文学
谷川俊太郎~これまでの詩・これからの詩~
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「月に1篇ずつ新聞に連載したもの。半世紀前の『落首九十九』と違って「心」という頁に掲載されることになっていたので、心をめぐって自由に書きましたが、「シヴァ」のみ2011年4月に発表を見合わせ、2013年3月11日に掲載されました。」
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「ここ数年、気楽に詩が書けるようになっています。気が向くと発表のあてもないのにマックに向かっているのです。〈未発表〉とあるのはそうしてできた作で、締め切りがないから飽きるまで推敲を重ねられるのが楽しかった!」
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「『詩の本』といういささか素っ気ない題名を深読みする人もいるかもしれません。〈本〉には、もとになるもの、手本、根本、本当などの意味があるからですが、私としては単純に書物の意味でつけました。人間活動のさまざまな分野にわたる書物が、書店の店頭にもネット上にも溢れていますが、その中でこれはマンガでも小説でも株の買い方でもファションでもグルメでもない、詩と呼ばれるなんの役にも立たない言葉が印刷されている本ですよ、それでも買ってくれるんですかと念を押したい気持ちなのです。」
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「旅を材料に書いたもの、短い芝居みたいなもの、幻想的なもの、メロドラマ風など、この詩集に収録したのは発想もスタイルも一定していない。共通なのは行数がふだん書いている詩よりも多いということと、筋立てのようなものがあるということくらいか。」鮎川信夫賞受賞
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「このなかには、少年の視点で書いた詩が十いくつか入っていますが、このごろはどうも子どもとか少年になって書いたほうが書きやすいんですよね。子どもの詩のほうが、大人のなんか意味過剰だったり、全部こう分析しようみたいな、そういう詩の言葉から離れて自由になる気がするんです。なんか子どものことばのほうが、もっとこう、全体がつかめるんです。」詩歌文学館賞
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「ぼくはこの本に収録した「おばあちゃんとひろこ」に出てくるおばあちゃんが「おっけー」って言うところが気に入っているんですけどね、朗読しててここで笑い声が起こるとうれしい。」
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「幼稚園で教わったアダムとイブ、小学校のころに読んだギリシャ神話や古事記、伯母とともに手を合わせた仏壇、近所の氏神様、これまで私はさまざまな形で宗教的なものに触れてきましたが、そのイメージはいろいろな絵画や彫刻の影響で揺れ動いていました。けれども年を重ねるにつれて、そのイメージは人間の姿から離れ、むしろ目に見えないエネルギーのようなものとして感じられるようになりました。そのエネルギーはしかし、不思議なことに、ときに人間の言葉で私たちにみずからを語るのです。このささやかな詩集も、そのような言葉のひとつである原始仏典『ダンマパダ』から生まれました。トマス・バイロムによる英訳を底本にして、私は自分が共感するところを自由に日本語にしたのです。」
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「時間の流れ方がどんどん速くなっていくような気がする。年をとったせいばかりではないと思う。時代そのものが加速していて、知らず知らずのうちにそれに乗っている。だが私は時代に流されているとは思っていない。時代を超えた時空に属している宇宙が、自分のからだとこころのうちにあると信じるようになったからだ。」毎日芸術賞受賞
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「・・・・・・この詩集に収めた作は形も調べもさまざまだ。意図してそうしたわけではない。同じ土壌から匂いも色も違ういろんな花が咲くように、作者にも予想がつかないしかたで詩は生まれる。そこに働く力は作者自身の力量を超えている。「この詩で何が言いたいのですか」と問いかけられるたびに戸惑う。私は詩では何かを言いたくないから、私はただ詩をそこに存在させたいだけだから。不遜を承知で言えば、一輪の野花のように。」
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「中国へ行く機会があった。呑気な旅のつれづれから、いくつかの予期しない短詩が生まれた。俳句とそれからもしかするとある種の漢詩のもつ、饒舌とは対極にあるものに、知らず知らずのうちに同調していたのだろうか。帰ってからも私は行脚の短い、三行一連の詩を気の向くままに書き続け、いつの間にかそれらをminimalと名づけていた。」
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「秩序から混沌へ、かたいものからやわらかいものへ、現実的なものからもっと内的にリアルなものへというふうに、自分がシフトしていく過程で書いた詩集です。それは要するに、男性性から女性性へっということなんだけど、分かってもらえるかな~(笑)」
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「クレーは言葉よりもっと奥深くをみつめている。それらは言葉になる以前のイメージ、あるいは言葉によってではなく、イメージによって秩序を与えられた世界である。若いころから私は彼の絵にうながされて詩を書いてきた。ちょうどモーツァルトの音楽にうながされてそうしてきたように。「詩」は言葉のうちにあるよりももっと明瞭に、ある種の音楽、ある種の絵のうちにひそんでいる。そう私たちに感じさせるものはいったい何か、それは解くことの出来ない謎だ。」
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