低欲望社会 ~「大志なき時代」の新・国富論~(小学館新書)
大前研一(著)
/小学館新書
作品情報
“アベノミクスのパラドックス”を読み解く。
〈安倍政権が「アベノミクスのエンジンを最大限にふかす」「切れ目のない経済対策」「第2次安倍政権以降最大の28兆円」などと喧伝すればするほど、国民は日本経済の先行きは暗いと思ってしまう。これこそアベノミクスでも景気がいっこうに上向かないパラドックス(逆説)の仕組みであり、私が「心理経済学」として提唱していることである。〉(新書版まえがきより)
なぜ「アベノミクス」では景気が良くならないのか?
日本が“借金漬け”から脱する日は来るのか?
「皆が等しく貧乏になる国」で本当にいいのか?
・・・・・・それらの難題を読み解くカギは「低欲望社会」にある。
日本では今、世界に先駆けて未曽有の危機が進行している。人口減少、超高齢化、欲なき若者たちの増加・・・・・・。この国に必要なのは人々の心理に働きかけ国全体を明るくする新たな国富論だ。
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この作品のレビュー
平均 4.4 (7件のレビュー)
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著者は“低欲望”とでも呼ぶべき傾向に関して「内向き、下向き、後ろ向き」と纏め、「それで善い筈もないが、事実なのだから、受け止めて“仕切り直し”をして行こうではないか!そして、今やらなければ本当に“機会…”を逸してしまう…」としている。
本書では、“声が大きい”人達が声高に主張することに関して、実はかなり多くのことが“見当違い”とか、“小手先”に過ぎて仕様も無いというようなことが、新書の限られた紙幅の中で手際良く指摘されている。一つ、一つ大きく頷ける話しだ。或いは、そういう状態であるのが“危険”なのかもしれない…
“低欲望”とでも呼ぶべき最近の日本の状況は、著者によれば「古今東西に類例が余り思い当たらない」ような状態なのだそうだ。どういう状態か?何故か?そして様々な分野の状況に関して、非常に詳しく解説され、「こういう考え方は如何か?」と提言が在る…大変に有益だと思う。或いは“声が大きい”人達が声高に主張することに対して「こういう少し違う観方」ということを教えてくれる一冊だ。こういう本は“必読”かもしれない…続きを読む投稿日:2016.11.18
衣食住にはとりあえず不自由を感じることはなく、安全な暮らしができる。だた、経済の成長は見込めず、将来についてはなんとなく不安があり、だから背伸びはせず、貯蓄を抱えて生きていく、そんな「低欲望社会」には…、従来の経済学(ケインズ理論など)は効果がない。先送りされ続け、日本の長期停滞、これからさらなる縮小につながる各種の改革(税、教育、農業、少子化対策等)に取り組まなければ、本当に日本は沈没する。。
大前さんが昔から主張してきた内容と大枠はあまり変わっていない。でも、長い間、日本の制度は抜本的に変わることはなかったように思う。気が付けば、先進国といえる地位からは滑り落ち、東アジア、東南アジアの国々の後塵を拝すことになりつつある。高齢化した国民に野心を持てというのは難しいだろう。ならば、今となっては、移民、教育で10年計画で社会の根幹を強化しなおすことしかないのではないか。そう考えさせられた。続きを読む投稿日:2022.11.21
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