だれのおとしもの?
種村有希子(作/絵)
/PHPわたしのえほん
作品情報
雪がふった朝。「おとしもの、みーっけ!」まほちゃんが拾ったのは、“ゆり”と名前がついた手袋です。大きさは、まほちゃんの手を同じくらいです。「どんな子かなぁ? 足跡たどったら、届けられるかな」まほちゃんは、落し物のそばにあった足跡をたどって、その落し物を届けることにしました。しばらく行くと、「マフラー、みーっけ!」マフラーにも名前がありました。「ゆりちゃんったら、また落としてる」ところが、落し物はひとつではないのです! マフラーや、手袋、それにおおきなセーターもありました。「これも本当にゆりちゃんの?」まほちゃんは、不思議に思いながらも、その後も足跡をたどっていくことにしました。北海道育ちの著者がおくる冬にぴったりの一冊。
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商品情報
- シリーズ
- だれのおとしもの?
- 著者
- 種村有希子
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHPわたしのえほん
- 書籍発売日
- 2016.11.01
- Reader Store発売日
- 2016.11.11
- ファイルサイズ
- 48.7MB
- ページ数
- 32ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
種村有希子さんは、前回読んだ「サンタクロースになるひ」で初めて知り、そこで感じられた、色鉛筆による素朴で優しい温かみと、ぼかした雰囲気との素敵な融合と、デザイン性の高い配色は同様であり、本書の場合、…雪景色の白を基調とすることで、他の色を、より効果的に映えさせているように感じられたのが、とても印象深い。
ある雪が降った朝「おとしもの、みーっけ!」と、そりを引いていた「まほちゃん」が拾い上げたのは、“ゆり”と名前がついた手袋で、大きさは、まほちゃんの手と同じくらい。
「どんな こかなぁ。
あしあとを たどったら、とどけられるかな」
上記の、期待に胸ふくらませてワクワクする様子には、まだ見ぬ女の子との出会いを読み手にも想像させるが、この後の、ちょっとミステリアスな展開には、「えっ、どういうこと?」と、読み手は混乱しながらも、落とし物を拾いながら、ずんずん突き進んて行く、まほちゃんに引っ張られるように、一緒に物語の世界に入り込んで行く、導入部の上手さだと思う。
しばらく いくと、
「マフラー、みーっけ!」
マフラーにも なまえが ありました。
「ゆりちゃんったら、また おとしてる」
しかし、落ちているマフラーはそれだけではなく、その先にもたくさん落ちており、まほちゃんも思わず「さむがりやなのかな?」と、素直な感想を言ったと思ったら、今度はその先にある公園にセーターが落ちており、それには「あつがりやなのかな?」と、彼女はおそらく脱ぎ捨てていったのだろうと想像したのだが、そのまるで大人が着るようなサイズには、「これも ほんとうに ゆりちゃんの?」と、まほちゃんも読み手同様、「?」状態に。
そして、更に足跡を辿った先には、思わずポップな異世界観と呼びたくなるような、種村さん独特の色鉛筆ではない描き方で表現した、その家と家の間の狭い道に於ける、氷柱の大迫力と、落ちているものの華やかさとのギャップが、また新たな混乱を巻き起こしそうで、それを見つけたまほちゃんも、「ゆりちゃんって おひめさまだったりして!」と、本当に異世界に向かっているような、夢のある展開になってきた。
しかし、その後、まほちゃんが足跡を辿りながら拾ったのは、ざっと挙げるだけでも、風船、空き缶、うさぎのぬいぐるみ、毛糸の帽子、飴、果物等々・・・と、謎は深まっていく一方で、まほちゃんも見たことのない林の中に入っていき、その静けさの中で突然、「ドサドサッ」と、枝から雪の落ちる音に少し不安になったりと、いろんな感情に振り回されながらも、その先に待っていたのは?
本書の物語は、タイトルから推測されるように、ある程度決まったパターンになりがちなところを、その謎が謎を呼ぶ展開に、ちょっとした冒険感を味わえる面白さに加えて、絵本自体を横長のサイズにしているのが、ちょうど子どもの背丈に合っていながら、足跡を辿る道のりの、その先の先まで見通せる奥行き感や、まほちゃん主観の視点にしたときの景色のパノラマ感に、劇的な場面の距離感といった、それぞれの場面をより効果的に演出しており、そんな様々な工夫を凝らしている点に、まず素晴らしさを感じられた。
また、子どもに向けた可愛いらしい遊び心として、表情のある木や、元は別の落とし物だったのが、人参を抱えたぬいぐるみと、一つになっていることに加えて、いろんな場面でさり気なく、まほちゃんを見守っている猫も見逃せないし、謎の真相についても、「なるほど!」と納得させられること間違いなしで、そこにあったのは、大人だから却って思いつかないのかもしれない、子どもの創造力の素晴らしさである。
そして、そんな様々な工夫を凝らしながらも、本書で伝えたいメッセージの、そのシンプルさには、それが、如何にかけがえのない素敵なものであるかを、より強調させているようにも思われ、それは、表紙の題名が、赤と青で交互に書かれていることや、最初の見返しに描かれた一人分の足跡が、最後の見返しでは、足跡が横並びになっていることからも充分に想像出来る、『二つあるって素敵だね!』を実感させてくれる、その最初のきっかけとなるであろう、出会いの素晴らしさなんだと思う。続きを読む投稿日:2024.01.17
絵が可愛らしいし、ページをめくるたびに、次のページが気になる絵本。森の奥へと向かうときは少し怖い感じもするけど、最後の出会いの絵はとても綺麗です。
投稿日:2022.02.18
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