生まれ変わるデザイン、持続と継続のためのブランド戦略 - 老舗のデザイン・リニューアル事例から学ぶ、ビジネスのためのブランド・デザインマネジメント
ウジトモコ(著)
/ビー・エヌ・エヌ
作品情報
本書は、天保元年創業の福島県会津下郷地域にある老舗まんじゅう屋のデザイン・リニューアル案件をメインの実例にとり、ブランド・デザイン・マネジメントについて、知っておきたい考え方と重要性を解説します。現在、地方創生が政策としても推進され、インバウンド需要や六次産業化によって、地域ブランドの新設やリニューアルが日本中で起こっています。また、時の流れとともに縮小を余儀なくされる市場もあります。それらの施策をより持続可能なプロジェクトにする成功の鍵が、拡張可能なデザインシステムとデザイン・ガイドラインの活用です。ただ作っては捨ててしまうだけのデザインではなく、ブランドの「今」を守りながら新しい挑戦をして生き残っていくために必須のデザイン戦略について、現役アートディレクターの著者が成功実例を挙げながら紐解きます。使えば使うほど資産としての価値が上がるデザインを作り、育て、ブランドを守りながら未来を生き抜くための戦略をまとめた1冊です。
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この作品のレビュー
平均 3.3 (3件のレビュー)
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借りたもの。
ブランドリニューアルの実例を基に、ロゴなどのリニューアルが何故必要なのか、その際にブレないコンセプトが重要なのかを、丁寧に説いている。
ブランドとは自社の歴史――時間だけでなく地域との関…わりも含めた――アイデンティティであることを再認識。
デザイン実例も掲載しているが、そのデザインである理由も詳しく載せているので、読み物が主体であることが、中川政七『日本の工芸を元気にする!』( https://booklog.jp/item/1/4492502874 )にも通じる。
かつて一世を風靡した「選択と集中」という考え方があったが、裏目に出ることが多かったように思う。
これは本来、自分の本来の強み=自身のブランド化ということではないか?
この本に書かれている「ブランド」とは、企業のアイデンティティそのものを問う作業だった。
それから「ブランド」に沿ったヴィジュアルデザインを詰めてゆく。
水野学『「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』( https://booklog.jp/item/16/28174737 )の作業を、より絞って紹介したような経緯だった。デザイン思考の、プロトタイプを作り検証してゆくような作業工程、デザイン・ドリブン・イノベーションのような、社会から共有されたイメージ、地域性を活かすデザインとは何かを模索しながら、形にしていく。
作ったデザインも、その一回きりにしない/させない努力も必要。(そもそも小手先のデザインではなく、自社などのアイデンティティの象徴なのだから)
デザイン・ガイドラインの作成、グラフィック展開など、その方法も提示。
1 アイデンティティを定義しよう
2 主軸となるグラフィック(エレメンツ)を決めよう
フォント、ブランドカラー
3 実際に使用するシーンを想像してデザインを展開してみよう
4 ブランドのイメージが統一できるよう空気感を定義しておこう
配色トーン、空間デザイン
5 デザイン・アイデンティティを拡張させて新たな可能性を拓こう
【取り上げられていたデザイン】
笹屋皆川製菓
金子牧場( https://www.kaneko-bokujyou.jp/ )
福島美味ブランドプロジェクト( https://www.fukushima-bimi.jp/ )
銀座 立田野( http://www.ginza-tatsutano.co.jp/ )
立田野茶寮( 閉店 )続きを読む投稿日:2021.06.16
ロゴ等のデザインリニューアルを主な題材にして書かれているが、読み進めていくと、それだけではなく、一時の流行や社長の個人的好みに左右されず、末永く信頼される店や会社になるための考え方を解説した本であるこ…とがわかる。
特に、デザインを学んだことのない経営者や担当者が、デザイナーから提案されたロゴ案やデザイン案を選ぶとき、どのような視点を持って選ぶとブランドが目指すビジョンを本当に表現できるものを選択することができるのかを解説した箇所は、実際に提案する側であるデザイナーにとっても、大切な視点が書かれている。
著者が業界系カタカナ用語を多用する傾向があるので、人によっては抵抗があるかもしれないが(「意識高い系デザイナーが読む横文字だらけの本。反面教師」といったレビューも見かけたw)、文体の善し悪しで切り捨ててしまわず、書かれている内容をきちんと理解すれば、大企業にも中小企業にも適用できる普遍的な思考法である。続きを読む投稿日:2017.09.25
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