だれのための仕事 労働vs余暇を超えて
鷲田清一(著)
/講談社学術文庫
作品情報
たのしい仕事もあればつらい遊びもある。仕事/遊び、労働/余暇という従来の二分法が意味を消失した現代社会にあって、わたしたちが生きることを支えているものはなにか、それは「働く」ことと「遊ぶ」こととどのようなかかわりがあるのか――。人間性の深みまで掘り下げて労働観・余暇観の歴史にせまり、人間活動の未来像をさぐる、清新な労働論。(講談社学術文庫)
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商品情報
- シリーズ
- だれのための仕事 労働vs余暇を超えて
- 著者
- 鷲田清一
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社学術文庫
- 書籍発売日
- 2011.12.12
- Reader Store発売日
- 2016.09.16
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 208ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (19件のレビュー)
-
鷲田清一著『だれのための仕事 : 労働vs余暇を超えて(講談社現代文庫)』(講談社)
2011.12.12発行
2017.10.3読了
1996年に刊行された本に補章を追加して2011年に文庫出版…したもの。
人間の活動は絶えず価値を生産しなければならないという生産性の論理が私たちの自己理解の構造の中に組み込まれたことにより、現代人はインダストリアスな強迫観念に囚われ、仕事から遊びという間がなくなってしまった。そのため、仕事が労働(辛苦)となり、モチベーション維持のために目的の実現や自己の対象化という美徳が編み出され、労働が生きがいとなるような心性が形成されていき、一方で非労働=余暇が退行的活動へと縮減されていった。
しかし、インダストリーの精神は労働だけにとどまらず、余暇にまで浸透していき、余暇さえも真空恐怖に支配されるようになった。ここにきてインダストリーの精神がいわば一種の飽和状態となり、生活そのものの目が詰まり、人々は脱出口を見つけようとやっきになっているようにみえる。つまり、目的連鎖の労働過程の中で意味を失った人々は、自分が持っている能力や資質や財を使うことによって、じぶんがじぶんであることを自己自身の内部に見出そうとやっきになっている。
しかし、筆者は、自己の同一性は、わたしの自己理解の中にあるのではなく、特定のだれかとして他者と関わる中にしかわたしは存在しないと考えている。具体的には、わたしはだれかという問いは、わたしの自己理解の中にあるのではなく、他者がじぶんを理解するそのしかたの中にあるものでもなく、その二つが交錯し、せめぎあう現場にこそある。言い換えれば、他者との関係の中で編まれていくじぶんのストーリーこそがアイデンティティーであり、それこそが楽しさや生きがいを与えてくれる。目的地ではなく、その道の途中、つまり、他者との関係の中で編まれていくストーリーあるいは新しいじぶんの発見が、未来ではない今を時めかせる。働くことの意味は絶えず語りなおされ、掴みなおされるものである。労働/余暇の対立項で考えるのではなく、個としてのじぶんの「務め」を探る感覚が、その語りなおしをきっと後押ししてくれるだろう。
以上が、私の本書のとらえ方である。大企業や組織の中で、匿名の誰かとしてではなく、特定の誰かとして他者とかかわるというのは、とても難しいような気がする。勤め人時代をさらに超えた長い人生を俯瞰して物事をなす、個としてのじぶんの「務め」を探るということだが、システムそのものの存続のために、人が求められたり、棄てられたりする社会で、一体どうすれば、他者との関係の中にわたしのストーリーを編むことができるのか。最終的な答えは示されていなかった。おそらく私自身で見つけるしかないのだろう。
URL:https://id.ndl.go.jp/bib/023180119続きを読む投稿日:2022.10.21
含蓄深い、仕事をめぐる論考。
始終、自分はこのままで良いのかの反省が出来た。
身体論、ファッション、また、家事とボランティア、クレーマーの話題が面白い。
労働と余暇をめぐる歴史的変遷も頭の整理にな…った。
続きを読む投稿日:2023.09.19
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