語る多延子。亡父の遺した「小田飼料」の経営者であった巴は、従業員で市内の緑井に住む山本宅を目指しました。途中で立ち寄った避難所で救護の手伝いをすることとなり、焼失した自宅跡を訪ねてみるも、昭子の遺体すら見つけられませんでした。加えて、市内のあまりの惨状に放心状態となる巴・・・。しかし、救護所の人の優しさに触れ、束の間の人心地をつきます――――。
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広島で会社代表を務める多田多延子(ただたえこ)は、広島で生まれ育ち、現在も生活をしています。そんな多延子は、ある日、旧知の某国元伯爵夫妻を広島見物に招きました。安芸の宮島や広島城、名勝・縮景園などを観光した元伯爵夫妻は、広島の近代的な街の美しさと歴史的な荘厳美に感嘆し、密かに抱いていた“ヒロシマ=原爆”という負のイメージとのギャップに戸惑います。平和記念公園で祈りを捧げた後、その戸惑いは理解し難い疑問として元伯爵夫妻に募り、多延子に投げかけられました。「広島の人々は、恨むことよりも、幸せに向かって前進することを選んだのです」多延子は、曾祖母・巴(ともえ)の壮絶な原爆体験を語り始めました―――
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