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結論を言おう、日本人にMBAはいらない (角川新書) 2016/11/10
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教員評価を厳しく行い、ダメな教員は去れ!
2017年1月28日記述
著者の遠藤功氏は1956年東京都生まれ。
1979年に早稲田大学商学部(専攻は国際貿易論、田中喜助ゼミ)を卒業後、三菱電機入社。
米国ボストンカレッジ経営大学院にてMBA取得。
1988年約10年お世話になった三菱電機を退職
2005年早稲田大学ビジネススクール教授就任。
2016年3月、早稲田大学を退任。遠藤研究室の卒業生101名を教える。
著者が指摘する日本人にMBAがいらない理由として
1ほとんどの日本企業は、MBAを認めていない
2日本のMBAの「質」が低すぎる
と指摘している。
著者は定年70歳まで10年以上残っているにも関わらず早稲田大学ビジネススクール教授を辞めたのだという。
自分の母校の大学、学部でも他校へ移る教授はいたものの辞める人はまずいない。
(Yahoo!研究所に転職した若い准教授はいた)
理由として遠藤氏は日本のMBAという不完全な装置では優れた経営者、ビジネスリーダーを
育てることは出来ないこと、そんな金メッキの勲章には何の価値もないことを認めざるを得なくなった。
その為、去る判断をしたのだという。
これまでもMBAに関しては厳しい指摘をする人もいるにはいた。ただそれは外からの指摘だった。
ビジネススクール教授がその価値を否定するのだから大変なことだ。
自己否定以外の何でもない。しかし厳しい指摘を世の中に訴えたかったのだろう。
また国内MBAに対する警鐘でもあると思う。
遠藤氏の厳しい指摘を正面から受け止め真剣に改革をしなければ今の法科大学院や会計大学院のような未来が国内MBAにも待っているだろう。
(たぶん無理だろう。だから著者はWBSを辞めたのだろう)
理由としては第三章に書かれている教員評価を厳しく行い、ダメな教員は去れにある。
米国、中国の長江商学院ではテニュアの資格を得る為に相当の努力をしている。
日本はきわめて安易に教授、准教授に採用されている。
教員評価を厳格に行い、ダメな教員は去っていくという新陳代謝を促進しなければ日本のビジネススクールの質を高めることは出来ない。
⇒全くその通りである。これはビジネススクールだけではなく日本の大学という組織全てに
当てはまる本質的問題であると思う。少なくとも授業評価の結果を教員の査定に結びつける必要はあろう。
定員割れ状況も法科大学院、会計大学院よりは多少はマシではある。しかし有名大MBAでもほぼ全入状態になりつつあるとのこと。
中央大学大学院戦略経営研究科戦略経営専攻
募集80人 受験者72人 合格者64人(2015年)
関西学院大学大学院経営戦略研究科企業経営戦略コース
募集70人 受験者64人 合格者60人(2014年)
南山大学大学院ビジネス研究科
募集40人 受験者28人 合格者27人(2015年)
*南山大学大学院ビジネス研究科は2017年度の新規募集を停止
印象に残った文章を紹介してみたい。
1990年代に数校にすぎなかった日本のビジネススクールは2000年代に入り
専門職大学院制度創設により全国に次々に設置され現在約80大学、プログラム数で約100にも上る。それらのMBA取得者は毎年約5000人の規模。(米国は約10万人)
しかしそのほとんどは分析屋を生み出すばかりである。
MBAを取得しても経営者にはなれない。経営者の仕事というのは、修羅場や厳しい状況をどれだけ突破してきたか、経験値がなにより大事だ。(玉塚元一氏)
アメリカのトップスクールでMBAをとれば、年収2000万円も夢ではない。
一方、日本のビジネススクールでMBAをとっても、給与アップはほぼゼロ。
米国でMBAはいまや、キャリアアップしたいビジネスパーソンにとって必須のものとなっている。
米国でMBAが一般化し、それなりに認知される背景には、労働流動性の高さと熾烈な競争がある。
米国においてビジネスで成功しようと思えば、転職を繰り返し、キャリアアップするのが一般的である。
よい企業でよいポストを得ることをめざし、他の人たちと「差別化」するためには、
ビジネススクールでMBAを取得し、「箔をつける」ことが重要となる。
評判のよいビジネススクールでMBAを取得し、自らの「市場価値」を高めなければ、チャンスさえ与えてもらえない。
トップスクールには人が殺到する。トップ10スクールの合格率はわずか16.3%。
7人に1人しか合格できない「狭き門」だ。ほぼ全入に近い日本のビジネススクールとは雲泥の差である。
企業側の論理からすると、日本のビジネススクールを卒業したMBAを採用するより、
「第二新卒」を採用するほうがメリットが多い。たいした実力もないのに、
自分の「投資」に見合うポストや給与を要求しがちなMBAよりも、他社で初歩的な教育を受け、
まだ従順な「第二新卒」のほうが、はるかに使い勝手がいいからだ。
30単位そこそこの授業をとり、論文を書くこともなく手にすることが出来るMBA。
そんなものに価値があるはずがない。
国内MBAをめざす人の殆どはパートタイムMBA、
一通りの仕事は出来るがポストについていないという心理的余裕と将来的不安を
併せ持っている。その心の隙間を埋めるのがビジネススクール。
日本のビジネススクールで学ぶ学生の大半は、向学心はあるが野心は乏しい。
不幸にもMBAを取得した人への6つの処方箋
1MBAであることをひけらかさない
2履歴書でアピールしない
3横文字を使わない
4現場で汗かく仕事を志願する
5語学力を磨く
6勉強し続ける(ビジネススクールで学ぶ知識は初歩的かつ表面的なものにすぎない)
投稿日:2021.12.10
このレビューはネタバレを含みます
日本には、経営を教える教授が少ないし、生徒もハングリーさがない。勉強のための勉強になってるMBAより実務にぼっとうし、ヒリヒリした経験をしないと、経営は学べない。
レビューの続きを読む投稿日:2024.02.11
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