外為決済とCLS銀行
中島真志(著)
/東洋経済新報社
作品情報
●外為取引から外為決済までを網羅。フロント・ミドル・バックの外為関係者、必読の1冊!
●本邦初!世界の外為取引の80%を担う「CLS銀行」の外為決済リスク削減の仕組みと機能を詳細に解説。
●バーゼル銀行監督委員会「FX監督ガイダンス」の全文を収録。
国境を越えた金融機関同士の外為決済においては、「決済が済む前に取引相手が破綻して、元本を失ってしまう」という時差に伴うリスクがあることは、以前よりよく知られています。このリスクは、1974年6月に破綻して多数の銀行に損害をもたらした西ドイツの中堅銀行の名称から、「ヘルシュタット・リスク」とも呼ばれています。このリスクを軽減すべきというG20の合意に基づき、世界の外為決済を仲介する機関として、1999年にCLS銀行(Continuous Linked Settlement)が設立され、2002年から稼働を開始しました。以来、CLS銀行を通じた取引は右肩上がりに増加しています。現在、18の通貨が決済対象で、世界のインターバンク取引の約80%がCLS銀行を通じて決済されています。
このように外為決済の世界で巨大なプレゼンスを持っているCLS銀行ですが、日本国内の金融機関ではまだ利用率は低い。バーゼル銀行監督委員会は2013年の「FX監督ガイダンス」で、CLS銀行の利用を事実上、義務づけています。金融監督庁も今後はそれに沿った指導を行うことが予想されます。意外にも日本では、研究者の間でもCLS銀行に対する認知度は低く、体系だった情報を入手することも容易ではありません。
本書は、外為取引・外為決済の仕組みと、近年の外為決済の新潮流であるCLS銀行について、詳しく解説した本邦初の書籍です。実務家にも研究者にも非常に有益な一冊です。バーゼル銀行監督委員会「FX監督ガイダンス」の全文も収録しています。
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商品情報
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この作品のレビュー
平均 3.5 (2件のレビュー)
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決済のすべて系の本を書いている著者。
決済リスクをいかにCLS銀行がmitigateしているかを書いている本。
決済リスクの関連リスクとしては、オペリスク、信用リスクなどがある。
決済リスクは確かにテ…ールリスクではあるが、いざ起きた時の損失は計り知れないとはまさにその通り。
この決済を、民間期間であるCLS銀行が担っているのだからすごいとしか言いようがない。
PVP決済をすることで実質決済リスクをゼロにしているわけだが、独占以外のなにものでもないと思うのは自分だけだろうか。
ただ、ライバルが出てこないのは、決済という信用が物を言う世界で、CLS銀行は実績があるし、各中央銀行も半民半官の扱いをしているのだから安泰なんだろう。続きを読む投稿日:2019.03.17
2023年12月14日読了。外為決済の仕組みとリスク、またリスク軽減のためのCLS(Continuous Linked settlement)銀行の説明、リーマン・ショック時のその働きなどについて解説…する本。「外為とは何か?」の解説の多くが外為取引業務の説明に寄っているように感じており、本書のように国際間の銀行の仕組みそのものを解説してくれる本の存在はありがたい。(まあ、外為業務については別途学習する必要があるが)国際間の通貨取引のリスクの主たるものは時差にあり、リスク吸収のためには各国の中央銀行が連携した、超国家間の仕組みが必要なのだ、という結論は興味深い。「神の見えざる手」がなんでも解決できるわけではないのだな…ブロックチェーンなどの非中央集権な仕組みはCLS銀行の思想と反しているように感じるが、これはうまくいくものなのだろうか?続きを読む
投稿日:2023.12.14
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